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第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした
020:飴玉と信楽焼と
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「RPGも真っ青な効果は理解した、これは使い所が色々ありそうだな」
「〆:はい、その代わり全体の時間では、飴が溶けて効果が出るまでの時間は約七分です。ワサビからは一分後に効果発動となりますので、そこをお忘れになりませぬように」
「つまりワサビになってからが効果のカウントダウンだな、使い勝手は悪そうだが効果は了解した。あ、そうだ思い出した。ここに戻って来る時に障子戸が出る場所じゃない所で鉾鈴を使ったんだけど、障子戸が出なかったんだよな。何か知ってるか?」
謎の飴玉。エリク飴の講習が終わり、異世界での出来事を〆に尋ねる。
「〆:あ~それはですね、現在の状況では短時間内に|異超門(いちょうもん)を開く事が出来るのは、元の場所だけですね。異超門を使用後、二四時間経過すればどこでも開く事が出来ますが、今度はその場所でしか開く事が出来なくなるので注意してください」
「つまり二四時間たてばセーブポイントが変更可能って感じか……分かった、気を付けるよ。それと、もし俺以外もここへ連れてくることは可能なのか?」
「〆:可能です。しかし古廻様の許可が無いと異超門に触る事すら出来ませんし、攻撃も不可能です。が、見る事は可能です」
「異超門って言うのか。異界を超える門か……なるほどね、いざとなったらシェルターとしても役に立ちそうだ」
「〆:ただ過信はしないでくださいね、攻撃されると接続が不安定になる事もあり、待ち伏せの危険性もあります」
「そう言う事もあるのか、気を付けるよ」
そんな話をしていると、因幡が温泉マークの付いた|半被(はっぴ)を羽織って来る。
「〆:お風呂の準備が整っております、案内は因幡が致しますので不明な点は彼女に聞いてください」
「そうか、じゃあ因幡頼むよ」
「はーい。お客人こちらなのです」
すると何も無かった壁だった所が入口になり、その奥に廊下が続いていた。
「本当に何でもありなんだな……」
「当店自慢のどこでも回廊なのです! 便利ですよ?」
「便利すぎて普通の生活に戻るのが怖いわ。時に、俺は何時間寝てたんだ? 時計もスマホも荷物袋に入れっぱなしで見てないんだわ」
「そうですね~。一日ちょっとなのです。着ていたものは洗濯して枕元にあるですよ」
「そんなに寝てたのか……。それより、因幡は仕事が早いうさぎさんですね」
「えへへ~なのです」
因幡は照れながら風呂場の前まで案内する。
暖簾を潜ると正に大浴場がそこにあった。
正面には檜風呂があり、その左右には信楽焼の個性的な形の壺風呂が並び、打たせ湯、電気風呂、炭酸風呂、滝湯、足湯、寝湯、ゆず湯、ワイン風呂や牛乳風呂まであり、サウナまであった。
この風呂は|四阿(あずまや)のような、大きな屋根がかかっているだけの構造で、実に開放的な空間だった。
さらに奥には庭園のような露天風呂があり、あそこに入ると池に入っているんじゃないのか? と思うような作りだった。
「これはまた凄いな! 一人で入るのはもったいない感じがするな、因幡も一緒に入るか?」
「だ、ダメですょ! 年頃の娘を風呂に誘うなんて、いけないのです!」
「そうは言ってもモフモフウサギだからなぁ。つい忘れてたよ」
「もぅ! これは本当の姿ですけど、仮の姿でもあるんですからね。本当のボクは綺麗系なお姉さんなのです」
「おいおい、どっちが本当の姿なんだよ」
(お子様は背伸びしたがるって言うし……でも神話のウサギなんだよなぁ? う~む)
「そう言えば美琴はどうしたらいい? まさか風呂にまで持って行く事は無理だろう?」
「えっとですね、美琴さんは妖刀なので、水でもお湯でも塩水でも全部浸かっても問題ないのです。だから血糊が付いても浄化もしちゃうのです。あ、そうでした。先日の戦闘がとても激しかったと聞いているのです。なので少しお手入れをしたいと番頭さんが言っていたので、少し美琴さんをお借りするのです」
「そうか。それは構わないが、因幡は美琴を持てるのか?」
「うん、持てるのですよ。美琴さんが触れる事を許してくれる者なら誰でも触れるのです」
「そうか、じゃあ良く見てやってくれ。本当に今回は美琴に命を救われたからな」
そう言うと流は美琴を一撫でしてから因幡へと渡す。
「お任せあれなのです。では『|四阿(あずまや)温泉郷』をごゆっくり、お楽しみくださいなのです。月見酒は中央のコロコロと動いている石から湧き出てるですので、ご自由にお楽しみくださいなのです」
「至れり尽くせりだな……」
そう言うと因幡は美琴を両手に持つと、廊下をトテトテと戻っていった。
「しかし……どこから入ろうか迷うな」
流は掛け湯で体を清めてから浴槽へ向かう。これをしない馬鹿がたまに居るが、他人が同じような事をしているのを見たら嫌にならないのだろうか? と流は何時も思っていた。
「よし、まずは檜だな! う~ん……檜のいい香りだぁ。ヤバイ、溶けそうになるわ~」
しばらく堪能してからワイン、牛乳、電気でシビレて信楽焼の壺風呂に来てその出来に目を魅かれる。
「この火色が良い味出してるな、そして武骨ながらも滑らかな曲線が丁度湯舟に入ると遠くの山が雲海を纏っているかのようだ……狙ったかのような黄と緑の色が秋を感じさせる。本当に面白い作者だな」
などとブツブツ独り言を言っていると、突然隣から「おい、小僧」と野太い声がした。
