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シーズン2-旅立ち編
046-ゲートキャンプ
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それから数時間後。
アドアステラは、ロー・セキュリティ宙域にハイパーアウトした。
ハイパードライブ航法には当然ながら航行限界が存在しており、それを超えるとハイパードライブが焼け付いてしばらくハイパーインできなくなる。
今回はとても急いでいるので、その限界距離まで一気に飛んだのだ。
レーダー班のシトリンが冷たく告げる。
『ハイパーアウト確認。周辺に敵影無し、スターシステム内スキャンを開始します』
「艦内に告げる、警戒態勢、レベルイエロー」
まあ、乗組員なんか全然いないんだけど。
『こちら機関室、ハイパードライブの冷却を開始します』
ファイスの声が艦内通信を通して聞こえてくる。
今機関室は、ファイスくらい頑丈じゃないと入れない高温だ。
冷却システムは何故か外から動かせないので、ファイスは今作業服を着用して作業中だ。
「静かだな.....」
ローと言うだけあって、艦船の姿や構造物といったものはほとんど見えない。
最初にアドアステラが浮いていたゼロ・セキュリティ宙域よりは平和なんだけど......
『マスター、ワープ反応を検知。何らかの方法で察知されたと予測されます』
「えー....総数は?」
激萎え....ってやつだね。
まさか入っていきなり発見されるとは。
『恐らく2、3隻です』
「あー、全艦レベルレッド、戦闘態勢に移行せよ」
『戦闘モードに移行します』
この船はサーマルステルスが出来るが、この速度はどこかにプローブでもあったのだろう。
SNOでも、プローブでワープアウト後の船をキャッチするテクニックがあった。
『お、中々いい船だな!』
「そうか、それで――――素通りさせてほしいんだが?」
『中身を全部置いて行けよ!』
『内臓ブチ撒けて死にたくなければな!!』
「それなら、断らせてもらおうか」
『そうかよ、まぁ――――お前をぶっ潰して中身を手に入れるのも同じ....って、逃げる気か!?』
勿論、インターディクションやワープディスラプターやスクラムを持たない敵に対して有効な手段は、逃げる事である。
お兄ちゃんも「逃げるが勝ち。恥なんてものは後からついて来るもんだ」ってよく言ってたし。
『FTL航行に移行』
『待ちやが――――』
アドアステラは一瞬で超光速航行に滑り込む。
次のスターゲートへと辿り着ければこちらのものだ。
海賊なんて相手にしてられるか! 俺は先に行くぞ! ってやつだ。
「お、おこってる?」
「怒ってないよ。ただ......最近ちょっと、平和ボケしすぎたね」
出来れば戦いたくないと思ってしまう。
常在戦場の心がけこそが一番重要なのに。
ケインを撫でつつ、私はワープ明けを待つ。
そこが一番危険だからだ。
「GC(ゲートキャンプ)なし、ゲート封鎖確認できず。このままゲートを起動する」
『ゲート起動します』
ゲートキャンプとは、SNOの移動に必須なジャンプゲートの入り口か出口に張って、入り口ならブラストウェーブ等の兵装で一撃で吹き飛ばすか、範囲型ワープ妨害でゲートの起動範囲外に引きずり出して吹き飛ばす。
出口なら、ワープに入る前にインターディクションを掛けるか、その隙に最大火力を叩きこんで沈めるのがセオリーだ。
スターゲートは古代に建造された、停止も干渉も不可能なシステムではあるが、SNOではそれを停止する古代遺物があった。
入手は激烈に困難、購入は国家予算級と実用に向くものではなかったが、メイルシュトロームとは違う大規模コアリッションに所属しているなら便利だったかもしれない。
「よし、抜けた――――えぇ.....」
アドアステラはジャンプゲートを通過したものの、その先の光景は――――
『フリゲート4、巡洋艦2、巡洋戦艦1』
「ゲートキャンプか.....」
割と本気で危ない状況であった。
何しろ、今は.....
「CJDもダメージ制御もフォートモジュールも積んでないんだよね.....」
この火力に殴られると真面目に危ない。
どうするべきか......
