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シーズン6-ビージアイナ戦線編
155-険しき道のり
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「では、受けた戦域依頼の詳細を説明する」
私は仲間たちに向き直り、受けた戦域依頼の詳細を説明する。
丁寧に、スライドも用意してある。
「今回俺たちは、ロスミア星系までこれを運ぶことになっている」
スライドが移動して、大型の荷物の画像が出てくる。
それの正体は、補充の砲台パーツである。
正直これだけなら何個でも積めるが、問題はこの輸送が危険であることに起因する。
「私たちはハダウガゴを抜けて、まずラッカンに移動する」
ラッカン自体は、パトロール範囲内であるためまず安全だ。
しかしながら、その先が問題だ。
クロコム→アッカネン→シンバ→ロスミアというルートを通るわけだけど、
クロコムは完全な両勢力の割合を図る事が出来ない星系であり、アッカネンは敵のスカウトがいるかもしれない星系、シンバは完全に不明、ロスミアは敵との戦闘が多発する星系だ。
「安全に通行するのはほぼ不可能と言ってもいい。それから.......条約でゲート前にものを建てるのは禁止なんだけど、ビージアイナ帝国は守る気がないから、もしかするとゲート前に重力フィールドを仕掛けられたり、超大型インターディクションでワープを妨害されたりするかもしれない」
「つまるところ、いつもの事ではないでしょうか?」
「....まあな」
ノルスがそう言ってきた。
本当にその通りなんだけど、仲間たちにはしっかり伝える必要がある。
特に、ラビには。
「危険な旅だが、大丈夫か?」
「勿論! カルの隣にいれるなら、私はどこまでも付いていくよ!」
「そうか」
どうやら異論はないみたい。
そう思ってたけれど。
「待って、ご主人様」
「アリア」
アリアだけがそれに声を上げた。
どんな理由か、私が待っていると。
「私たち、危ないことは全然かまわない。だけど......ご主人様にだけは、無理をしてほしくないから」
「.....自分で死にに行くな、ってことね。了解」
私は頷いた。
無理は承知、だけど。
「今回はファイスだけじゃない。ケインも、ラビもいるからな。俺が無理をする必要はない」
「えへへっ! 頼りにされちゃった!」
「まかせて!」
ラビの強さは本物だ。
装甲板を蹴り砕ける彼女がいれば、対人戦で相手に後れを取る事もない。
ケインも、散財....じゃなく投資した結果得たコンバットスーツがある。
カスタムしまくった結果、軍用というか対人用になってしまったけど、対艦性能もある一級品だ。
「俺はもっと仲間を信じる。だから、もう無茶はしない」
「......はい!」
アリアは微笑んだ。
花が咲いたような微笑みだった。
私はその微笑みを受け、話を逸らすように声を張り上げる。
「では、出港する! 各自、持ち場につけ!」
「「「「「「『了解!!』」」」」」」
全員が着席し、私も駆動系のコンソールに手を置いた。
ようやく、ここでの物語が始まる。
私は仲間たちに向き直り、受けた戦域依頼の詳細を説明する。
丁寧に、スライドも用意してある。
「今回俺たちは、ロスミア星系までこれを運ぶことになっている」
スライドが移動して、大型の荷物の画像が出てくる。
それの正体は、補充の砲台パーツである。
正直これだけなら何個でも積めるが、問題はこの輸送が危険であることに起因する。
「私たちはハダウガゴを抜けて、まずラッカンに移動する」
ラッカン自体は、パトロール範囲内であるためまず安全だ。
しかしながら、その先が問題だ。
クロコム→アッカネン→シンバ→ロスミアというルートを通るわけだけど、
クロコムは完全な両勢力の割合を図る事が出来ない星系であり、アッカネンは敵のスカウトがいるかもしれない星系、シンバは完全に不明、ロスミアは敵との戦闘が多発する星系だ。
「安全に通行するのはほぼ不可能と言ってもいい。それから.......条約でゲート前にものを建てるのは禁止なんだけど、ビージアイナ帝国は守る気がないから、もしかするとゲート前に重力フィールドを仕掛けられたり、超大型インターディクションでワープを妨害されたりするかもしれない」
「つまるところ、いつもの事ではないでしょうか?」
「....まあな」
ノルスがそう言ってきた。
本当にその通りなんだけど、仲間たちにはしっかり伝える必要がある。
特に、ラビには。
「危険な旅だが、大丈夫か?」
「勿論! カルの隣にいれるなら、私はどこまでも付いていくよ!」
「そうか」
どうやら異論はないみたい。
そう思ってたけれど。
「待って、ご主人様」
「アリア」
アリアだけがそれに声を上げた。
どんな理由か、私が待っていると。
「私たち、危ないことは全然かまわない。だけど......ご主人様にだけは、無理をしてほしくないから」
「.....自分で死にに行くな、ってことね。了解」
私は頷いた。
無理は承知、だけど。
「今回はファイスだけじゃない。ケインも、ラビもいるからな。俺が無理をする必要はない」
「えへへっ! 頼りにされちゃった!」
「まかせて!」
ラビの強さは本物だ。
装甲板を蹴り砕ける彼女がいれば、対人戦で相手に後れを取る事もない。
ケインも、散財....じゃなく投資した結果得たコンバットスーツがある。
カスタムしまくった結果、軍用というか対人用になってしまったけど、対艦性能もある一級品だ。
「俺はもっと仲間を信じる。だから、もう無茶はしない」
「......はい!」
アリアは微笑んだ。
花が咲いたような微笑みだった。
私はその微笑みを受け、話を逸らすように声を張り上げる。
「では、出港する! 各自、持ち場につけ!」
「「「「「「『了解!!』」」」」」」
全員が着席し、私も駆動系のコンソールに手を置いた。
ようやく、ここでの物語が始まる。
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