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終章

207-決戦!王国最終防衛ライン突破戦

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ジント星系。
そこは王国の最終防衛ラインである。
後ろに控えるファラフォーム星系は王都オルトスプライムに次ぐ人口を持つ星系であり、軍隊が大きく動けるのはこのジント星系のみとなる。

『壮観だな、アインス』
「はっ」

巨大な主力艦を中心に、大規模な艦隊を展開するのがNoa-Tun艦隊であり、対する王国艦隊は、保有する主力艦約千隻を一列に並べ、その周囲に夥しい数の戦艦を付随させていた。
互いの総数は、王国七十六万、連邦千二百万である。

『今回の作戦は第零~第六指揮官全員を司令塔とし、真正面からのぶつかり合いとなります。皆様、御覚悟を』
『大丈夫です』
『今更、この程度の事......』
『大丈夫だ』
『王国の奴らを全員ぶっ殺すまで、止まれないですよ!』
『ん...大丈夫』
『だいじょうぶ!』

全員の声を聴いたシンは、作戦開始のボタンをタップした。
タイマーが開始され、何かのエネルギーがオリジンスターに収束され始める。

次元間結節点ハイパージャンプ・接続型転移式ドライブ、起動せよ』
「行け」

シンの命令と共に、ジント星系へ向けて一隻の艦と、それに付随する五百の艦隊がジャンプする。
艦隊のど真ん中に、凄まじい大きさのワームホールが開く。

「これが.........大陸級.....!」

アインスがつい、言葉を漏らす。
その大きさは横4000km、縦200km。
装甲は白銀に輝き、ナグルファー級五隻を悠々と見下ろすその姿を見ての事だ。

『この艦が、俺たちの”到達点”だ。ラグナロク級大陸級旗艦級戦艦グランドオーダー、それに』

シンの言葉を遮るように、ラグナロク級の陰に隠れていた五百隻の艦船が姿を現す。

『C.C.C.ネームレス艦隊、正常に起動。CCCドゥームズデイ、インシネレーターエネルギー充填90%』

Capital Compact Commision....即ち、シンによる主力艦キャピタルクラスのコンパクト化コミッションの成果である。
ネームレスと名のついたそれは、最終兵器ドゥームズデイを撃つ事が出来るだけの兵器である。
ただし、ジャンプドライブを搭載し、ジャンプピンガーさえキャッチできればどこへでも飛ぶことのできる優れモノ。

『インシネレーター、エネルギー充填100%、放射します』
『放射開始』

放たれたエネルギーの奔流が、無数の楔となって王国艦隊に直撃、主力艦のうち何隻かを、周囲の艦船を巻き込んで撃破した。
だが、それで総崩れになることなく王国艦隊は砲撃を開始する。

『敵艦隊には”王国騎士団”なる国防戦力が付随しています、交戦の際には細心の注意を』
『分かりました、ドローン全機展開! 艦載機編隊はツヴァイの指示に従え!』
『艦載機編隊A~Cはプライマリ01に、艦載機編隊D~Fはプライマリ02へそれぞれ向かえ! プライマリG~Iはプライマリ03に展開!』
『AAB F@JK DD-SS PPR-05 SSR21(ドローン全機 ポイントR-21に接近する対象に旋回、回避機動を取りながら射撃せよ)』

その光景を見ながら、シンは呟く。

「波○砲艦隊とか、スー○ーレーザーとか、決戦兵器なのにな......太さが足りなかったか.....」
『シン様、どうされましたか?』
「何でもない.....CCCネームレスを下がらせろ、ラグナロク級ドゥームズデイにエネルギー充填開始!」
『はい! .....では、プロトコルを実行します......お風呂にしますか? ご飯にしますか? それとも....あ・た・し?』
『ご飯だ』
『了解です、パルス発動型シールド非脆弱化燃焼ウェーブ展開します』

それは、超巨大かつ超強力なナノウェーブである。
ラグナロク級から展開された金色の波動が、全ての連邦艦隊を巻き込んだ。
金色に輝くシールドを展開した連邦艦隊は、まるで何一つダメージを受けていなかったかのように振舞っていた。

『じゃ、次はお風呂だ』
『はい、御用意いたします』

ラグナロクの艦首付近にある突起が開き、変形して砲口のように変形した。

『高周波粒子乱放射波動砲........アイギス・ワスターレ、放射開始』

難しい言葉を並べたような兵器だが、その効果は実に単純である。
放射点から放射軸に合わせて円錐状に拡散していく、シールドの発動に必要な力場を形成する宇宙弦ループを乱す兵器である。

『放射終了。敵艦隊前衛のシールド消失』
『遮蔽解除ォ! グレンライカ、クラスターボム投射!』
『ナグルファー、グラビティコラプサー発動』

横に並んだナグルファーが、一斉に超兵器を放つ。
それによって、艦列を乱された前衛は一瞬で崩壊する。
ボムを迎撃するための砲撃は、射線を乱されたことで味方に命中し、シールド防御に重点を置く王国艦隊は瞬く間に傷だらけになっていく。
そして、迎撃もままならないままボムが炸裂し、主力艦を除く全ての艦が火球の中で致命傷を負い、船によっては崩壊していった。

『ナグルファー、駆動系統に異常』
『放棄してください』

機能を失ったナグルファーは、前進する艦隊の中で取り残され後ろへと流れていく。

『後衛の射程距離に入りました』
『巡航ミサイル、一斉発射!』

王国艦隊は既に崩壊し始めていた。
だが、これはただの幕開けである。
この、オルトス王国という亡国の幕を閉じた最後の戦いから、二番目の戦いの幕は、まだ開いたばかりなのである。
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