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第五章:殺盗団を壊滅せよ
118:〆オススメのアトラクション施設
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「圧巻すぎて何も考えられなくなりそうだ……。っと、いつまでもボーっとしてられん。お前達、手分けして運び出せ」
「「「ハッ!」」」
その時だった。キルトが指示を出した途端、背後から大きな音が地下室に響き渡る。
静かだった地下室に轟音と錯覚するかのような音で〝ギィ~バタンッ〟と何かがぶつかるような音がする。
「は?」
先程まで音もなく静かに開いていた扉が、何故か油切れを起こしたかのように大きな音を立てて閉まる。
その音があまりにも大きかったので、全員の視線は背後の扉へとくぎ付けになる。
「オイ、誰もいなかったはずだ。お前ら二人は扉を開けて、そのまま入口には二人見張りに立て」
「はい、分かりまし……た?」
「どうした?」
「う、後ろに豪華な椅子に座った女がいます……」
「後ろ? ――ッ!?」
そこにはまるで玉座のような形をした豪華な椅子に座る、この世の物とは思えない、美しい顔をした女が財宝の山を背景に上品に静かに座っていた。
「フフ、よく来ましたね。人と戯れるのは何時ぶりでしょうか……少し、楽しみです」
そう女が言うと、牡丹の花が咲いたように笑ったのを見て、キルトはゾっとした。
(クッ!? こいつは絶対マズイ、俺の長年生き抜いた直感が逃げろと言っている!)
「へへへ……豪華なお宝と、秘宝の数々! そしてこの女もオマケとか、最高じゃねーですか」
「ちげーね~ぜ! キルトさん、俺が一番にとっ捕まえて来ますんで、後で味見させてくださいよ~」
キルトは今から行うであろう、部下の蛮行に絶句する。
即それを止めようと口を開こうとうするが、それが無理だと悟る。
(ま、待て!! くぅ、恐怖で口が開かん!! 馬鹿共が、なぜ気が付かない!!)
「さ~って、まずはその綺麗な顔をよ~く見せてもらいま――」
無造作に〆に近づいた男は、一瞬キラリと光った一筋の何かに眉間を貫かれると、そのまま背後へとニヤケタ顔のまま倒れる。
「……? え、死んで――」
隣にいた賊も今死んだ仲間を確認した瞬間、光に眉間を貫かれ死んでしまう。
「はぁ~情けないですね。愚兄ならこの程度では死にませんよ?」
「フザケヤガッテ!! キルトさん、囲ってやっちまいましょう!!」
「? どうしたんですか、キルトさん。それにアニキ達も固まったまま動かないで?」
(馬鹿野郎! 動けねーんだよ!!)
見るとキルト以外に五人の部下達も動けないようだった。
「キルトさん? 一体どーしちまったんだ?」
「仕方ねえ、俺らであの女を捕まえよう。三方から行け、逃げられねえようにな」
(ば、馬っか野郎! 逃げれねえのは俺達だと、なぜ気が付かねぇんだ!!)
「オラ行け!」
男がそう掛け声をかけると、左右から同時に男達が〆を拘束しようと襲い掛かる。
〆はその様子を見るでもなく、視線すら合わせずキルトを見据えて動かない。
ついに賊の汚いその手が〆へと届く刹那、賊達の『影』が蠢き、そのまま賊を影の中に飲み込む。
その数は〆を拘束しようとした、全員が消える事となった。
残された賊の数は五名と、キルトのみとなる。
「お行儀の悪い人は嫌いです。でも感謝して欲しいですね……地下室とは言え、あの方のお屋敷を汚すわけにはいきませんので、直接『向こうへ』送らせていただきました」
どうやら口だけは動かせる賊が一人がいるようで、思わず震える声で聞いてしまう。
「む、向こうってどこだよ……?」
(アド!? 余計な事を聞くんじゃねえ!!)
「向こうって言えば決まっているじゃないですか、それは――」
◇◇◇
エッゾは黒い闇に落ちたかと思ったら、いきなりゴツゴツとした岩場へといた。
周りを見ると、先程まで地下室にいた仲間達もいるのを確認すると、近くにいた呆然としているヤルンに声をかける。
「ヤルン! 無事だったか?」
「エッゾか、ああ無事だったが……ここは何処だ?」
「俺が聞きたい……あの女を捕まえうとしたらいきなりココにいたからな」
周りの仲間達もあり得ない状況に混乱しているようだった。
すると一陣の風が吹く。すると何とも言えない、死臭漂う嫌な匂いがしてきた。
「エッゾ、これは何の臭いだ?」
「分からん、が。何かヤバイのは分かる。それに聞こえないか、この声みたいなの?」
そうエッゾに言われて、ヤルンは聞き耳を立てる。
すると腐臭漂う風に混ざり何かが聞こえて来る。それは悲鳴のようでもあり、嗚咽のようなものでもあった。
「ほ、本当だ。呻き声……か? 泣き声まで聞こえるぞ!」
その時だった、近くの岩山の陰から五メートル程の影が、ゆっくりと現れる。
「何だ~あ? どうして生きた人間がここさいるだ?」
「「「ヒィッ!?」」」
賊達は硬直する。そこにいたのは真っ赤な素肌で、衣服はトラの皮で作ったような腰簑をはいただけの男がそこにいた。
良く見ると頭部の天辺には、一つの角が生えている。
それはどう見ても、人間でも無ければ噂でも聞いたことのない、赤い化け物の姿だった。
「「「ハッ!」」」
その時だった。キルトが指示を出した途端、背後から大きな音が地下室に響き渡る。
静かだった地下室に轟音と錯覚するかのような音で〝ギィ~バタンッ〟と何かがぶつかるような音がする。
「は?」
先程まで音もなく静かに開いていた扉が、何故か油切れを起こしたかのように大きな音を立てて閉まる。
その音があまりにも大きかったので、全員の視線は背後の扉へとくぎ付けになる。
「オイ、誰もいなかったはずだ。お前ら二人は扉を開けて、そのまま入口には二人見張りに立て」
「はい、分かりまし……た?」
「どうした?」
「う、後ろに豪華な椅子に座った女がいます……」
「後ろ? ――ッ!?」
そこにはまるで玉座のような形をした豪華な椅子に座る、この世の物とは思えない、美しい顔をした女が財宝の山を背景に上品に静かに座っていた。
「フフ、よく来ましたね。人と戯れるのは何時ぶりでしょうか……少し、楽しみです」
そう女が言うと、牡丹の花が咲いたように笑ったのを見て、キルトはゾっとした。
(クッ!? こいつは絶対マズイ、俺の長年生き抜いた直感が逃げろと言っている!)
