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第二章:偉大なる称号
038:肌着の定義~瞬間、ボクとワタシ心重ねて
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「レイナもリリアンも俺がどれだけ強いか分かるだろ? だからその俺が言っているんだから間違いないって」
カワードに呆れるように一人の娘が、うんざりとした感じで流へと謝罪する。
その娘は薄い紫髪で、目元がくりっとした愛嬌がある顔立ちで、美人と言うより可愛い感じの、優しそうな娘だった。
「ハァ~。そこの人ごめんなさいね。私はレイナって言うの、よろしくね」
「躾のなって無い奴ですまない、私はリリアンと言うんだ。よろしく」
レイナと雰囲気が似ているので姉妹なのか、よく似た髪の色をしているが、顔はシャープな印象で、どちらかと言えば美人と言える娘は大きな盾を持ち、流へと挨拶をした。
「チッお前ら! なんだよその態度は。俺は本当の事を――」
カワードの言葉を遮るように、耳を覆いたくなるような音で注目を集める人物が現れる。
それは手で奏でたのに、異様に大きな音で〝パンッパンッ〟と乾いた音が練習場に響き渡る。
「ハイハ~イ。子犬の遠吠えはそこまでにして、ちゃっちゃと始めるわよん♪」
下半身はピッチリとした何かの動物の皮を使ったワインレッドのボンテージ風のパンツと、そこから伸びる黒いストロング・ムタンガサスペンダーが、乳周りを際どくセービングしている人物がいた。
きっと街中でこんな女性に出会ったら、あまりのセクシーさに見とれて壁に激突するかもしれないと言う、それほどのインパクト!
そんな到底現実にはありえないと思う、異常な存在がそこに居た。
「俺は……白昼夢でも見ているのだろうか?」
その場に居た全員の気持ちを流が代弁した事で、一気に夢が現実に引き戻される。
よく見ると年齢三十代の筋骨隆々で上半身はほぼ裸! 顔だけ見れば何処に出しても恥ずかしくないと胸を張って言える、そんな紳士的なマッド★ガイがそこに居た……二度見してもやっぱり居た!
しかも何故か黒い蝶ネクタイと、シルクハットを紳士然に着用していて、もう意味が分からない。
「ミーはジェニファーちゃんって言うの、よろしくね~ん! ミーの魅力にメロメロになるのは分かるんだけどね、そろそろ始めるわよん? 初心者ちゃん達には、まず敵を倒してもらっちゃいます♪ 今からミーが敵を召喚するからチーム事になって倒してネン」
あまりの事に誰も動けないで居ると教官、ジェニファーは更に続ける。
「ここまでで何か分からない事があれば、質問してもいいのよん?」
流は魂のパトスが叫ぶまま、その思いをダイレクトに聞く。
「その蝶ネクタイは肌着なのか?」
「もう! 当たり前じゃない、淑女の嗜みよん?」
(((聞くところそこ!? って言うか淑女なの??)))
その答えに、流は満足気に三度うなずくと、ニヤリと口角をあげて目を閉じる。
そんな流以外の全員の心が今、一つに重なった瞬間であった。
「疑問は晴れ晴れと解決したわね? ぢゃあチームを決めてちょうだい!」
心は暗雲が立ち込めていたが、仕方なく初心者達はジェニファーに編成完了を伝える。
当然最初から組んでいた仲間同士で組む事となり、流は一人あまってしまう。
「あらま、そこのボーイはお一人かしらん? ギルドからヘルプしちゃう?」
「いや、それには及ばないぞ。何が出るか知らんが、俺はソロで問題ない」
「アハン♪ じゃあ怪我しないでね? 一人でも倒すモンスターは一緒よ?」
「あいよ、問題ない」
すると背後から舌打ちが、とても分かりやすく聞こえた。
「チッ! いい恰好しやがって、吠え面かくなよ」
「またぁ! カワードいい加減にしなさいよね!」
カワードの煽りに全く興味を示さない流にカワードはさらに苛立つが、ジェニファーちゃんが実力テストの開始を宣言したので落ち着く事となる。
「はい注目よ! まずはどのチームからやるのかしらん?」
「じゃあ俺達『ドラゴンスレーヤー』がやってやる!」
「カワード!? その名前で登録したの? やめてよ! 恥ずかしい!!」
「お前はトカゲしか狩った事ないのに……」
「う、ウルセーヨ! さあ教官、さっさと初めてくれ!」
「勇ましいわね、でもミーの事は『ジェニファーちゃん』とお呼びなさい、分かったわね? じゃあ行くわよん」
教官と呼ばれたのが不服だったのか、とても不一致なネーミングを、どす黒い圧力で言い渡す。
そんなジェニファーちゃんにカワード初め、新人達は高速頷きを会得する。
ジェニファーは「おいで」と空間にそう言うと、いつの間にか手にステッキを持っていた。
持ち手の部分が「悪魔に魂を抜かれている人間が苦悶の表情」をした紳士的なステッキで、それを〝コン〟と地面を勢いよく突いた。
すると平面な魔法陣が地面に描かれ、その中心から這い出るようにして、四足歩行の黄色い狼が三頭出て来る。
「この子達はミーがテイムした黄狼よん。ランクの説明は受けたわね? 黄狼はランクで言えば一星級の最上位クラスね。三匹を倒せれば二星級に挑戦出来るわん」
「それなら同時に倒したらどうなるんだ?」
「イイ! 一人で挑むボーイのその質問、実にイイワ~! そしてその答えは……モ・チ・ロ・ン♪ 二星級に合格よん」
ジェニファーちゃんは左目を強烈にウインクして流に答える。
ウインクなのに〝バチコン〟と言う幻聴が聞こえる程の衝撃を受け、流は卒倒しそうになるのだった。
カワードに呆れるように一人の娘が、うんざりとした感じで流へと謝罪する。
その娘は薄い紫髪で、目元がくりっとした愛嬌がある顔立ちで、美人と言うより可愛い感じの、優しそうな娘だった。
「ハァ~。そこの人ごめんなさいね。私はレイナって言うの、よろしくね」
「躾のなって無い奴ですまない、私はリリアンと言うんだ。よろしく」
レイナと雰囲気が似ているので姉妹なのか、よく似た髪の色をしているが、顔はシャープな印象で、どちらかと言えば美人と言える娘は大きな盾を持ち、流へと挨拶をした。
「チッお前ら! なんだよその態度は。俺は本当の事を――」
カワードの言葉を遮るように、耳を覆いたくなるような音で注目を集める人物が現れる。
それは手で奏でたのに、異様に大きな音で〝パンッパンッ〟と乾いた音が練習場に響き渡る。
「ハイハ~イ。子犬の遠吠えはそこまでにして、ちゃっちゃと始めるわよん♪」
下半身はピッチリとした何かの動物の皮を使ったワインレッドのボンテージ風のパンツと、そこから伸びる黒いストロング・ムタンガサスペンダーが、乳周りを際どくセービングしている人物がいた。
きっと街中でこんな女性に出会ったら、あまりのセクシーさに見とれて壁に激突するかもしれないと言う、それほどのインパクト!
