139 / 244
シーズン6-ビージアイナ戦後
133-禁忌の火
しおりを挟む
「さあ、作戦会議の始まりだな」
『はい』
今回作戦に参加するのは、俺一人だけだ。
一応ブリッジにケセドとゲブラーを乗せてはいるが。
他の面々は、救出後の総攻撃作戦に参加するという訳で、この場にいる。
「今回。ルルは”竜山脈”の最下層にいる。だから、秘密作戦艦で地下に侵入し、俺がルルを奪還する」
「.......一人で、ですか?」
「一人で、だ。これは、必要な事だからな」
俺はこの作戦の重要性を理解している。
指揮はネムに預け、俺自身がルルを迎えに行く。
それこそが、最重要事項なのだ。
「危険です」
「そうです、危険です、司令官」
「......済まない」
ルルはきっと、助けに来ない俺を疑っているだろう。
だから、俺は父として。夫として。
彼女を一人で迎えに行かなければならない。
「それに」
俺は背後を見上げる。
「頼もしい護衛はいるんだよな、任せた、ゲブラー、ケセド」
「命に代えても守り抜いてください!」
彼らに命はないが、ゲブラーとケセドは死力を尽くすだろう。
俺にはそんな確信があった。
彼らの中にある弱い自我が、それでも俺を守ると誓ったのならな。
「アインス、まだ完成はしていないが――――タウミエルでの出撃を許可する」
「イエッサー!」
「ツヴァイ、ルルがいない以上、現地の戦闘機隊の指揮はお前が行え」
「イエス、マイマスター」
そして最後に、俺はナージャを見る。
「どうして俺に、アザトースを託した?」
『パフェ 供給源へ 的確な利益供与』
「それは”建前”だろう?」
『..........これは ルール違反 しかし――――自分がそうしたいと 思った』
「....そうか」
俺は制帽を被りなおした。
「ディーヴァ。俺たちは禁断のメギドの火を手にした。ビージアイナ帝国ですら量産できなかったその力を、お前に預ける」
『......受領したのじゃ』
あの超主力艦が使っていた兵器を、俺たちは解析の末に手に入れた。
それは、たった一個で山脈を吹き飛ばし、そこに芽吹く命を嘲笑し蹂躙する恐るべき兵器だ。
俺はそれを振るう事に躊躇はない、だからこそそれが怖い。
多少俺に懐いているとはいえ、比較的常識を持つディーヴァにそれを預ける事にする。
「一匹は生かしておきたいな、遺伝子サンプルがあれば量産できる」
『司令官、倫理というものは....』
「人間に作られた人間のお前が、それを問うか?」
俺は笑う。
オーロラが人に倫理を問う、それこそ矛盾だ。
『司令官、私は....』
「お前は人間だ。俺はそれを認める。行こうぜ、倫理観0の司令官とAIだ」
『はい』
俺は全員を再度見下ろす。
「最悪一人残せばいい、ルルをさらった極悪人共を、一人残らず消し飛ばせ!」
俺は全員の目を睥睨して、そう叫んだ。
皆、それに静かに頷いたのであった。
『はい』
今回作戦に参加するのは、俺一人だけだ。
一応ブリッジにケセドとゲブラーを乗せてはいるが。
他の面々は、救出後の総攻撃作戦に参加するという訳で、この場にいる。
「今回。ルルは”竜山脈”の最下層にいる。だから、秘密作戦艦で地下に侵入し、俺がルルを奪還する」
「.......一人で、ですか?」
「一人で、だ。これは、必要な事だからな」
俺はこの作戦の重要性を理解している。
指揮はネムに預け、俺自身がルルを迎えに行く。
それこそが、最重要事項なのだ。
「危険です」
「そうです、危険です、司令官」
「......済まない」
ルルはきっと、助けに来ない俺を疑っているだろう。
だから、俺は父として。夫として。
彼女を一人で迎えに行かなければならない。
「それに」
俺は背後を見上げる。
「頼もしい護衛はいるんだよな、任せた、ゲブラー、ケセド」
「命に代えても守り抜いてください!」
彼らに命はないが、ゲブラーとケセドは死力を尽くすだろう。
俺にはそんな確信があった。
彼らの中にある弱い自我が、それでも俺を守ると誓ったのならな。
「アインス、まだ完成はしていないが――――タウミエルでの出撃を許可する」
「イエッサー!」
「ツヴァイ、ルルがいない以上、現地の戦闘機隊の指揮はお前が行え」
「イエス、マイマスター」
そして最後に、俺はナージャを見る。
「どうして俺に、アザトースを託した?」
『パフェ 供給源へ 的確な利益供与』
「それは”建前”だろう?」
『..........これは ルール違反 しかし――――自分がそうしたいと 思った』
「....そうか」
俺は制帽を被りなおした。
「ディーヴァ。俺たちは禁断のメギドの火を手にした。ビージアイナ帝国ですら量産できなかったその力を、お前に預ける」
『......受領したのじゃ』
あの超主力艦が使っていた兵器を、俺たちは解析の末に手に入れた。
それは、たった一個で山脈を吹き飛ばし、そこに芽吹く命を嘲笑し蹂躙する恐るべき兵器だ。
俺はそれを振るう事に躊躇はない、だからこそそれが怖い。
多少俺に懐いているとはいえ、比較的常識を持つディーヴァにそれを預ける事にする。
「一匹は生かしておきたいな、遺伝子サンプルがあれば量産できる」
『司令官、倫理というものは....』
「人間に作られた人間のお前が、それを問うか?」
俺は笑う。
オーロラが人に倫理を問う、それこそ矛盾だ。
『司令官、私は....』
「お前は人間だ。俺はそれを認める。行こうぜ、倫理観0の司令官とAIだ」
『はい』
俺は全員を再度見下ろす。
「最悪一人残せばいい、ルルをさらった極悪人共を、一人残らず消し飛ばせ!」
俺は全員の目を睥睨して、そう叫んだ。
皆、それに静かに頷いたのであった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
お兄ちゃんのいない宇宙には住めません!~男装ブラコン少女の宇宙冒険記~
黴男
SF
お兄ちゃんの事が大・大・大好きな少女、黒川流歌’(くろかわるか)は、ある日突然、自分のやっていたゲームの船と共に見知らぬ宇宙へ放り出されてしまう!
だけど大丈夫!船はお兄ちゃんがくれた最強の船、「アドアステラ」!
『苦難を乗り越え星々へ』の名の通り、お兄ちゃんがくれた船を守って、必ずお兄ちゃんに会って見せるんだから!
最強無敵のお兄ちゃんに会うために、流歌はカルと名を変えて、お兄ちゃんの脳内エミュレーターを起動する。
そんなブラコン男装少女が、異世界宇宙を舞う物語!
※小説家になろう/カクヨムでも連載しています
―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――
EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。
そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。
そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。
そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。
そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。
果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。
未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する――
注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。
注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。
注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。
注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる