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異怪骨董やさんと、神喰の月蝕
047:ニコ・イチ
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鳥居の向こう側にある空間。こちらからは見えないが、黒い渦の向こう側にあるどこかの異界。
そこからおもむろに引き出したるは、漆黒の霊符五枚。
材質は和紙とは違い、動物か何かの革だろうか。
見たことのないソレに描かれるは、黄金の文字列。
しかもただの金色じゃなく、金箔を霊的に貼ったものであり、並大抵の物とは格が違う。
それが誰の目にも分かるほど、漆黒の霊符は紫電をほと走らせながら右手に収まる。
霊符自体が意思を持ち、今にもオレに噛みつこうと霊符の端から牙を剥き出した口が出現。
『チィ、お前らもオレに使われた方が楽しく殺れるだろうが! いい加減大人しくしやがれ!!』
『『『『『黙れ妖妖人人!! 我らの主は戦極のみよ!!』』』』』
『オレをその名で呼ぶんぢゃねえええええ!!』
コンマ二秒で両手の指の間に五枚の霊符を挟み、十字に腕を交わえ馬鹿共を大人しくさせる。
『誰が主人か思い知れ。霊冥十五潰! 屈従縛鎖!!』
漆黒の霊符よりなお黒い、十五本の細い鎖が出現し全ての霊符の屈従に成功。
必死にもがくが、徐々に力を失い大人しくなる漆黒の霊符。
『『『『『ぐぎいい!? 戦極すまぬ……』』』』』
『手間ぁかけやがって。んぢゃあよ、お次は――コイツだ』
続けて札を放り投げ『ウ゛ン!』と術を発動。
小刻みに震えながらも、漆黒霊符はオレの両足・両腕・頭部へと張り付く。
次の瞬間、漆黒霊符と体中の霊術回路が接続し、オレ本体の妖気が流入。
漆黒霊符の金箔文字が眩しいほどに輝き、莫大な妖気が爆散したと同時に、わん太郎とグルキャンが遠くへと吹き飛ぶ。
「わ、わん太郎! 飴ん棒ちゃん!?」
それを横目でニヤケつつ見ながら、腰のクソ妖刀女に命令してやる。
『おいおい、クソ子狐の心配している場合か? 次はテメェだ美琴ぉ! 今すぐ抜刀しろや!!』
「誰がオマエみたいなヤツの言う事聞くんだよッ!!」
『口の聞き方なってねぇぞクソアマアアア!!』
腰から悲恋美琴を鞘ごと引き抜き、左手で縦に持ったまま右人差し指と中指を立てて持ち手部分の柄へと押し当てる。
『テメェはスペシャルだ。だから妖気を込めたコイツをくれてやる。霊冥九十九潰! 屈従縛鎖』
空間にしっとりと濡れた、黒いくぼみが九十九箇所出現。
そこから一気に漆黒の鎖が湧き出ると、一気に悲恋美琴へと絡みつきそのまま鞘から強制的に抜刀しようとする。
美琴は苦しげに「あううう゛」と必死に堪える。
が、その抵抗も無駄に終わり、徐々に悲恋が鞘から抜け出してきた。
錆びた金属が〝ぎがぅぃ〟と耳障りな音を立てるよりも酷い、魂から拒絶する音とともに、鞘から鮮血が流れ落ちる。
その光景に口角を上げながら、『主に従う従順さがいいねぇ~』と頬を緩め嗤う。
やがて完全抜刀された悲恋は血に染まり、涙を流すみてぇにボタボタと汚物を流す。
『無駄な抵抗だったなぁ美琴ぉ?』
「くぅ……戦極様…………」
『さて、と。コイツで準備が完了ってやつだな。見ろよ美琴ぉ。猿面の三下野郎も、最高に楽しませる舞台を用意してくれるようだぜぇ?』
二人の視線の先にある光景。
それは文曲が神喰の月蝕を封印している、結界そのものを破壊する寸前だった。
そこからおもむろに引き出したるは、漆黒の霊符五枚。
材質は和紙とは違い、動物か何かの革だろうか。
見たことのないソレに描かれるは、黄金の文字列。
しかもただの金色じゃなく、金箔を霊的に貼ったものであり、並大抵の物とは格が違う。
それが誰の目にも分かるほど、漆黒の霊符は紫電をほと走らせながら右手に収まる。
霊符自体が意思を持ち、今にもオレに噛みつこうと霊符の端から牙を剥き出した口が出現。
『チィ、お前らもオレに使われた方が楽しく殺れるだろうが! いい加減大人しくしやがれ!!』
『『『『『黙れ妖妖人人!! 我らの主は戦極のみよ!!』』』』』
『オレをその名で呼ぶんぢゃねえええええ!!』
コンマ二秒で両手の指の間に五枚の霊符を挟み、十字に腕を交わえ馬鹿共を大人しくさせる。
『誰が主人か思い知れ。霊冥十五潰! 屈従縛鎖!!』
漆黒の霊符よりなお黒い、十五本の細い鎖が出現し全ての霊符の屈従に成功。
必死にもがくが、徐々に力を失い大人しくなる漆黒の霊符。
『『『『『ぐぎいい!? 戦極すまぬ……』』』』』
『手間ぁかけやがって。んぢゃあよ、お次は――コイツだ』
続けて札を放り投げ『ウ゛ン!』と術を発動。
小刻みに震えながらも、漆黒霊符はオレの両足・両腕・頭部へと張り付く。
次の瞬間、漆黒霊符と体中の霊術回路が接続し、オレ本体の妖気が流入。
漆黒霊符の金箔文字が眩しいほどに輝き、莫大な妖気が爆散したと同時に、わん太郎とグルキャンが遠くへと吹き飛ぶ。
「わ、わん太郎! 飴ん棒ちゃん!?」
それを横目でニヤケつつ見ながら、腰のクソ妖刀女に命令してやる。
『おいおい、クソ子狐の心配している場合か? 次はテメェだ美琴ぉ! 今すぐ抜刀しろや!!』
「誰がオマエみたいなヤツの言う事聞くんだよッ!!」
『口の聞き方なってねぇぞクソアマアアア!!』
腰から悲恋美琴を鞘ごと引き抜き、左手で縦に持ったまま右人差し指と中指を立てて持ち手部分の柄へと押し当てる。
『テメェはスペシャルだ。だから妖気を込めたコイツをくれてやる。霊冥九十九潰! 屈従縛鎖』
空間にしっとりと濡れた、黒いくぼみが九十九箇所出現。
そこから一気に漆黒の鎖が湧き出ると、一気に悲恋美琴へと絡みつきそのまま鞘から強制的に抜刀しようとする。
美琴は苦しげに「あううう゛」と必死に堪える。
が、その抵抗も無駄に終わり、徐々に悲恋が鞘から抜け出してきた。
錆びた金属が〝ぎがぅぃ〟と耳障りな音を立てるよりも酷い、魂から拒絶する音とともに、鞘から鮮血が流れ落ちる。
その光景に口角を上げながら、『主に従う従順さがいいねぇ~』と頬を緩め嗤う。
やがて完全抜刀された悲恋は血に染まり、涙を流すみてぇにボタボタと汚物を流す。
『無駄な抵抗だったなぁ美琴ぉ?』
「くぅ……戦極様…………」
『さて、と。コイツで準備が完了ってやつだな。見ろよ美琴ぉ。猿面の三下野郎も、最高に楽しませる舞台を用意してくれるようだぜぇ?』
二人の視線の先にある光景。
それは文曲が神喰の月蝕を封印している、結界そのものを破壊する寸前だった。
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