「へへへ……豪華なお宝と、秘宝の数々! そしてこの女もオマケとか、最高じゃねーですか」
「ちげーね~ぜ! キルトさん、俺が一番にとっ捕まえて来ますんで、後で味見させてくださいよ~」
キルトは今から行うであろう、部下の蛮行に絶句する。
即それを止めようと口を開こうとうするが、それが無理だと悟る。
(ま、待て!! くぅ、恐怖で口が開かん!! 馬鹿共が、なぜ気が付かない!!)
「さ~って、まずはその綺麗な顔をよ~く見せてもらいま――」
無造作に〆に近づいた男は、一瞬キラリと光った一筋の何かに眉間を貫かれると、そのまま背後へとニヤケタ顔のまま倒れる。
「……? え、死んで――」
隣にいた賊も今死んだ仲間を確認した瞬間、光に眉間を貫かれ死んでしまう。
「はぁ~情けないですね。愚兄ならこの程度では死にませんよ?」
「フザケヤガッテ!! キルトさん、囲ってやっちまいましょう!!」
「? どうしたんですか、キルトさん。それにアニキ達も固まったまま動かないで?」
(馬鹿野郎! 動けねーんだよ!!)
見るとキルト以外に五人の部下達も動けないようだった。
「キルトさん? 一体どーしちまったんだ?」
「仕方ねえ、俺らであの女を捕まえよう。三方から行け、逃げられねえようにな」
(ば、馬っか野郎! 逃げれねえのは俺達だと、なぜ気が付かねぇんだ!!)
「オラ行け!」
男がそう掛け声をかけると、左右から同時に男達が〆を拘束しようと襲い掛かる。
〆はその様子を見るでもなく、視線すら合わせずキルトを見据えて動かない。
ついに賊の汚いその手が〆へと届く刹那、賊達の『影』が蠢き、そのまま賊を影の中に飲み込む。
その数は〆を拘束しようとした、全員が消える事となった。
残された賊の数は五名と、キルトのみとなる。
「お行儀の悪い人は嫌いです。でも感謝して欲しいですね……地下室とは言え、あの方のお屋敷を汚すわけにはいきませんので、直接『向こうへ』送らせていただきました」
どうやら口だけは動かせる賊が一人がいるようで、思わず震える声で聞いてしまう。
「む、向こうってどこだよ……?」
(アド!? 余計な事を聞くんじゃねえ!!)
「向こうって言えば決まっているじゃないですか、それは――」
◇◇◇
エッゾは黒い闇に落ちたかと思ったら、いきなりゴツゴツとした岩場へといた。
周りを見ると、先程まで地下室にいた仲間達もいるのを確認すると、近くにいた呆然としているヤルンに声をかける。
「ヤルン! 無事だったか?」
「エッゾか、ああ無事だったが……ここは何処だ?」
「俺が聞きたい……あの女を捕まえうとしたらいきなりココにいたからな」
周りの仲間達もあり得ない状況に混乱しているようだった。
すると一陣の風が吹く。すると何とも言えない、死臭漂う嫌な匂いがしてきた。
「エッゾ、これは何の臭いだ?」
「分からん、が。何かヤバイのは分かる。それに聞こえないか、この声みたいなの?」
そうエッゾに言われて、ヤルンは聞き耳を立てる。
すると腐臭漂う風に混ざり何かが聞こえて来る。それは悲鳴のようでもあり、嗚咽のようなものでもあった。
「ほ、本当だ。呻き声……か? 泣き声まで聞こえるぞ!」
その時だった、近くの岩山の陰から五メートル程の影が、ゆっくりと現れる。
「何だ~あ? どうして生きた人間がここさいるだ?」
「「「ヒィッ!?」」」
賊達は硬直する。そこにいたのは真っ赤な素肌で、衣服はトラの皮で作ったような腰簑をはいただけの男がそこにいた。
良く見ると頭部の天辺には、一つの角が生えている。
それはどう見ても、人間でも無ければ噂でも聞いたことのない、赤い化け物の姿だった。
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