アドアステラは、ロー・セキュリティ宙域にハイパーアウトした。
ハイパードライブ航法には当然ながら航行限界が存在しており、それを超えるとハイパードライブが焼け付いてしばらくハイパーインできなくなる。
今回はとても急いでいるので、その限界距離まで一気に飛んだのだ。
レーダー班のシトリンが冷たく告げる。
『ハイパーアウト確認。周辺に敵影無し、スターシステム内スキャンを開始します』
「艦内に告げる、警戒態勢、レベルイエロー」
まあ、乗組員なんか全然いないんだけど。
『こちら機関室、ハイパードライブの冷却を開始します』
ファイスの声が艦内通信を通して聞こえてくる。
今機関室は、ファイスくらい頑丈じゃないと入れない高温だ。
冷却システムは何故か外から動かせないので、ファイスは今作業服を着用して作業中だ。
「静かだな.....」
ローと言うだけあって、艦船の姿や構造物といったものはほとんど見えない。
最初にアドアステラが浮いていたゼロ・セキュリティ宙域よりは平和なんだけど......
『マスター、ワープ反応を検知。何らかの方法で察知されたと予測されます』
「えー....総数は?」
激萎え....ってやつだね。
まさか入っていきなり発見されるとは。
『恐らく2、3隻です』
「あー、全艦レベルレッド、戦闘態勢に移行せよ」
『戦闘モードに移行します』
この船はサーマルステルスが出来るが、この速度はどこかにプローブでもあったのだろう。
SNOでも、プローブでワープアウト後の船をキャッチするテクニックがあった。
『お、中々いい船だな!』
「そうか、それで――――素通りさせてほしいんだが?」
『中身を全部置いて行けよ!』
『内臓ブチ撒けて死にたくなければな!!』
「それなら、断らせてもらおうか」
『そうかよ、まぁ――――お前をぶっ潰して中身を手に入れるのも同じ....って、逃げる気か!?』
勿論、インターディクションやワープディスラプターやスクラムを持たない敵に対して有効な手段は、逃げる事である。
お兄ちゃんも「逃げるが勝ち。恥なんてものは後からついて来るもんだ」ってよく言ってたし。
『FTL航行に移行』
『待ちやが――――』
アドアステラは一瞬で超光速航行に滑り込む。
次のスターゲートへと辿り着ければこちらのものだ。
海賊なんて相手にしてられるか! 俺は先に行くぞ! ってやつだ。
「お、おこってる?」
「怒ってないよ。ただ......最近ちょっと、平和ボケしすぎたね」
出来れば戦いたくないと思ってしまう。
常在戦場の心がけこそが一番重要なのに。
ケインを撫でつつ、私はワープ明けを待つ。
そこが一番危険だからだ。
「GC(ゲートキャンプ)なし、ゲート封鎖確認できず。このままゲートを起動する」
『ゲート起動します』
ゲートキャンプとは、SNOの移動に必須なジャンプゲートの入り口か出口に張って、入り口ならブラストウェーブ等の兵装で一撃で吹き飛ばすか、範囲型ワープ妨害でゲートの起動範囲外に引きずり出して吹き飛ばす。
出口なら、ワープに入る前にインターディクションを掛けるか、その隙に最大火力を叩きこんで沈めるのがセオリーだ。
スターゲートは古代に建造された、停止も干渉も不可能なシステムではあるが、SNOではそれを停止する古代遺物があった。
入手は激烈に困難、購入は国家予算級と実用に向くものではなかったが、メイルシュトロームとは違う大規模コアリッションに所属しているなら便利だったかもしれない。
「よし、抜けた――――えぇ.....」
アドアステラはジャンプゲートを通過したものの、その先の光景は――――
『フリゲート4、巡洋艦2、巡洋戦艦1』
「ゲートキャンプか.....」
割と本気で危ない状況であった。
何しろ、今は.....
「CJDもダメージ制御もフォートモジュールも積んでないんだよね.....」
この火力に殴られると真面目に危ない。
どうするべきか......
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