☆*:゚♪+。.☆.+**:゚+。☆彡
【あなた様に大感謝♪】
☆*:゚+。.☆.+*♪*:゚+。★彡
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
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「〆:はい、その代わり全体の時間では、飴が溶けて効果が出るまでの時間は約七分です。ワサビからは一分後に効果発動となりますので、そこをお忘れになりませぬように」
「つまりワサビになってからが効果のカウントダウンだな、使い勝手は悪そうだが効果は了解した。あ、そうだ思い出した。ここに戻って来る時に障子戸が出る場所じゃない所で鉾鈴を使ったんだけど、障子戸が出なかったんだよな。何か知ってるか?」
謎の飴玉。エリク飴の講習が終わり、異世界での出来事を〆に尋ねる。
「〆:あ~それはですね、現在の状況では短時間内に|異超門(いちょうもん)を開く事が出来るのは、元の場所だけですね。異超門を使用後、二四時間経過すればどこでも開く事が出来ますが、今度はその場所でしか開く事が出来なくなるので注意してください」
「つまり二四時間たてばセーブポイントが変更可能って感じか……分かった、気を付けるよ。それと、もし俺以外もここへ連れてくることは可能なのか?」
「〆:可能です。しかし古廻様の許可が無いと異超門に触る事すら出来ませんし、攻撃も不可能です。が、見る事は可能です」
「異超門って言うのか。異界を超える門か……なるほどね、いざとなったらシェルターとしても役に立ちそうだ」
「〆:ただ過信はしないでくださいね、攻撃されると接続が不安定になる事もあり、待ち伏せの危険性もあります」
「そう言う事もあるのか、気を付けるよ」
そんな話をしていると、因幡が温泉マークの付いた|半被(はっぴ)を羽織って来る。
「〆:お風呂の準備が整っております、案内は因幡が致しますので不明な点は彼女に聞いてください」
「そうか、じゃあ因幡頼むよ」
「はーい。お客人こちらなのです」
すると何も無かった壁だった所が入口になり、その奥に廊下が続いていた。
「本当に何でもありなんだな……」
「当店自慢のどこでも回廊なのです! 便利ですよ?」
「便利すぎて普通の生活に戻るのが怖いわ。時に、俺は何時間寝てたんだ? 時計もスマホも荷物袋に入れっぱなしで見てないんだわ」
「そうですね~。一日ちょっとなのです。着ていたものは洗濯して枕元にあるですよ」
「そんなに寝てたのか……。それより、因幡は仕事が早いうさぎさんですね」
「えへへ~なのです」
因幡は照れながら風呂場の前まで案内する。
暖簾を潜ると正に大浴場がそこにあった。
正面には檜風呂があり、その左右には信楽焼の個性的な形の壺風呂が並び、打たせ湯、電気風呂、炭酸風呂、滝湯、足湯、寝湯、ゆず湯、ワイン風呂や牛乳風呂まであり、サウナまであった。
この風呂は|四阿(あずまや)のような、大きな屋根がかかっているだけの構造で、実に開放的な空間だった。
さらに奥には庭園のような露天風呂があり、あそこに入ると池に入っているんじゃないのか? と思うような作りだった。
「これはまた凄いな! 一人で入るのはもったいない感じがするな、因幡も一緒に入るか?」
「だ、ダメですょ! 年頃の娘を風呂に誘うなんて、いけないのです!」
「そうは言ってもモフモフウサギだからなぁ。つい忘れてたよ」
「もぅ! これは本当の姿ですけど、仮の姿でもあるんですからね。本当のボクは綺麗系なお姉さんなのです」
「おいおい、どっちが本当の姿なんだよ」
(お子様は背伸びしたがるって言うし……でも神話のウサギなんだよなぁ? う~む)
「そう言えば美琴はどうしたらいい? まさか風呂にまで持って行く事は無理だろう?」
「えっとですね、美琴さんは妖刀なので、水でもお湯でも塩水でも全部浸かっても問題ないのです。だから血糊が付いても浄化もしちゃうのです。あ、そうでした。先日の戦闘がとても激しかったと聞いているのです。なので少しお手入れをしたいと番頭さんが言っていたので、少し美琴さんをお借りするのです」
「そうか。それは構わないが、因幡は美琴を持てるのか?」
「うん、持てるのですよ。美琴さんが触れる事を許してくれる者なら誰でも触れるのです」
「そうか、じゃあ良く見てやってくれ。本当に今回は美琴に命を救われたからな」
そう言うと流は美琴を一撫でしてから因幡へと渡す。
「お任せあれなのです。では『|四阿(あずまや)温泉郷』をごゆっくり、お楽しみくださいなのです。月見酒は中央のコロコロと動いている石から湧き出てるですので、ご自由にお楽しみくださいなのです」
「至れり尽くせりだな……」
そう言うと因幡は美琴を両手に持つと、廊下をトテトテと戻っていった。
「しかし……どこから入ろうか迷うな」
流は掛け湯で体を清めてから浴槽へ向かう。これをしない馬鹿がたまに居るが、他人が同じような事をしているのを見たら嫌にならないのだろうか? と流は何時も思っていた。
「よし、まずは檜だな! う~ん……檜のいい香りだぁ。ヤバイ、溶けそうになるわ~」
しばらく堪能してからワイン、牛乳、電気でシビレて信楽焼の壺風呂に来てその出来に目を魅かれる。
「この火色が良い味出してるな、そして武骨ながらも滑らかな曲線が丁度湯舟に入ると遠くの山が雲海を纏っているかのようだ……狙ったかのような黄と緑の色が秋を感じさせる。本当に面白い作者だな」
などとブツブツ独り言を言っていると、突然隣から「おい、小僧」と野太い声がした。
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