上 下
182 / 247
シーズン8-オルトス王国侵攻編

176-ハダウガゴ攻略終了

しおりを挟む
それから数時間後。
ハダウガゴ第二十二アウトポストには絶望の雰囲気が漂っていた。
付近の全滅、あるいは破壊された艦隊や前哨基地から集まってきた、ボロボロの艦隊と傷病兵たちが、口々に被害を語ったのだ。

「と、突然戦闘機が現れてっ、戦艦がやられちまったんだ!」
「前哨基地がよく分からない兵器で攻撃されて、一撃で破壊されました。我々は何とか輸送船で逃げましたが....」

その状況を見ながら、リドラ前哨基地管理官は今後を憂いた。
主力艦艦隊は既に引き撃ちによって壊滅状態にあり、第二十二アウトポストに存在する艦隊と、逃げてきた損傷した戦艦だけでは敵の主力を押さえられない。
正直なところ、降伏したい。
降伏したかったのだが.....

『こちら王国軍第二十二アウトポスト、そちらと交渉したい』
『それは処刑法についての交渉か?』
『そうではなく、降伏し――――』
『降伏は許可されません』
『何故ですか?』
『? 貴方達は戦闘員でしょう? 戦士なら名誉の戦死こそが最大の望みなのでは?』

相手の文化が違った。
応対したのはドライであり、竜人の流儀では一度闘志を燃やした者は戦死こそ最大の名誉であるとされているのだ。
人格は変わっても文化は抜けない。
それに、降伏は面倒なので最初からシンが許可していないのだ。

「ああ......どうしましょうか」
「どうされるのですか?」
「指揮は私がやります」

リドラは元々下位士官だったが、帝国の沈黙と同時に王国軍が撤退し、担当した英雄の功労の一部を押し付けられるような形で管理官に就任したため、本来求められる能力が不足していた。

「しかし....」
「他に誰がいますか? 今必要なのは、明確な責任者です。ここで私が降りれば、総大将がいなくなり、最終責任者がいなくなった状態では戦闘も避難も儘なりません。補佐をお願いします、第六艦隊司令」
「ええ、了解いたしました」

リドラは明確な意思を以て戦いに挑んだ。
だが、すべては徒労であった.....






『敵旗艦の轟沈を確認』
「思ったより楽だったな」
『主力艦隊ではありませんし、指揮系統が混乱していたようです』
「脱出した艦はあるか?」
『シャトルが数隻....然しながら、ゲートがないのでこの星系を脱するには時間が掛かるでしょう』

なら構わないか。
俺は残骸と化したアウトポストの映像を眺め、そう思った。
ハダウガゴは押さえた。
であれば、後はシルトリアリージョンへ楔を打ち込むだけだ。

「星系内の戦力の掃討は終わったか?」
『いいえ、まだです。惑星を殲滅後、広域スキャンで基地を潰して回ります』
「そうか、分かった」

前哨基地から逃げた民間人も恐らく基地に居るはずだ。
敵愾心を抱いている以上、領域主張ユニットの展開の妨げになる、消すしかない。

「指揮官クラスは一時ビルジースプライムに撤退。ツヴァイを全体の指揮官に任命する、残って休養しつつ経過を観察せよ」
『了解です』

ツヴァイはインプラントモリモリなのでそうそう疲弊しないが、他のメンバーは違う。
一度ビルジースプライムに帰還させ、休養を取らせる。
特にルルやネムはまだ子供だ、能力があるので戦わせているが、毎度覚醒を使うから、休養はしっかりとらせた方がいい。
本当は俺が戦うべきなんだろうが.....俺は戦闘は本当に向いてないからな。
ケテルに乗れば何とかというレベルだ。

「皆、よくやった。一週間後には奇襲をかけるが、その際に艦載機は使用しない、ゆっくり休んでくれ」
『了解!』

次はシルトリアリージョンのガンズ星系を襲撃する。
そこを断てば、王国はしばらくこちらに仕掛けられなくなるからな。
それが一時の目途になるだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

処理中です...