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シーズン8-オルトス王国侵攻編
176-ハダウガゴ攻略終了
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それから数時間後。
ハダウガゴ第二十二アウトポストには絶望の雰囲気が漂っていた。
付近の全滅、あるいは破壊された艦隊や前哨基地から集まってきた、ボロボロの艦隊と傷病兵たちが、口々に被害を語ったのだ。
「と、突然戦闘機が現れてっ、戦艦がやられちまったんだ!」
「前哨基地がよく分からない兵器で攻撃されて、一撃で破壊されました。我々は何とか輸送船で逃げましたが....」
その状況を見ながら、リドラ前哨基地管理官は今後を憂いた。
主力艦艦隊は既に引き撃ちによって壊滅状態にあり、第二十二アウトポストに存在する艦隊と、逃げてきた損傷した戦艦だけでは敵の主力を押さえられない。
正直なところ、降伏したい。
降伏したかったのだが.....
『こちら王国軍第二十二アウトポスト、そちらと交渉したい』
『それは処刑法についての交渉か?』
『そうではなく、降伏し――――』
『降伏は許可されません』
『何故ですか?』
『? 貴方達は戦闘員でしょう? 戦士なら名誉の戦死こそが最大の望みなのでは?』
相手の文化が違った。
応対したのはドライであり、竜人の流儀では一度闘志を燃やした者は戦死こそ最大の名誉であるとされているのだ。
人格は変わっても文化は抜けない。
それに、降伏は面倒なので最初からシンが許可していないのだ。
「ああ......どうしましょうか」
「どうされるのですか?」
「指揮は私がやります」
リドラは元々下位士官だったが、帝国の沈黙と同時に王国軍が撤退し、担当した英雄の功労の一部を押し付けられるような形で管理官に就任したため、本来求められる能力が不足していた。
「しかし....」
「他に誰がいますか? 今必要なのは、明確な責任者です。ここで私が降りれば、総大将がいなくなり、最終責任者がいなくなった状態では戦闘も避難も儘なりません。補佐をお願いします、第六艦隊司令」
「ええ、了解いたしました」
リドラは明確な意思を以て戦いに挑んだ。
だが、すべては徒労であった.....
『敵旗艦の轟沈を確認』
「思ったより楽だったな」
『主力艦隊ではありませんし、指揮系統が混乱していたようです』
「脱出した艦はあるか?」
『シャトルが数隻....然しながら、ゲートがないのでこの星系を脱するには時間が掛かるでしょう』
なら構わないか。
俺は残骸と化したアウトポストの映像を眺め、そう思った。
ハダウガゴは押さえた。
であれば、後はシルトリアリージョンへ楔を打ち込むだけだ。
「星系内の戦力の掃討は終わったか?」
『いいえ、まだです。惑星を殲滅後、広域スキャンで基地を潰して回ります』
「そうか、分かった」
前哨基地から逃げた民間人も恐らく基地に居るはずだ。
敵愾心を抱いている以上、領域主張ユニットの展開の妨げになる、消すしかない。
「指揮官クラスは一時ビルジースプライムに撤退。ツヴァイを全体の指揮官に任命する、残って休養しつつ経過を観察せよ」
『了解です』
ツヴァイはインプラントモリモリなのでそうそう疲弊しないが、他のメンバーは違う。
一度ビルジースプライムに帰還させ、休養を取らせる。
特にルルやネムはまだ子供だ、能力があるので戦わせているが、毎度覚醒を使うから、休養はしっかりとらせた方がいい。
本当は俺が戦うべきなんだろうが.....俺は戦闘は本当に向いてないからな。
ケテルに乗れば何とかというレベルだ。
「皆、よくやった。一週間後には奇襲をかけるが、その際に艦載機は使用しない、ゆっくり休んでくれ」
『了解!』
次はシルトリアリージョンのガンズ星系を襲撃する。
そこを断てば、王国はしばらくこちらに仕掛けられなくなるからな。
それが一時の目途になるだろう。
ハダウガゴ第二十二アウトポストには絶望の雰囲気が漂っていた。
付近の全滅、あるいは破壊された艦隊や前哨基地から集まってきた、ボロボロの艦隊と傷病兵たちが、口々に被害を語ったのだ。
「と、突然戦闘機が現れてっ、戦艦がやられちまったんだ!」
「前哨基地がよく分からない兵器で攻撃されて、一撃で破壊されました。我々は何とか輸送船で逃げましたが....」
その状況を見ながら、リドラ前哨基地管理官は今後を憂いた。
主力艦艦隊は既に引き撃ちによって壊滅状態にあり、第二十二アウトポストに存在する艦隊と、逃げてきた損傷した戦艦だけでは敵の主力を押さえられない。
正直なところ、降伏したい。
降伏したかったのだが.....
