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第五章:殺盗団を壊滅せよ
132:大使館を訪問しよう
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「壱:では古廻はん、正面から堂々と行きまっせ! 僕は直接力を行使出来まへんけど、警戒くらいは出来ると思います!」
「よし、あまり役に立たないが期待してる!」
「壱:ドイヒー!?」
壱は抗議するように不死鳥の羽をパタパタと羽ばたかせクルクルと旋回しながら、オルドラ大使館のマップの前へと進み、正面へ向けての通りから右側の建物の前をクチバシでつつく。
「壱:まず向かって右の住宅に弓兵を確認しましたんで、そこから行きましょか~」
「了解だ、んじゃ行って来る。後は頼んだぞ二人とも」
「行ってらっしゃいませ古廻様、ご武運を」
「ふむ、お屋敷はお任せください。ご武運を」
「壱:……僕にはなんか無いんかい?」
「「邪魔だけはせぬように」」
「壱:なんでやねん!?」
そんなやり取りを見て、流は緊張していた体と心が解れるのを感じながら部屋を後にする。
部屋を出て行く流を見ながら、〆と参は壱へそっと呟く。
「兄上……流様の事を頼みましたよ」
「フム、我らの分までお願いします」
「壱:分かっとる、あんじょうするよって任せとかんかい。最悪『理』を超える覚悟はあるさかいな」
「出過ぎた事を言いました兄上」
「妹と同じ思いです」
壱は「そうかぁ」と言うと流の後を追う、それを追う様に二人も部屋を出た。
流は一階へ到着し正面ホールへと到着する。
そこには見慣れない顔の男女五人が、左側に整列していた。
全員黒装束でまるで忍びそのものだったが、西洋顔なので海外の間違ったNINJYA像を見ている気分になる。
「古廻様、先程申しました盗賊の使える生き残りです」
「お? あぁ~、あの地獄送りにならなかった運の良い奴らか。良かったなお前達、魂も凍てつく怖いおねえさんだったろ?」
「もう! 古廻様酷いです! 私はそんなに怖くない……ですよ、ね?」
〆は不安そうに耳をぺたりと倒しつつ、うっすらと涙を目端に湛えながら流を見る。
その姿は実に儚げで、酷い主人に嬲られている哀れな娘に見えた。
哀れな娘……。そう流には見えたが、流以外には別に見える。
(((あ、あのシメ様が怯えている少女のように!? コマワリ様とは、どれほど恐ろしいお方なのだ?!)))
「壱:おい弟よ、何やら小芝いが始まったようやで」
「フム。魂が凍り付く程度ならまだましと言うもの……最悪滅びますからな、魂そのものが」
(((シメ様にあのような態度!? あのお二方? もただ者じゃない! 俺達は一体誰と契約してしまったんだ……)))
「兄上方。何か、言いましたか?」
「「イエベツニ」」
〆は実に良い笑顔で兄二人を凝視する、魂が氷る視線で。
さらにクルリと振り向くと、流に自愛溢れる視線で整列している者達を紹介する。
「古廻様、この者達の代表であるキルトと申す者です。キルト、ご挨拶を」
キルトは一歩前に出て、一礼をしてから挨拶をする。
「ハッ! お初にお目にかかります御館様。この度の仕事、そして今後命尽きるまで全霊を持って尽くす所存にございます」
キルトはそう言うと右膝を折り、左膝を立て、右手を床に拳を握ったまま付け、左手は背中に回した形の最敬礼をする。
その部下達も同じように最敬礼で流に忠誠を誓う。
「おおう!? なんだか物々しいな」
「うふふ。此度はこの者共が露払いと道案内を致します」
「そうか! それは頼もしいな。大使館へは俺だけが突入すれば、多分いるであろう、ギルドの監視者も納得するだろう。それと元賊って言うのもアレだな……よし、今日からお前達は『|夜朔(よざく)』だ。月の無い夜は背中に気を付けろと言うだろう?」
「「「ハッ!」」」
「フム。実にアレで当て字なネーミングに感服ですな」
「壱:さらに最後の意味ありげな言葉! そこが古廻はんのイケてるところやな!」
「だろ? 自分でもそう思う!!」
「「「ハハハハハ」」」
「もう、何を言っているのですか……」
『…………』
ジト目の視線を背中に受けつつ、流は入口へと歩きだす。
「ではでは、行きますか!」
すると入口の扉が音も無く解放される。
入口の先にあるガーデンアプローチの両脇には、ずらりとメイドや執事達が並んでいた。
「「「行ってらっしゃいませ、御館様」」」
「おぅ……何時見ても慣れないな。行って来る、後は頼んだ」
代表してセバスが答える。
「お心安んじてお任せを」
「任せた」
そう流は言うと、振り返らず正門を出て行った。
その後を夜朔が音も無く付き従う。
