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シーズン1-ブライトプライム編
027-傭兵ギルド再び
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騎士との決闘が決まり、後は日にちの調整だけとなったわけだけど、私たちには目下の問題が残っている。
それは、資金と物資の不足である。
そういうわけで、私はファイスを連れて商業エリアを訪れていた。
「人が多いな」
「はっ、お気を付けを」
ファイスはアドアステラの中にあった警棒で武装している。
掏摸や不埒な者に対しては即座に襲い掛かるだろう。
「今日は俺の武器も受け取る予定だ」
「主人に合う武器であればよいのですが」
今日の予定は傭兵ギルド→銃の受け取り→当面の物資購入だ。
私たちは様々な人間の行き交う区画を、人の波を縫って歩く。
「ファイスは初めてだな、こういう場所は」
「はい。ニオイが多くて混乱しております」
「苦労を掛けるな」
生まれた頃から奴隷だった船員たちは、常識を身につけてもこういった経験だけは実際に体験しないと分からない。
だからこそ、連れ出すのは大切な事だ。
「主人、あの噴水はどういう仕組みなのでしょうか」
「.....わからんな、重力制御かもしれん」
街並みは凝っていて、噴水などは吹きあがった水が水球を形成していた。
水球から零れ落ちた水は、水しぶきを立てずに下のたまり場へと落ちていた。
「技術力は凄いのだがな」
軍事兵器への転用はまだまだ先みたいだ。
私たちは区画を下に降りて、施設が集中する行政区画へと入る。
アウトロー寄りの傭兵たちが集まる場所とは思えないが、ブライトプライムⅠに降下できる傭兵はそもそもまともであることが多いのだろう。
「ここがギルドだな」
流石にステーションとは違い、規模も大きく人の出入りも多い。
少し緊張するけど、ファイスの手前引き下がるわけにもいかない。
「......」
「凄いですね、主人」
「ああ」
一歩入ると、内部の広さが予想以上であったことが伝わって来る。
左右とロビー中央にカウンターがあり、ロビーの奥には依頼板らしきモニターが。
二階にはエスカレーターで向かう事が出来、その先に何があるかはここからじゃ分からない。
ロビーは床下やあちこちの柱や壁に嵌め込まれた照明で明るく照らされていて、受付にはちゃんと人間の女の人が立っていた。
「こんにちは、ご依頼ですか? それとも登録に?」
「シルバーなのだが、依頼は奥で見ればいいのか?」
「ええ、どうぞご自由に....」
確認は終わったので、私とファイスは奥に進み依頼板を見る。
「おい、待てよ」
その時。
何だか聞いたことのある声が隣から聞こえてきた。
「いつからシルバーになったんだ? こういう事は言いたくないが、嘘はやめておいた方がいいぜ?」
「.....えーと、どちら様だ?」
「....あのなぁ、前に名乗っただろ!」
振り返ると、くたびれたおじさんがいた。
顔は覚えてるけど、名前がどうも思い出せない。
「俺はアルゴ。アルゴ・ヴェンタス、シルバーだ」
「では、仲間という事だな」
「冗談はやめてくれよ、悪い事は言わねえから、素直にビギナーって言っておきな、死んでから後悔は出来ねえぞ」
面倒なので、私は携帯端末のホログラムでシルバーのマークを表示する。
よっぽど違法な機器でも使わなければ偽造ができないので、これで私は誰がどう見てもシルバーであることが確定したわけだ。
「な......どんな手を使って....」
「純粋な実力だ、もういいか?」
「...ああ」
アルゴは意外なほどあっさりと退いた。
私は、依頼板を見て、手ごろな海賊討伐依頼を探すのであった。
それは、資金と物資の不足である。
そういうわけで、私はファイスを連れて商業エリアを訪れていた。
「人が多いな」
「はっ、お気を付けを」
ファイスはアドアステラの中にあった警棒で武装している。
掏摸や不埒な者に対しては即座に襲い掛かるだろう。
「今日は俺の武器も受け取る予定だ」
「主人に合う武器であればよいのですが」
今日の予定は傭兵ギルド→銃の受け取り→当面の物資購入だ。
私たちは様々な人間の行き交う区画を、人の波を縫って歩く。
「ファイスは初めてだな、こういう場所は」
「はい。ニオイが多くて混乱しております」
「苦労を掛けるな」
生まれた頃から奴隷だった船員たちは、常識を身につけてもこういった経験だけは実際に体験しないと分からない。
だからこそ、連れ出すのは大切な事だ。
「主人、あの噴水はどういう仕組みなのでしょうか」
「.....わからんな、重力制御かもしれん」
街並みは凝っていて、噴水などは吹きあがった水が水球を形成していた。
水球から零れ落ちた水は、水しぶきを立てずに下のたまり場へと落ちていた。
「技術力は凄いのだがな」
軍事兵器への転用はまだまだ先みたいだ。
私たちは区画を下に降りて、施設が集中する行政区画へと入る。
アウトロー寄りの傭兵たちが集まる場所とは思えないが、ブライトプライムⅠに降下できる傭兵はそもそもまともであることが多いのだろう。
「ここがギルドだな」
流石にステーションとは違い、規模も大きく人の出入りも多い。
少し緊張するけど、ファイスの手前引き下がるわけにもいかない。
「......」
「凄いですね、主人」
「ああ」
一歩入ると、内部の広さが予想以上であったことが伝わって来る。
左右とロビー中央にカウンターがあり、ロビーの奥には依頼板らしきモニターが。
二階にはエスカレーターで向かう事が出来、その先に何があるかはここからじゃ分からない。
ロビーは床下やあちこちの柱や壁に嵌め込まれた照明で明るく照らされていて、受付にはちゃんと人間の女の人が立っていた。
「こんにちは、ご依頼ですか? それとも登録に?」
「シルバーなのだが、依頼は奥で見ればいいのか?」
「ええ、どうぞご自由に....」
確認は終わったので、私とファイスは奥に進み依頼板を見る。
「おい、待てよ」
その時。
何だか聞いたことのある声が隣から聞こえてきた。
「いつからシルバーになったんだ? こういう事は言いたくないが、嘘はやめておいた方がいいぜ?」
「.....えーと、どちら様だ?」
「....あのなぁ、前に名乗っただろ!」
振り返ると、くたびれたおじさんがいた。
顔は覚えてるけど、名前がどうも思い出せない。
「俺はアルゴ。アルゴ・ヴェンタス、シルバーだ」
「では、仲間という事だな」
「冗談はやめてくれよ、悪い事は言わねえから、素直にビギナーって言っておきな、死んでから後悔は出来ねえぞ」
面倒なので、私は携帯端末のホログラムでシルバーのマークを表示する。
よっぽど違法な機器でも使わなければ偽造ができないので、これで私は誰がどう見てもシルバーであることが確定したわけだ。
「な......どんな手を使って....」
「純粋な実力だ、もういいか?」
「...ああ」
アルゴは意外なほどあっさりと退いた。
私は、依頼板を見て、手ごろな海賊討伐依頼を探すのであった。
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