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シーズン6-ビージアイナ戦後
122-一転攻勢
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『それでは、作戦概要を説明する。こちらで保護したディーヴァ皇女から、敵の弱点についての情報を得る事が出来た。』
シンの声が響く中、戦闘は続いていた。
ビルジアイナディートから、無数のミサイルが放たれ、艦載機母艦と軍事力補強艦載機母艦が、搭載した武装でそれを撃ち落とす。
『天空騎士団の皆様。第六、七編隊のみ撃破作戦に加わらずに、ミサイルの撃墜に専念してください。あまり増えすぎるようですと――――』
直後、凄まじい閃光が戦場のど真ん中で花開く。
ミサイルから漏れ出たエネルギーが、急激に膨れ上がっていき、それに巻き込まれた艦載機母艦『ラクシュミー』と第二編隊の一部艦載機が、エネルギーの奔流によって焼き尽くされる。
『――――お仲間に被害が出ます』
実を言うと、先ほどから苦戦しているのはこの謎の弾頭のせいである。
主力艦のシールドを容易に打ち破るせいで、緊急回避がやっとであった。
『既に主力艦級が3隻沈んでいます』
『――――まあいい、説明を続けるぞ。あの艦は、分厚い装甲の下に本体がある。だが、軽戦闘機だけで内部にダメージを与えるのは不可能だ。そこで、軽戦闘機隊は全て、ミサイル防御に徹せよ。天空騎士団の予備戦力達は、重戦闘機に乗り出撃せよ。ルル、聞こえているな? スワロー・エッジは帰投し、バンカーバスターボムを積んで重戦闘機隊に混じれ』
『――――はい!』
その時、攻城戦艦『インペリアル・エッジ』と超巨大旗艦級戦艦である『ヤハウェ』が同時にミサイル攻撃を行い、ミサイル群を薙ぎ払った。
『.....司令官』
『どうした? ルル』
どうせ突入するなら、と。
ルルは覚悟を決め、言った。
『私は先ほど、装甲内に突入しました。ですから、私が重戦闘機隊を先導します』
『.......危険はどれほどか?』
『分かりません』
『それなら――――』
『待って!』
危険な作戦は許可できない、そう言いかけたシンの言葉を、ネムが遮った。
『アインスさん、出撃してるよね?』
『.....はい』
『アインス....』
シンの、『約束破ったな?』という声が響くが、ネムはそれを無視した。
『アインスさんの機体、タウミエル....それは、動かない相手には強いんだよね!』
『ええ...そうです』
『だったら、ルルお姉ちゃんを援護して! その機体は、厳密には戦闘機じゃないんだよね、シンさま!』
『あ、ああ.....そうだ。その機体は、戦闘機ではない。構造としては、極限まで軽量化したコルベットに近い』
明かされる衝撃の事実。
アインスは操縦桿を握り締めた。
『――――アインス、俺はその選択を責めない。俺の考えでは、責任だ軍法会議だ何だというのは、勝つなり負けるなりした後ゆっくりやるものだ。存分に舞え....あ、コックピット右下のレバーは引くなよ、まだ完成してないんだ』
『はっ!』
『アンカーアップ! 出撃したすべての重戦闘機隊は、スワロー・エッジに追従せよ!』
重戦闘機隊の群体が行く。
当然、攻撃が飛んでくるが、後方にいた戦略支援母艦オシリスが、シールドエコーとナノウェーブを照射して、戦闘機隊を支援する。
速度とシールド耐久力を増した彼らは、弾幕を回避しながら一斉に、ビルジアイナディートに張り巡らされた何かの図面のような溝へと入り込む。
本来艦載機の発進などに使われるそれは、周囲を小型タレットが警備しており、本来であれば危険なものだ。
――――だが。
『アインス、艦隊総司令シン様の命にて、参る!』
上空から一気に降下してきた神格化が、中型レーザー砲の連打でタレットを吹き飛ばす。
『もうすぐ、警備用機体が出てくるはず.....』
ルルの言葉通り、溝という弱点に侵入したルルたちを迎え撃つべく、中型のドローンが襲い掛かってくる。
『ここは私がやります!』
スワロー・エッジの機銃で、中型ドローンはその脅威を発揮する前に撃滅された。
『もうすぐ入り口です! この溝に接地した角度でなければ侵入できません、アインスは離脱を!』
『了解!』
見えてきたトンネルに、スワロー・エッジは入り込む。
入り込んですぐに、機首を思いっきり下げた。
「ぐっ、ううううう......!」
重い操縦桿を、獣人の膂力で思い切り押し込む。
そうする事で、スワロー・エッジは垂直のルートを通り、内部へと侵入する。
長いようで短い通路を抜け、ルルは光を目にした。
そして、スワロー・エッジは通路を抜けて内部の都市上空に放り出された。
『作戦の関係上、バンカーバスターボムは最初に使う事にする。熱源の集中している区画に軸線を合わせ、発射せよ!』
『了解!』
スワロー・エッジは送信されたスキャンデータをもとに軸線を合わせ、バンカーバスターボムを放ってから即座に離脱する。
