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シーズン7-対エミド戦線

158-『アークルート』攻略戦-後編

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「いよいよ」

俺は、俺たちはワームホールの前にいた。
そのワームホールを閉じる事が、俺たちの最終目標ではあるが.....

『エミド艦の総数は1200』
「随分減ったな」
『そのようですね』

指揮官級ばかりを狙い撃ちにしたおかげで、エミドの主戦力らしい艦隊はほぼ全滅した。
ただし、それは無力化しただけであり、その存在を悟られるとまずいかもしれないが。

「エミドの階級は絶対的なものであるようで、その後の経過観察でも指揮官が急に”生えて”くる事はありませんでした」

ビシッと敬礼するアインス。
アインスには、無数のエミド艦の監視を任せたが、結局内部の人間が急に指揮官になったりなどの現象は起こらなかった。

「そういえば、エミドの通信を解析してるのか?」
『ご名答です』

エミド語は俺には学びようがない。
人間には発音できない言語だしな。
機械語とか、虫の鳴き声に近い部類のものだ。

「まあ、いいか」

俺は戦況モニターに向き直る。
見たところ、敵の指揮官は一人だけ。
ただし、容赦なく味方を盾にし、P-G艦隊のVPRが伝播しない距離を保たせている。
中々厳しい相手だ。

「だが、俺の・・オーロラを上回る程度ではないようだな」
『! 司令官、今なんと?』
「オーロラを上回る程度ではない、って言ったんだ」

どうしたいきなり?

『ではなくて、その前です!』
「まあいいか、って言ったぞ?」
『はあ....これだからお主は』

何故かディーヴァまで呆れ出した。
ここは戦場なんだがな....

「しかし、敵の壁を破れないのは問題だな......」

あのワームホールを何とかすれば、それで勝ちは確定するんだが.....
待てよ?

「.....オーロラ、ワームホールは確か、通過できる質量や熱量に制限があったな?」
『はい、現在敵本拠地へのワームホールの許容質量は残り170万Gtギガトン、熱量は残り22万TJテラジュールです』
「それなら、充分だな.....よし」

俺は頷く。
ゲーム中では、全ての最終兵器の発動コストは最低ラインが定められており、それは5PJペタジュール

「100%照射でランサー:クリムゾンロードを放て」
『しかし、それではミドガルズ・オルムが無防備になりますが.....』
「ワームホールが閉じれば、俺たちは攻勢に出られるだろう?」
『分かりました』

100%照射。
それはつまり、撃った後電力がダウンするという事であり、外部からの電力供給を受けて再起動しない限り――――つまりこの場合、人間が中に入らない限り復旧できなくなるという事だ。
負けることは許されない。

『何を考えておるのじゃ?』
「あのワームホールを撃つ。いくら制御下にあろうと、ワームホールには必ず通過制限がある。あれは、空間の歪みだからな――――即ち」

既にここには、領有権主張ユニットが展開されている。
そして、その機能の一つに「ワームホールの数を減らす代わりに、星系内資源の発見数を上げる」というものがある。
それを最大にして、ワームホールが閉じると同時に起動する。
原理は不明だが、これで再展開にしばらく時間がかかるはずだ。
少なくとも、構成に出た瞬間に増援をぶち込まれるより、遥かにマシだ。

『エネルギー充填完了』
「撃て」

俺はまっすぐ前を向き、指を突き出した。
俺の見通しが甘かったせいで、沢山の人間が死んだ。
それに罪悪感を覚える気はない。
ただ、俺のために死んでしまったやつもいる。

「成仏してくれ」






ワームホール星系の赤色を帯びた暗闇を、紅く輝く光の閃光が一直線に走る。
一直線に走ったそれは、エミド艦隊の真横をすり抜け、ワームホールへと突き刺さった。

「ジェキド様っ!!」
「な、何を!?」

その光景を見ていたキシナは、ジェキドに素早く覆い被さった。
直後。
ワームホールから伸びた光が、一直線にエミドの本拠地――――――の中央にある黒いホワイトホール、『バクタの井戸』へと伸びていく。
紅い閃光が、バクタの井戸を貫き、ホワイトホールであるそれの空間的特異点の組成を破壊した。
莫大な質量を持つバクタの井戸は、爆縮後、そのエネルギーを広範囲に撒き散らした。
何百万ものクローンを保持していたバクタラートは崩壊し、火の海に呑まれた。

「は、放せ!」
「ダメです、ジェキド様....今立ち上がれてはっ!」

キシナは、ジェキドを瓦礫から守っていた、
保存液が血のように流れ出た。

「私は問題ない! だが、お前は!」

ジェキドは隠されたエミドの本体に意識を映して、いつでも蘇生できる。
だが、キシナは――――生育型のクローン体のため、同じ物はもう作れない。

「大丈夫ですよ、あなたさえ無事であれば」
「......失敗だったな」

ジェキドはキシナの拘束から素早く脱し、立ち上がった。

「これが人間か――――面白くないものだ」

そして、全てが炎に呑まれた。
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