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第七章:新たな力を求めるもの
240:善吉、そうお前は善吉! 上
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「ちょおおおおおおお!? 待って、ウェイ! あんなの無理無理無理ィィ!?」
「己の力を呪うが良いね、雑魚じゃ相手にならないのが悪いさね」
「そうがぞ、ガキんちょ。人生ままならぬものっちゃ」
「何したり顔で人生語っているんだよ!? 俺ってばペチってされるだろ、ペチって!! デカすぎだろ! なんだよそのバケモノ!?」
真っ青な顔になった流は、あまりの理不尽さに狼狽える。
「グハハハハ!! 何やら騒がしき事ですな。お久しぶりです、前鬼様、後鬼様」
「おお、善吉よう来てくれたがや。元気だったか?」
「悪いね善吉、今日はこの坊やの相手をしておくれ」
「お安い御用です。どうせ誰も来ぬ門ですからな……女狐以外」
「まあ~あそこまで行く馬鹿はそうそうおらんが……お嬢以外」
ハイライトが消えた目で遠くを見る善吉は、遠い過去に傾国の狐さんが遊びに来た事を懐かしく思い出す。
その様子を見た事がある前鬼も、不憫そうに善吉を見る。
「じゃあ来て早々悪いけど頼むよ。ほら、坊や! しっかりおしよ!」
「う、うん……」
思わず幼児化したような流に、苦笑いしつつも善吉は金棒をブオンと一払いする。
「久しぶりの人間界、しかもここは物の質が違う。まさか異界? まあ良い。来たからには楽しませてもらおう」
「うおお……怖えええ……」
「馬鹿ちんが! 見た目に委縮してどうするっちゃ!」
「ほら、さっさと始めな!」
「クッソ! やってやるよ!!」
「その意気だがや、行って来い」
流はやけ気味に美琴を抜刀すると、善吉の右足へ向けて駆けだす。
弱点として映ったのは右足のスネたる「弁慶の泣き所」へ向けて一直線に飛び込む。
そしてまるで巨木のようなスネへ、流は妖力を込めた美琴で斬り倒すべく業を発動する。
「ウオオオオッ!! ジジイ流・薙払術! 巨・木・斬!!」
美琴の刃に更に斧のイメージを乗せ、紫の妖力の斧が善吉へと襲い掛かる。
「っ!? おっと~」
それが危険と判断した善吉は、巨体と思えない動きで上部へひらりと飛び上がる。
空中で直径二メートル半程の金棒を軽く掲げ、それを流へと打ち付ける。
「ひぃ! ペチってするなあああ!?」
「ほ~れ」
「くっそ! ジジイ流・投擲術! 飛竜牙!!」
モグラを叩くように、流へと金棒を振り下ろす善吉に、苦無状の妖力を左手に持ち、それを四本投擲する。
善吉はそれは脅威と思わなかったのか、それを金棒で軽く弾こうとした瞬間――。
「バァカ~めぇ!」
「何っ痛っが!?」
実に悪い顔で馬鹿めと宣言する流の苦無は、金棒を回避し右足のスネへと突き刺さり、その後爆ぜる。
思わず善吉も立ち止まり、前にコケるような体制になってしまう。
それを見逃さず流は右のスネにまたしても攻撃をしかける。
「倒れちまええええ!! ジジイ流・薙払術! 巨木斬!!」
巨木斬を出す刹那、左側より金棒が迫り流へと襲う。
急遽目標を変更して、流は金棒へと巨木斬を放つ。
美琴と金棒が鈍い音で重なり合うが、あまりにも善吉の力が強すぎて耐える事で精一杯になる。
「ぐっぞううううッ!!」
一瞬は均衡するが、押し負けてそのまま吹き飛ぶ流。それを逃さんと善吉の金棒が追撃をする。
しかし流は同時に両手へ厨二病あふれる「鬼の顔が付いた籠手」を創造すると、それをガードするようにクロスして金棒の追撃を防ぐが、さらに吹き飛び床へバウンドして止まる。
「ガッハッ!! ペッ……。容赦ねえなあ、オイ!」
「何を言う、お前こそ俺のスネによくも酷い事を。それよりも、だ。何故生きている? 最低あちこち骨折しているはずだが?」
「さてね……。この籠手のお陰じゃねーのか?」
「ほぅ、それはまた恰好が良いな!」
「だろう?」
流は口から血を吐きながら、自分の作品を褒めてくれた善吉に好意を抱く。
だが目付きは獣のそれになった流は、冷静に善吉の弱点を探る。
すると先程まで右スネだった場所と、もう一つ新たに右ヒザ裏がぼんやりと透けて光が見えていた。
「スネも良い具合になったな。どれ、お互い少しは回復したろう?」
「ああ、俺もそれなりに回復した。じゃあ始めるとしよう」
善吉は怪我をしているとは思えない速さで流へと迫る。
流も美琴を中段に構えると、妖力を刃に纏わせ迫る
(結構ピンチだが、第六感はオークキングほど警鐘を鳴らしていない。精々危険だってくらいだ……やれるのか?)
以前危険な状況は変わっていないが、図らずしも金棒を受けた事での自信と、第六感の感覚を信じて油断なく善吉を観察する。
そして流は待つ、善吉が動くその時を。
「どうした、来ないのか?」
「ああ、アンタに殴られた傷が痛いんでね」
「そうか……。ならばそのまま潰れるが良い!」
善吉は右足を庇うような仕草だったが、それでも大股で流へと迫る。
金棒を打ち下ろす射程まで残りわずか、それでも流はまだ動かない。
そしてついに金棒を振りかぶると、善吉は流へと振り下ろす!