そんな到底現実にはありえないと思う、異常な存在がそこに居た。
「俺は……白昼夢でも見ているのだろうか?」
その場に居た全員の気持ちを流が代弁した事で、一気に夢が現実に引き戻される。
よく見ると年齢三十代の筋骨隆々で上半身はほぼ裸! 顔だけ見れば何処に出しても恥ずかしくないと胸を張って言える、そんな紳士的なマッド★ガイがそこに居た……二度見してもやっぱり居た!
しかも何故か黒い蝶ネクタイと、シルクハットを紳士然に着用していて、もう意味が分からない。
「ミーはジェニファーちゃんって言うの、よろしくね~ん! ミーの魅力にメロメロになるのは分かるんだけどね、そろそろ始めるわよん? 初心者ちゃん達には、まず敵を倒してもらっちゃいます♪ 今からミーが敵を召喚するからチーム事になって倒してネン」
あまりの事に誰も動けないで居ると教官、ジェニファーは更に続ける。
「ここまでで何か分からない事があれば、質問してもいいのよん?」
流は魂のパトスが叫ぶまま、その思いをダイレクトに聞く。
「その蝶ネクタイは肌着なのか?」
「もう! 当たり前じゃない、淑女の嗜みよん?」
(((聞くところそこ!? って言うか淑女なの??)))
その答えに、流は満足気に三度うなずくと、ニヤリと口角をあげて目を閉じる。
そんな流以外の全員の心が今、一つに重なった瞬間であった。
「疑問は晴れ晴れと解決したわね? ぢゃあチームを決めてちょうだい!」
心は暗雲が立ち込めていたが、仕方なく初心者達はジェニファーに編成完了を伝える。
当然最初から組んでいた仲間同士で組む事となり、流は一人あまってしまう。
「あらま、そこのボーイはお一人かしらん? ギルドからヘルプしちゃう?」
「いや、それには及ばないぞ。何が出るか知らんが、俺はソロで問題ない」
「アハン♪ じゃあ怪我しないでね? 一人でも倒すモンスターは一緒よ?」
「あいよ、問題ない」
すると背後から舌打ちが、とても分かりやすく聞こえた。
「チッ! いい恰好しやがって、吠え面かくなよ」
「またぁ! カワードいい加減にしなさいよね!」
カワードの煽りに全く興味を示さない流にカワードはさらに苛立つが、ジェニファーちゃんが実力テストの開始を宣言したので落ち着く事となる。
「はい注目よ! まずはどのチームからやるのかしらん?」
「じゃあ俺達『ドラゴンスレーヤー』がやってやる!」
「カワード!? その名前で登録したの? やめてよ! 恥ずかしい!!」
「お前はトカゲしか狩った事ないのに……」
「う、ウルセーヨ! さあ教官、さっさと初めてくれ!」
「勇ましいわね、でもミーの事は『ジェニファーちゃん』とお呼びなさい、分かったわね? じゃあ行くわよん」
教官と呼ばれたのが不服だったのか、とても不一致なネーミングを、どす黒い圧力で言い渡す。
そんなジェニファーちゃんにカワード初め、新人達は高速頷きを会得する。
ジェニファーは「おいで」と空間にそう言うと、いつの間にか手にステッキを持っていた。
持ち手の部分が「悪魔に魂を抜かれている人間が苦悶の表情」をした紳士的なステッキで、それを〝コン〟と地面を勢いよく突いた。
すると平面な魔法陣が地面に描かれ、その中心から這い出るようにして、四足歩行の黄色い狼が三頭出て来る。
「この子達はミーがテイムした黄狼よん。ランクの説明は受けたわね? 黄狼はランクで言えば一星級の最上位クラスね。三匹を倒せれば二星級に挑戦出来るわん」
「それなら同時に倒したらどうなるんだ?」
「イイ! 一人で挑むボーイのその質問、実にイイワ~! そしてその答えは……モ・チ・ロ・ン♪ 二星級に合格よん」
ジェニファーちゃんは左目を強烈にウインクして流に答える。
ウインクなのに〝バチコン〟と言う幻聴が聞こえる程の衝撃を受け、流は卒倒しそうになるのだった。
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