ボムはレーザーを回避しながら、その区画へと着弾し――――
蹂躙の幕を、凄まじい爆発と轟音で切って落としたのだった。
シンの声が響く中、戦闘は続いていた。
ビルジアイナディートから、無数のミサイルが放たれ、艦載機母艦と軍事力補強艦載機母艦が、搭載した武装でそれを撃ち落とす。
『天空騎士団の皆様。第六、七編隊のみ撃破作戦に加わらずに、ミサイルの撃墜に専念してください。あまり増えすぎるようですと――――』
直後、凄まじい閃光が戦場のど真ん中で花開く。
ミサイルから漏れ出たエネルギーが、急激に膨れ上がっていき、それに巻き込まれた艦載機母艦『ラクシュミー』と第二編隊の一部艦載機が、エネルギーの奔流によって焼き尽くされる。
『――――お仲間に被害が出ます』
実を言うと、先ほどから苦戦しているのはこの謎の弾頭のせいである。
主力艦のシールドを容易に打ち破るせいで、緊急回避がやっとであった。
『既に主力艦級が3隻沈んでいます』
『――――まあいい、説明を続けるぞ。あの艦は、分厚い装甲の下に本体がある。だが、軽戦闘機だけで内部にダメージを与えるのは不可能だ。そこで、軽戦闘機隊は全て、ミサイル防御に徹せよ。天空騎士団の予備戦力達は、重戦闘機に乗り出撃せよ。ルル、聞こえているな? スワロー・エッジは帰投し、バンカーバスターボムを積んで重戦闘機隊に混じれ』
『――――はい!』
その時、攻城戦艦『インペリアル・エッジ』と超巨大旗艦級戦艦である『ヤハウェ』が同時にミサイル攻撃を行い、ミサイル群を薙ぎ払った。
『.....司令官』
『どうした? ルル』
どうせ突入するなら、と。
ルルは覚悟を決め、言った。
『私は先ほど、装甲内に突入しました。ですから、私が重戦闘機隊を先導します』
『.......危険はどれほどか?』
『分かりません』
『それなら――――』
『待って!』
危険な作戦は許可できない、そう言いかけたシンの言葉を、ネムが遮った。
『アインスさん、出撃してるよね?』
『.....はい』
『アインス....』
シンの、『約束破ったな?』という声が響くが、ネムはそれを無視した。
『アインスさんの機体、タウミエル....それは、動かない相手には強いんだよね!』
『ええ...そうです』
『だったら、ルルお姉ちゃんを援護して! その機体は、厳密には戦闘機じゃないんだよね、シンさま!』
『あ、ああ.....そうだ。その機体は、戦闘機ではない。構造としては、極限まで軽量化したコルベットに近い』
明かされる衝撃の事実。
アインスは操縦桿を握り締めた。
『――――アインス、俺はその選択を責めない。俺の考えでは、責任だ軍法会議だ何だというのは、勝つなり負けるなりした後ゆっくりやるものだ。存分に舞え....あ、コックピット右下のレバーは引くなよ、まだ完成してないんだ』
『はっ!』
『アンカーアップ! 出撃したすべての重戦闘機隊は、スワロー・エッジに追従せよ!』
重戦闘機隊の群体が行く。
当然、攻撃が飛んでくるが、後方にいた戦略支援母艦オシリスが、シールドエコーとナノウェーブを照射して、戦闘機隊を支援する。
速度とシールド耐久力を増した彼らは、弾幕を回避しながら一斉に、ビルジアイナディートに張り巡らされた何かの図面のような溝へと入り込む。
本来艦載機の発進などに使われるそれは、周囲を小型タレットが警備しており、本来であれば危険なものだ。
――――だが。
『アインス、艦隊総司令シン様の命にて、参る!』
上空から一気に降下してきた神格化が、中型レーザー砲の連打でタレットを吹き飛ばす。
『もうすぐ、警備用機体が出てくるはず.....』
ルルの言葉通り、溝という弱点に侵入したルルたちを迎え撃つべく、中型のドローンが襲い掛かってくる。
『ここは私がやります!』
スワロー・エッジの機銃で、中型ドローンはその脅威を発揮する前に撃滅された。
『もうすぐ入り口です! この溝に接地した角度でなければ侵入できません、アインスは離脱を!』
『了解!』
見えてきたトンネルに、スワロー・エッジは入り込む。
入り込んですぐに、機首を思いっきり下げた。
「ぐっ、ううううう......!」
重い操縦桿を、獣人の膂力で思い切り押し込む。
そうする事で、スワロー・エッジは垂直のルートを通り、内部へと侵入する。
長いようで短い通路を抜け、ルルは光を目にした。
そして、スワロー・エッジは通路を抜けて内部の都市上空に放り出された。
『作戦の関係上、バンカーバスターボムは最初に使う事にする。熱源の集中している区画に軸線を合わせ、発射せよ!』
『了解!』
スワロー・エッジは送信されたスキャンデータをもとに軸線を合わせ、バンカーバスターボムを放ってから即座に離脱する。
ボムはレーザーを回避しながら、その区画へと着弾し――――
蹂躙の幕を、凄まじい爆発と轟音で切って落としたのだった。
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