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004:ファルメル国王と聖女の力
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――王都ファルメルの中央区。午後三時。
白亜宮より馬車で十数分の場所に、この国の主の住む王城が見えだす。
深い堀の中には水がゆっくりと流れ、そこに住まう水鳥が羽を休めている。
その横を聖女専用車両の旗を掲げた馬車が、高速で走り抜けたことで水鳥たちが勢いよく飛び立つ。
いや、水鳥だけではない。
遠くにいる全ての生命が、聖女が通ると分れば道を開け、それは当然人間も同じだった。
現在積荷を下ろしている商人も聖女が迫るのを見て、顔を蒼白にして部下へと命じて叫ぶ。
「ッ!? 聖女様がお通りなるぞ! 早く道を開けろ!!」
「し、しかし旦那様。まだ積荷が道に放置されたままで――」
「馬鹿者! 聖女様あっての我が国だ! 積荷など放り投げて道を作れ!!」
「は、はい!!」
馬車が通るであろう場所にあった積荷を蹴り飛ばし、商人たちは障害物をとりのぞく。
ほかの都民も同じように、全ての障害物を排除した。
そんな中、一人の子供が母親とはぐれ、泣きながら筆頭聖女たるマリエッタの乗る馬車の前へと出てきてしまう。
「おがあああさーーん! どこにいっだのおおお?!」
「ッ!? だめ! こっちへ来ちゃダメ! そこにいて!!」
フラフラと道の真ん中へと進む青い髪の子供を見て、母親が顔面蒼白になりながら駆け寄るが、時すでに遅し。
馬車が子供を、ちゅうちょなく蹴り飛ばそうとするコースへと入った事で、見ていた者たち全員が思う。
もうあの子供は助からない……と。
誰しもがそう思った刹那、馬車の中より「止まりなさい」と、静かだがよく通る美しい声が響く。
その声が絶対であり、それが全てである御者は、馬の手綱を引き馬車を急停止させた。
「あらあら。怖かったかしら? もう大丈夫よ、ぼうや?」
マリエッタはそう言いながら馬車より降りると、震える子供の頭を撫でる。
その顔は慈愛に満ちあふれ、誰が見ても聖女たる優しさにつつまれていた事で、見物人と母親は胸をなでおろす。
――そう、純真無垢な子供以外は。
「ひぅ!?」
「あらあら。どうしたというの? ワタクシがこんなにも心配していると言うのに……」
「せ、聖女様。お急ぎのところ助けていただきありがとうございます。さ、こっちにおいで坊や。早く、早く!!」
「う、うん……ひッ」
「あらあら。もう大丈夫だと言うのに、そんなに怯えなくてもよくてよ? 仕方のない坊やですわね」
そうマリエッタは言いながら、子供へと目を細めて優しげにほほえむ。
それが恐ろしかったのか、子供はさらに怯えて泣き出しながら母親の元へと走り出す。
子供を抱きしめた母親は「ありがとうございます!」と、何度も頭を下げ路地裏へと消えていく。
それを胸の前で、小さく右手を振りながら見送る笑顔のマリエッタ。
だが瞳の奥は、凍てつくサファイヤがはめ込まれたと思えるものであり、無機質な視線を親子へ向けながら、ボソリと「これだから下民は」とつぶやく。
「さ、戻りますよジハード団長」
「はッ。護衛は定位置へつけ! 出立!!」
ジハードの号令の元、馬車は聖女の旗をなびかせて走り出す。
ただ不思議なことに、いつのまにか護衛の人数が一人減っていた。
「やれやれ、急ぎだというのに困ったものですな」
「そう言うものじゃなくてよジハード。この国は聖女が国王陛下の次に力を持つのです。怯えるのも無理からなぬことですわ」
窓の外を眺めながら、マリエッタは困った感じでつづける。
「そもそも聖女が国民にこれほど恐れられてしまったのは、大聖女のアネモネが傍若無人に振る舞った結果……本当に困ったものですわねぇ」
「アネモネ様も昔は心優しいお方でしたが、いつの間にかああなってしまい……残念です……」
「本当にねぇ……一体どうしてそうなったのかしらねぇ。なににせよ、落ちた聖女の評判も今後は回復するでしょう」
「で、ではやはりアネモネ様はもう……」
「ええ、この国でワタクシより強い聖神力を持つ波動を感じ取れなくなりました。つまりもう、アネモネはこの世にいないのでしょう」
「そんな……」
右手で頭をかかえるジハードへと優しげにほほえみながら、彼のひざへと右手を添えて「大丈夫、貴方のせいではないですわ」と優しくさとす。
「アネモネは好きに振る舞いすぎたのです。だから慈愛の女神様が天へと戻したのでしょう」
その言葉でますます頭を抱えるジハードと共に、馬車が王城の門をくぐる頃、とある事件が起こっていた。
それが発覚するのは翌日の朝になるが、さほど大きくマスコミは取り上げなかった。
なにせ珍しくもない親子の水死体が川に浮いていただけなのだから。
よほど恐怖だったのか、母親は目を見開いたまま固くなり、青髪の子供は、母親へと抱きついたまま固く顔を埋め込み、離す事ができなかったらしい。
結局最後まで離すことはできず、最後はそのまま埋葬されたという……。
◇◇◇
「おおお! 待っておったぞマリエッタ! アネモネはどこじゃ!? 早よう連れてまいらぬか!!」
