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シーズン8-オルトス王国侵攻編

163-天地創造/イルエジータ復興

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イルエジータの復興が始まった。
といっても、獣人国と人間国家だけだが。

「それにしても、何故あなたが.....?」
「遺族年金のようなものだ」

対エミド戦線でとんでもない数を失ったからな.....
未発進での死亡・未帰還機含めて数千人に及ぶ。
最初の奇襲で大半を失った。
その保障くらいは、してやらなければ忠誠を捧げてくれた彼らに失礼だろう。

「それよりティファナ、少し痩せたか?」
「お目汚し申し訳ございません、資源の確保に手間取っていまして...」
「そう、だろうな。だがそれも、今日までだ」

SCCには、惑星開発を有利に進めるためのツールが一つある。
有機的資源の再生を行うためのツールが。

「あれは.....?」
「テラフォーミング装置:惑星再生リバースシステムだ」

空から降りてきた巨大な装置は、奇妙な形状をしている。
下から見れば、巨大な城にも見えるだろう。

「悪いな、少し失礼するぞ」
「はい」

俺は獣人国の宮殿を出る。
外にいた獣人たちは、俺の姿を見ると同時に膝をついて敬意を示した。
俺はそれを無視して、中型ドローンの背に乗り込む。

「オーロラ、上へ」
『はい』

俺はリバースシステムの制御区画へと上がり、ホログラム放送の準備を整えた。
既に、捕獲した人間を再教育した上で、人間も一か所に誘導させてある。

「シールド転送アレイを起動しろ」
『了解』

直後、人間を集めた街と獣人国をシールドが囲む。
混乱が軽く起こるが、俺はそれに合わせてホログラム映像を起動する。

『人間ども、聞け』

結局、星空の帝王の名は人間国家にまで流れている。
ならば俺は、喜んでその役をやろう。

『星々との戦争で、この大地は傷つき枯れた。しかし、我は貴様らを決して見捨てはせぬ。しばし、その結界から出るな。この大地を再生させようぞ』

俺はリバースシステムを起動する。
言っておくが、ReverseではなくRebirthだ。
惑星の情報を即座にスキャンし、前の姿に限りなく近づけるために惑星表面部を即座に輝かせ、緑地の再生を開始する。

『こ、こんな事が......』
「もう、荒地をかき分けて根を探す必要もないな、ティファナ?」
『は、はい』

次は動植物の再生だ。
プロセスが第二段階に移行し、遺伝子再生システムが作動する。
事前に保存した種のDNAしか再生できないが、恐らく生態系を維持するには充分なデータを確保している。
流石に植物類は、最初にバイオマスを確保した時に200種類以上のDNAを保持している。
再生しても問題はない。
食い合いが始まれば、その都度調整すればいい。

「最後は海だ」

蒸発させられた海を再形成、海洋資源である魚介類を再生させ、生態系を再構築する。

「改めて見ると、凄い技術だな」
『今更では?』
「それはそうか」

こちとら人の乗らない艦隊を率いて宇宙空間を跳躍する超文明である。
そんなものは研究ツリーの遥か下なのだ。

「だが、エネルギーで物資をレプリケートするのは難しいんだろう?」
『そうですね、正直なところ、この惑星開発装置も使い捨ての超兵器です、三週間分のホールドスター用バッテリーを二個搭載して稼働しますから』

モノを自由に作り出せたら?
それは確かに理想的だが、不可能だ。
いや、不可能というよりは、効率的ではないのだ。
現在の技術ツリーであれば容易に可能だが、惑星全体を再生させるだけでこのエネルギーの消費量。
質量が増大すればするほど、そのエネルギー消費量は大きくなっていく。
であれば、掘ったほうが早いという訳だ。
長々と解説しているが、そろそろ装置の寿命が尽きそうだな。

「オーロラ、撤退する!」
『了解』

俺はオーロラにシャトルを依頼し、制御室を後にするのだった。



その日。
イルエジータは再び元の姿を取り戻した。
シンは気付いていなかったが、科学をその頭に宿さない人間と獣人にとって、それは正に神の御業である。
星空の帝王は、神となったのだ。
エミドによって、空は常に曇天、地は荒れてひび割れ、海は干上がり、森は枯れた。
そんな世界に青空を取り戻させ、地は緑と木々に覆われ、海は再びコバルトブルーの輝きを帯び始めた。

『帝王狂』

そんな言葉が、人間と獣人国の間で囁かれ始めた。
星空の帝王は神を超える存在であるため、神と呼ぶことは、教えと称して何かを広めることは無礼に当たる。
だからこそ、自分たちは帝王に狂わされ、帝王を信奉するのだという考え方が。
シンの知らない場所で、彼の一番嫌がった展開が進み始めているのであった。
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