「ご無事で流様……。お早いお帰りをお待ちしています」
夜朔を引き連れて闇へと消えて行く流の後ろ姿に、〆は独り言ちるのであった。
「よし、あまり役に立たないが期待してる!」
「壱:ドイヒー!?」
壱は抗議するように不死鳥の羽をパタパタと羽ばたかせクルクルと旋回しながら、オルドラ大使館のマップの前へと進み、正面へ向けての通りから右側の建物の前をクチバシでつつく。
「壱:まず向かって右の住宅に弓兵を確認しましたんで、そこから行きましょか~」
「了解だ、んじゃ行って来る。後は頼んだぞ二人とも」
「行ってらっしゃいませ古廻様、ご武運を」
「ふむ、お屋敷はお任せください。ご武運を」
「壱:……僕にはなんか無いんかい?」
「「邪魔だけはせぬように」」
「壱:なんでやねん!?」
そんなやり取りを見て、流は緊張していた体と心が解れるのを感じながら部屋を後にする。
部屋を出て行く流を見ながら、〆と参は壱へそっと呟く。
「兄上……流様の事を頼みましたよ」
「フム、我らの分までお願いします」
「壱:分かっとる、あんじょうするよって任せとかんかい。最悪『理』を超える覚悟はあるさかいな」
「出過ぎた事を言いました兄上」
「妹と同じ思いです」
壱は「そうかぁ」と言うと流の後を追う、それを追う様に二人も部屋を出た。
流は一階へ到着し正面ホールへと到着する。
そこには見慣れない顔の男女五人が、左側に整列していた。
全員黒装束でまるで忍びそのものだったが、西洋顔なので海外の間違ったNINJYA像を見ている気分になる。
「古廻様、先程申しました盗賊の使える生き残りです」
「お? あぁ~、あの地獄送りにならなかった運の良い奴らか。良かったなお前達、魂も凍てつく怖いおねえさんだったろ?」
「もう! 古廻様酷いです! 私はそんなに怖くない……ですよ、ね?」
〆は不安そうに耳をぺたりと倒しつつ、うっすらと涙を目端に湛えながら流を見る。
その姿は実に儚げで、酷い主人に嬲られている哀れな娘に見えた。
哀れな娘……。そう流には見えたが、流以外には別に見える。
(((あ、あのシメ様が怯えている少女のように!? コマワリ様とは、どれほど恐ろしいお方なのだ?!)))
「壱:おい弟よ、何やら小芝いが始まったようやで」
「フム。魂が凍り付く程度ならまだましと言うもの……最悪滅びますからな、魂そのものが」
(((シメ様にあのような態度!? あのお二方? もただ者じゃない! 俺達は一体誰と契約してしまったんだ……)))
「兄上方。何か、言いましたか?」
「「イエベツニ」」
〆は実に良い笑顔で兄二人を凝視する、魂が氷る視線で。
さらにクルリと振り向くと、流に自愛溢れる視線で整列している者達を紹介する。
「古廻様、この者達の代表であるキルトと申す者です。キルト、ご挨拶を」
キルトは一歩前に出て、一礼をしてから挨拶をする。
「ハッ! お初にお目にかかります御館様。この度の仕事、そして今後命尽きるまで全霊を持って尽くす所存にございます」
キルトはそう言うと右膝を折り、左膝を立て、右手を床に拳を握ったまま付け、左手は背中に回した形の最敬礼をする。
その部下達も同じように最敬礼で流に忠誠を誓う。
「おおう!? なんだか物々しいな」
「うふふ。此度はこの者共が露払いと道案内を致します」
「そうか! それは頼もしいな。大使館へは俺だけが突入すれば、多分いるであろう、ギルドの監視者も納得するだろう。それと元賊って言うのもアレだな……よし、今日からお前達は『|夜朔(よざく)』だ。月の無い夜は背中に気を付けろと言うだろう?」
「「「ハッ!」」」
「フム。実にアレで当て字なネーミングに感服ですな」
「壱:さらに最後の意味ありげな言葉! そこが古廻はんのイケてるところやな!」
「だろ? 自分でもそう思う!!」
「「「ハハハハハ」」」
「もう、何を言っているのですか……」
『…………』
ジト目の視線を背中に受けつつ、流は入口へと歩きだす。
「ではでは、行きますか!」
すると入口の扉が音も無く解放される。
入口の先にあるガーデンアプローチの両脇には、ずらりとメイドや執事達が並んでいた。
「「「行ってらっしゃいませ、御館様」」」
「おぅ……何時見ても慣れないな。行って来る、後は頼んだ」
代表してセバスが答える。
「お心安んじてお任せを」
「任せた」
そう流は言うと、振り返らず正門を出て行った。
その後を夜朔が音も無く付き従う。
「ご無事で流様……。お早いお帰りをお待ちしています」
夜朔を引き連れて闇へと消えて行く流の後ろ姿に、〆は独り言ちるのであった。
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