マリエッタが謁見の間へ入ったと同時に、玉座からファルメル国王・ゲーリー三世が転がるようにマリエッタの元へと来る。
白亜宮より馬車で十数分の場所に、この国の主の住む王城が見えだす。
深い堀の中には水がゆっくりと流れ、そこに住まう水鳥が羽を休めている。
その横を聖女専用車両の旗を掲げた馬車が、高速で走り抜けたことで水鳥たちが勢いよく飛び立つ。
いや、水鳥だけではない。
遠くにいる全ての生命が、聖女が通ると分れば道を開け、それは当然人間も同じだった。
現在積荷を下ろしている商人も聖女が迫るのを見て、顔を蒼白にして部下へと命じて叫ぶ。
「ッ!? 聖女様がお通りなるぞ! 早く道を開けろ!!」
「し、しかし旦那様。まだ積荷が道に放置されたままで――」
「馬鹿者! 聖女様あっての我が国だ! 積荷など放り投げて道を作れ!!」
「は、はい!!」
馬車が通るであろう場所にあった積荷を蹴り飛ばし、商人たちは障害物をとりのぞく。
ほかの都民も同じように、全ての障害物を排除した。
そんな中、一人の子供が母親とはぐれ、泣きながら筆頭聖女たるマリエッタの乗る馬車の前へと出てきてしまう。
「おがあああさーーん! どこにいっだのおおお?!」
「ッ!? だめ! こっちへ来ちゃダメ! そこにいて!!」
フラフラと道の真ん中へと進む青い髪の子供を見て、母親が顔面蒼白になりながら駆け寄るが、時すでに遅し。
馬車が子供を、ちゅうちょなく蹴り飛ばそうとするコースへと入った事で、見ていた者たち全員が思う。
もうあの子供は助からない……と。
誰しもがそう思った刹那、馬車の中より「止まりなさい」と、静かだがよく通る美しい声が響く。
その声が絶対であり、それが全てである御者は、馬の手綱を引き馬車を急停止させた。
「あらあら。怖かったかしら? もう大丈夫よ、ぼうや?」
マリエッタはそう言いながら馬車より降りると、震える子供の頭を撫でる。
その顔は慈愛に満ちあふれ、誰が見ても聖女たる優しさにつつまれていた事で、見物人と母親は胸をなでおろす。
――そう、純真無垢な子供以外は。
「ひぅ!?」
「あらあら。どうしたというの? ワタクシがこんなにも心配していると言うのに……」
「せ、聖女様。お急ぎのところ助けていただきありがとうございます。さ、こっちにおいで坊や。早く、早く!!」
「う、うん……ひッ」
「あらあら。もう大丈夫だと言うのに、そんなに怯えなくてもよくてよ? 仕方のない坊やですわね」
そうマリエッタは言いながら、子供へと目を細めて優しげにほほえむ。
それが恐ろしかったのか、子供はさらに怯えて泣き出しながら母親の元へと走り出す。
子供を抱きしめた母親は「ありがとうございます!」と、何度も頭を下げ路地裏へと消えていく。
それを胸の前で、小さく右手を振りながら見送る笑顔のマリエッタ。
だが瞳の奥は、凍てつくサファイヤがはめ込まれたと思えるものであり、無機質な視線を親子へ向けながら、ボソリと「これだから下民は」とつぶやく。
「さ、戻りますよジハード団長」
「はッ。護衛は定位置へつけ! 出立!!」
ジハードの号令の元、馬車は聖女の旗をなびかせて走り出す。
ただ不思議なことに、いつのまにか護衛の人数が一人減っていた。
「やれやれ、急ぎだというのに困ったものですな」
「そう言うものじゃなくてよジハード。この国は聖女が国王陛下の次に力を持つのです。怯えるのも無理からなぬことですわ」
窓の外を眺めながら、マリエッタは困った感じでつづける。
「そもそも聖女が国民にこれほど恐れられてしまったのは、大聖女のアネモネが傍若無人に振る舞った結果……本当に困ったものですわねぇ」
「アネモネ様も昔は心優しいお方でしたが、いつの間にかああなってしまい……残念です……」
「本当にねぇ……一体どうしてそうなったのかしらねぇ。なににせよ、落ちた聖女の評判も今後は回復するでしょう」
「で、ではやはりアネモネ様はもう……」
「ええ、この国でワタクシより強い聖神力を持つ波動を感じ取れなくなりました。つまりもう、アネモネはこの世にいないのでしょう」
「そんな……」
右手で頭をかかえるジハードへと優しげにほほえみながら、彼のひざへと右手を添えて「大丈夫、貴方のせいではないですわ」と優しくさとす。
「アネモネは好きに振る舞いすぎたのです。だから慈愛の女神様が天へと戻したのでしょう」
その言葉でますます頭を抱えるジハードと共に、馬車が王城の門をくぐる頃、とある事件が起こっていた。
それが発覚するのは翌日の朝になるが、さほど大きくマスコミは取り上げなかった。
なにせ珍しくもない親子の水死体が川に浮いていただけなのだから。
よほど恐怖だったのか、母親は目を見開いたまま固くなり、青髪の子供は、母親へと抱きついたまま固く顔を埋め込み、離す事ができなかったらしい。
結局最後まで離すことはできず、最後はそのまま埋葬されたという……。
◇◇◇
「おおお! 待っておったぞマリエッタ! アネモネはどこじゃ!? 早よう連れてまいらぬか!!」
マリエッタが謁見の間へ入ったと同時に、玉座からファルメル国王・ゲーリー三世が転がるようにマリエッタの元へと来る。
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