【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

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終章

208-失敗ばかりの殲滅戦

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「天地を動かさんと思うべからず、己の足元を知らざれば.....か」
『王国神話、第二十一章からの引用ですか?』
「そうだ」

いい言葉だ。
特にこの戦場では。
イレギュラーばかりだからな、戦いが始まってから.....
まず、ラグナロクのジャンプだが.....今回はオリジンスターの機構を使って最大距離のジャンプを行ったが、ワームホール形成に思ったより手間をかけてしまった。
そのせいで、ラグナロクに積んでいる往復分の燃料を少し余分に消費することになってしまった。
次に、CCCネームレスによるインシネレーター放射。
クロトザク製のフィラメントを焼き切る事で生まれる曲線式にワープドライブのエネルギー増幅式を合せることで、エネルギーを何乗にも膨れ上がらせる兵器だったが、SFモノの決戦兵器みたいな極太ではなかったため、あまり大きな効果を上げる事が出来なかった。
連射性能は買うが、今回は無駄そうだったので下がらせた。
次に、パルス発動型シールド非脆弱化燃焼ウェーブ。
戦闘前に展開する意味は特になかったので、これは完全にデモンストレーションにしかならなかった。
そもそも、王国の主力艦はレーザー系の決戦兵器を持たないようだ。
パルス発動型慣性制御燃焼ウェーブとかでよかった気がする。

「そもそも、あの発動プロトコル、要るか?」
『ネム様の発案でしょう?』
「だけどな....」

俺がシラフなら絶対躊躇うような茶番を発動プロトコルに組み込むのは、彼女らしい発案とも言える。
高周波粒子乱放射波動砲....アイギス・ワスターレは、範囲内のシールドを引っぺがす武装だ。
王国相手には有用だが、アーマー防御を主流にする国家相手にはあまり意味が無いだろう。
挙句の果てに、ナグルファー級に搭載したグラビティコラプサー。
Ve’zの技術を流用した試作品だったが、駆動系からエネルギーを奪いすぎて回路が焼けた。
どうも、使用する環境によって効果が激変するようだ。

『.......こちらツヴァイ、報告します。艦載機編隊は帰還し補給を受けています、未帰還機、21機』
「そうか」

これだけの圧倒的な差をつけても、まだ死者が出るのか....
とにかく、それだけの戦いなら再出撃は危険だな。

「ツヴァイ、プランB、無人艦載機編隊を出撃させろ」
『了解しました』

正直ドローンと何が違うんだって思うかもしれないが、無人艦載機は全て各部門トップエースの思考をトレースしたAIで構成されており、使い捨てのドローンより高度な戦闘機動を行う事が出来る。
自爆する奴もあるが、コスト的に見合わないので今回は積載していない。

『こちらホド、敵に動きあり』
「どうした、報告せよ」
『敵母艦が艦載機を全機射出、コバルトによれば、総数は百六十万に及ぶと』
「どこから持ってきたんだ、そんなパイロット....」
『こちらと同じかと、無人艦載機です』
「......アドアステラのドローン技術の応用か、悪くない手だな」

アドアステラに積まれているドローンには完全応答ドローンという制御回路が組み込まれている。
あれを量産できるのであれば、無人艦載機も夢ではない。
だが、仮に量産で来たところでそれがなんだ?

『敵艦載機にシールドを確認できません』
「やっぱりな、アドアステラの重巡洋艦用シールドジェネレーターの複製は出来なかったか」

あっちはあくまで船のシールドのみの複製のようだな。
なら、範囲攻撃ですり潰すだけだ。
ツヴァイならそう判断するだろう。

「く~....」

俺は誰にも悟られないように拳を握り締める。
バベルの塔と同じだ。
人は神にはなれない。
Ve’zやエミドがなれなかったように、技術や兵器というものは得てして最強に思えて、実際はそうではないんだと思い知らされたな。
王国は踏み潰して終わりだが、これからの戦いはそうじゃない。
もっと慎重に行かないとな.....
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