上 下
157 / 222
シーズン6-ビージアイナ戦線編

155-険しき道のり

しおりを挟む
「では、受けた戦域依頼の詳細を説明する」

私は仲間たちに向き直り、受けた戦域依頼の詳細を説明する。
丁寧に、スライドも用意してある。

「今回俺たちは、ロスミア星系までこれを運ぶことになっている」

スライドが移動して、大型の荷物の画像が出てくる。
それの正体は、補充の砲台パーツである。
正直これだけなら何個でも積めるが、問題はこの輸送が危険であることに起因する。

「私たちはハダウガゴを抜けて、まずラッカンに移動する」

ラッカン自体は、パトロール範囲内であるためまず安全だ。
しかしながら、その先が問題だ。
クロコム→アッカネン→シンバ→ロスミアというルートを通るわけだけど、
クロコムは完全な両勢力の割合を図る事が出来ない星系であり、アッカネンは敵のスカウトがいるかもしれない星系、シンバは完全に不明、ロスミアは敵との戦闘が多発する星系だ。

「安全に通行するのはほぼ不可能と言ってもいい。それから.......条約でゲート前にものを建てるのは禁止なんだけど、ビージアイナ帝国は守る気がないから、もしかするとゲート前に重力フィールドを仕掛けられたり、超大型インターディクションでワープを妨害されたりするかもしれない」
「つまるところ、いつもの事ではないでしょうか?」
「....まあな」

ノルスがそう言ってきた。
本当にその通りなんだけど、仲間たちにはしっかり伝える必要がある。
特に、ラビには。

「危険な旅だが、大丈夫か?」
「勿論! カルの隣にいれるなら、私はどこまでも付いていくよ!」
「そうか」

どうやら異論はないみたい。
そう思ってたけれど。

「待って、ご主人様」
「アリア」

アリアだけがそれに声を上げた。
どんな理由か、私が待っていると。

「私たち、危ないことは全然かまわない。だけど......ご主人様にだけは、無理をしてほしくないから」
「.....自分で死にに行くな、ってことね。了解」

私は頷いた。
無理は承知、だけど。

「今回はファイスだけじゃない。ケインも、ラビもいるからな。俺が無理をする必要はない」
「えへへっ! 頼りにされちゃった!」
「まかせて!」

ラビの強さは本物だ。
装甲板を蹴り砕ける彼女がいれば、対人戦で相手に後れを取る事もない。
ケインも、散財....じゃなく投資した結果得たコンバットスーツがある。
カスタムしまくった結果、軍用というか対人用になってしまったけど、対艦性能もある一級品だ。

「俺はもっと仲間を信じる。だから、もう無茶はしない」
「......はい!」

アリアは微笑んだ。
花が咲いたような微笑みだった。
私はその微笑みを受け、話を逸らすように声を張り上げる。

「では、出港する! 各自、持ち場につけ!」
「「「「「「『了解!!』」」」」」」

全員が着席し、私も駆動系のコンソールに手を置いた。
ようやく、ここでの物語が始まる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

願いを叶えるだけの僕と人形

十四年生
SF
人がいいだけのお人よしの僕が、どういうわけか神様に言われて、人形を背中に背負いながら、滅びたという世界で、自分以外の願いを叶えて歩くことになったそんなお話。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

能力が基本となった世界0

SF
これは、ある場所に向かう道すがら、とある男が子供の頃から組織に入るまでのことを仲間に話す。物語 能力が基本となった世界では語りきれなかった物語

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

【マテリアラーズ】 惑星を巡る素材集め屋が、大陸が全て消失した地球を再興するため、宇宙をまたにかけ、地球を復興する

紫電のチュウニー
SF
 宇宙で様々な技術が発達し、宇宙域に二足歩行知能生命体が溢れるようになった時代。  各星には様々な技術が広まり、多くの武器や防具を求め、道なる生命体や物質を採取したり、高度な 技術を生み出す惑星、地球。  その地球において、通称【マテリアラーズ】と呼ばれる、素材集め専門の集団がいた。  彼らにはスポンサーがつき、その協力を得て多くの惑星より素材を集める危険な任務を担う。  この物語はそんな素材屋で働き始めた青年と、相棒の物語である。  青年エレットは、惑星で一人の女性と出会う事になる。  数奇なる運命を持つ少女とエレットの織り成すSFハイファンタジーの世界をお楽しみください。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

ラスト・オブ・文豪

相澤愛美(@アイアイ)
SF
技術の進歩により、AIが小説を書く時代になった。芥川、夏目、川端モデルが開発され、電脳文豪(サイバライター)が小説を出版する様になる。小説好きの菊池栄太郎はある男と出会い、AI小説の危険性を聞き、AIとの小説対決をする事になる。

処理中です...