「己の力を呪うが良いね、雑魚じゃ相手にならないのが悪いさね」
「そうがぞ、ガキんちょ。人生ままならぬものっちゃ」
「何したり顔で人生語っているんだよ!? 俺ってばペチってされるだろ、ペチって!! デカすぎだろ! なんだよそのバケモノ!?」
真っ青な顔になった流は、あまりの理不尽さに狼狽える。
「グハハハハ!! 何やら騒がしき事ですな。お久しぶりです、前鬼様、後鬼様」
「おお、善吉よう来てくれたがや。元気だったか?」
「悪いね善吉、今日はこの坊やの相手をしておくれ」
「お安い御用です。どうせ誰も来ぬ門ですからな……女狐以外」
「まあ~あそこまで行く馬鹿はそうそうおらんが……お嬢以外」
ハイライトが消えた目で遠くを見る善吉は、遠い過去に傾国の狐さんが遊びに来た事を懐かしく思い出す。
その様子を見た事がある前鬼も、不憫そうに善吉を見る。
「じゃあ来て早々悪いけど頼むよ。ほら、坊や! しっかりおしよ!」
「う、うん……」
思わず幼児化したような流に、苦笑いしつつも善吉は金棒をブオンと一払いする。
「久しぶりの人間界、しかもここは物の質が違う。まさか異界? まあ良い。来たからには楽しませてもらおう」
「うおお……怖えええ……」
「馬鹿ちんが! 見た目に委縮してどうするっちゃ!」
「ほら、さっさと始めな!」
「クッソ! やってやるよ!!」
「その意気だがや、行って来い」
流はやけ気味に美琴を抜刀すると、善吉の右足へ向けて駆けだす。
弱点として映ったのは右足のスネたる「弁慶の泣き所」へ向けて一直線に飛び込む。
そしてまるで巨木のようなスネへ、流は妖力を込めた美琴で斬り倒すべく業を発動する。
「ウオオオオッ!! ジジイ流・薙払術! 巨・木・斬!!」
美琴の刃に更に斧のイメージを乗せ、紫の妖力の斧が善吉へと襲い掛かる。
「っ!? おっと~」
それが危険と判断した善吉は、巨体と思えない動きで上部へひらりと飛び上がる。
空中で直径二メートル半程の金棒を軽く掲げ、それを流へと打ち付ける。
「ひぃ! ペチってするなあああ!?」
「ほ~れ」
「くっそ! ジジイ流・投擲術! 飛竜牙!!」
モグラを叩くように、流へと金棒を振り下ろす善吉に、苦無状の妖力を左手に持ち、それを四本投擲する。
善吉はそれは脅威と思わなかったのか、それを金棒で軽く弾こうとした瞬間――。
「バァカ~めぇ!」
「何っ痛っが!?」
実に悪い顔で馬鹿めと宣言する流の苦無は、金棒を回避し右足のスネへと突き刺さり、その後爆ぜる。
思わず善吉も立ち止まり、前にコケるような体制になってしまう。
それを見逃さず流は右のスネにまたしても攻撃をしかける。
「倒れちまええええ!! ジジイ流・薙払術! 巨木斬!!」
巨木斬を出す刹那、左側より金棒が迫り流へと襲う。
急遽目標を変更して、流は金棒へと巨木斬を放つ。
美琴と金棒が鈍い音で重なり合うが、あまりにも善吉の力が強すぎて耐える事で精一杯になる。
「ぐっぞううううッ!!」
一瞬は均衡するが、押し負けてそのまま吹き飛ぶ流。それを逃さんと善吉の金棒が追撃をする。
しかし流は同時に両手へ厨二病あふれる「鬼の顔が付いた籠手」を創造すると、それをガードするようにクロスして金棒の追撃を防ぐが、さらに吹き飛び床へバウンドして止まる。
「ガッハッ!! ペッ……。容赦ねえなあ、オイ!」
「何を言う、お前こそ俺のスネによくも酷い事を。それよりも、だ。何故生きている? 最低あちこち骨折しているはずだが?」
「さてね……。この籠手のお陰じゃねーのか?」
「ほぅ、それはまた恰好が良いな!」
「だろう?」
流は口から血を吐きながら、自分の作品を褒めてくれた善吉に好意を抱く。
だが目付きは獣のそれになった流は、冷静に善吉の弱点を探る。
すると先程まで右スネだった場所と、もう一つ新たに右ヒザ裏がぼんやりと透けて光が見えていた。
「スネも良い具合になったな。どれ、お互い少しは回復したろう?」
「ああ、俺もそれなりに回復した。じゃあ始めるとしよう」
善吉は怪我をしているとは思えない速さで流へと迫る。
流も美琴を中段に構えると、妖力を刃に纏わせ迫る
(結構ピンチだが、第六感はオークキングほど警鐘を鳴らしていない。精々危険だってくらいだ……やれるのか?)
以前危険な状況は変わっていないが、図らずしも金棒を受けた事での自信と、第六感の感覚を信じて油断なく善吉を観察する。
そして流は待つ、善吉が動くその時を。
「どうした、来ないのか?」
「ああ、アンタに殴られた傷が痛いんでね」
「そうか……。ならばそのまま潰れるが良い!」
善吉は右足を庇うような仕草だったが、それでも大股で流へと迫る。
金棒を打ち下ろす射程まで残りわずか、それでも流はまだ動かない。
そしてついに金棒を振りかぶると、善吉は流へと振り下ろす!
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