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シーズン6-ビージアイナ戦後

133-禁忌の火

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「さあ、作戦会議の始まりだな」
『はい』

今回作戦に参加するのは、俺一人だけだ。
一応ブリッジにケセドとゲブラーを乗せてはいるが。
他の面々は、救出後の総攻撃作戦に参加するという訳で、この場にいる。

「今回。ルルは”竜山脈”の最下層にいる。だから、秘密作戦艦で地下に侵入し、俺がルルを奪還する」
「.......一人で、ですか?」
「一人で、だ。これは、必要な事だからな」

俺はこの作戦の重要性を理解している。
指揮はネムに預け、俺自身がルルを迎えに行く。
それこそが、最重要事項なのだ。

「危険です」
「そうです、危険です、司令官」
「......済まない」

ルルはきっと、助けに来ない俺を疑っているだろう。
だから、俺は父として。夫として。
彼女を一人で迎えに行かなければならない。

「それに」

俺は背後を見上げる。

「頼もしい護衛はいるんだよな、任せた、ゲブラー、ケセド」
「命に代えても守り抜いてください!」

彼らに命はないが、ゲブラーとケセドは死力を尽くすだろう。
俺にはそんな確信があった。
彼らの中にある弱い自我が、それでも俺を守ると誓ったのならな。

「アインス、まだ完成はしていないが――――タウミエルでの出撃を許可する」
「イエッサー!」
「ツヴァイ、ルルがいない以上、現地の戦闘機隊の指揮はお前が行え」
「イエス、マイマスター」

そして最後に、俺はナージャを見る。

「どうして俺に、アザトースを託した?」
『パフェ 供給源へ 的確な利益供与』
「それは”建前”だろう?」
『..........これは ルール違反 しかし――――自分がそうしたいと 思った』
「....そうか」

俺は制帽を被りなおした。

「ディーヴァ。俺たちは禁断のメギドの火を手にした。ビージアイナ帝国ですら量産できなかったその力を、お前に預ける」
『......受領したのじゃ』

あの超主力艦が使っていた兵器を、俺たちは解析の末に手に入れた。
それは、たった一個で山脈を吹き飛ばし、そこに芽吹く命を嘲笑し蹂躙する恐るべき兵器だ。
俺はそれを振るう事に躊躇はない、だからこそそれが怖い。
多少俺に懐いているとはいえ、比較的常識を持つディーヴァにそれを預ける事にする。

「一匹は生かしておきたいな、遺伝子サンプルがあれば量産できる」
『司令官、倫理というものは....』
「人間に作られた人間のお前が、それを問うか?」

俺は笑う。
オーロラが人に倫理を問う、それこそ矛盾だ。

『司令官、私は....』
「お前は人間だ。俺はそれを認める。行こうぜ、倫理観0の司令官とAIだ」
『はい』

俺は全員を再度見下ろす。

「最悪一人残せばいい、ルルをさらった極悪人共を、一人残らず消し飛ばせ!」

俺は全員の目を睥睨して、そう叫んだ。
皆、それに静かに頷いたのであった。
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