『こちら王国軍第二十二アウトポスト、そちらと交渉したい』
『それは処刑法についての交渉か?』
『そうではなく、降伏し――――』
『降伏は許可されません』
『何故ですか?』
『? 貴方達は戦闘員でしょう? 戦士なら名誉の戦死こそが最大の望みなのでは?』
相手の文化が違った。
応対したのはドライであり、竜人の流儀では一度闘志を燃やした者は戦死こそ最大の名誉であるとされているのだ。
人格は変わっても文化は抜けない。
それに、降伏は面倒なので最初からシンが許可していないのだ。
「ああ......どうしましょうか」
「どうされるのですか?」
「指揮は私がやります」
リドラは元々下位士官だったが、帝国の沈黙と同時に王国軍が撤退し、担当した英雄の功労の一部を押し付けられるような形で管理官に就任したため、本来求められる能力が不足していた。
「しかし....」
「他に誰がいますか? 今必要なのは、明確な責任者です。ここで私が降りれば、総大将がいなくなり、最終責任者がいなくなった状態では戦闘も避難も儘なりません。補佐をお願いします、第六艦隊司令」
「ええ、了解いたしました」
リドラは明確な意思を以て戦いに挑んだ。
だが、すべては徒労であった.....
『敵旗艦の轟沈を確認』
「思ったより楽だったな」
『主力艦隊ではありませんし、指揮系統が混乱していたようです』
「脱出した艦はあるか?」
『シャトルが数隻....然しながら、ゲートがないのでこの星系を脱するには時間が掛かるでしょう』
なら構わないか。
俺は残骸と化したアウトポストの映像を眺め、そう思った。
ハダウガゴは押さえた。
であれば、後はシルトリアリージョンへ楔を打ち込むだけだ。
「星系内の戦力の掃討は終わったか?」
『いいえ、まだです。惑星を殲滅後、広域スキャンで基地を潰して回ります』
「そうか、分かった」
前哨基地から逃げた民間人も恐らく基地に居るはずだ。
敵愾心を抱いている以上、領域主張ユニットの展開の妨げになる、消すしかない。
「指揮官クラスは一時ビルジースプライムに撤退。ツヴァイを全体の指揮官に任命する、残って休養しつつ経過を観察せよ」
『了解です』
ツヴァイはインプラントモリモリなのでそうそう疲弊しないが、他のメンバーは違う。
一度ビルジースプライムに帰還させ、休養を取らせる。
特にルルやネムはまだ子供だ、能力があるので戦わせているが、毎度覚醒を使うから、休養はしっかりとらせた方がいい。
本当は俺が戦うべきなんだろうが.....俺は戦闘は本当に向いてないからな。
ケテルに乗れば何とかというレベルだ。
「皆、よくやった。一週間後には奇襲をかけるが、その際に艦載機は使用しない、ゆっくり休んでくれ」
『了解!』
次はシルトリアリージョンのガンズ星系を襲撃する。
そこを断てば、王国はしばらくこちらに仕掛けられなくなるからな。
それが一時の目途になるだろう。
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