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シーズン1-クロトザク戦線
031-電撃戦
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『@※△×』
「......オーロラ?」
『言語一致、クロトザク所属正統ハルマー語』
『侵略者よ、それとも.....客人と呼ぶべきか?』
誰だコイツ。
ファーストコンタクトだが、態度がデカすぎて見てられないな。
「侵略? 我が国の艦隊に、勝手に攻撃を仕掛けたのはそちらではないか?」
『それはこちらの失態だが、何故我らに許しを請わずに攻撃した?』
「はぁ?」
何言ってんだコイツ。
『我らの母たる宇宙に、どこから棲みついたかは知らぬが勝手に寄生したというのに、まだ争いを望むのか?』
「..........」
言ってることは正しいんだけどなァ~.....
もしかして、本気でこの星系に領有権を主張しているのか?
恒星間航行もまだ未熟なのにか。
領有権ハブを設置してから言ってくれ、そういうのは。
「.....恒星間を即座に移動できる技術すら持たない文明が、この宇宙の支配者気取りかな?」
『我が皇室を侮辱した罪、この場で贖わせてやろう! 行け、我が皇室騎士団よ!』
通信が切断され、アラートが鳴り響く。
惑星から上がってきた艦隊がスキャンに映ったのだ。
「これは....」
『戦艦八隻、空母四隻ですね』
「.....本気ってわけだな――――で。勝てると思ってるのか、こいつは」
『恐らくそうでしょう』
高機動フリゲート相手に、戦艦で?
正気か?
「ただでさえゲーム中でも当たらないのに、あの精度の低さの砲撃で当てられると思ってるのか.....」
そして、戦況は大きく動き出す。
全ての艦艇が撤退を始めたのである。
まるで騎士団さえいればいいといったように。
「これで勝利は確実だな」
マリアンヌはニマリと笑う。
侵略者如きに騎士団を出すのは不愉快だが、国民に中継し見せしめにするには丁度良い。
せっかく向こうから出向いてきたのだから、自国の圧倒的な軍事力でコバエなど殲滅してしまおうという考えである。
「アールケン級戦艦、前面へと展開し空母を支援せよ!」
マリアンヌは将軍を下がらせ、直々に指揮を執る。
大艦巨砲を地で行く皇室直属の戦力をもってすれば、破壊できないものなど何もないという思い込みと共に。
『射程距離到達まで、残り3 秒』
「よし、撃て!」
マリアンヌは嬉々として命じたが、放たれた砲撃はなかなか当たらなかった。
『じ、次弾発射します!』
国民が見守るなか外すなどあってはならない。
次弾が放たれるが、当たらなかった。
「皇女、お前はひとつ勘違いをしている」
それを見て、シンは笑う。
通信は繋がっていないため、完全に独り言だが。
「長射程にすればするほど、半径が小さく尚且つ高速で動いているフリゲートには当たらないものだ」
皇女は気づいていなかったが、フリゲート艦隊は左右に分かれて騎士団の周囲を大きな円をなぞる形で航行していた。
「アロー、アコライトは近接距離にワープイン、SWDを起動して至近距離で旋回、攻撃が直撃した時点で離脱、ポイントGに移動、アンブロシアは事前にポイントG方向に転進!」
SWDとは、SubWarpDriveといい、艦船が一時的に亜光速(最大値だが)に到達できるものである。
最大稼働させればキャパシターが一瞬で尽きるが、低出力に絞ればギリギリ安定させられるのだ。
「調子に乗るな! あのハエどもを迎撃せよ!」
至近距離にワープしてきたフリゲート/コルベット艦隊に対して、皇女は撃つように命じた。
だが、それには致命的な弱点があった。
「長射程の砲台で近くの敵を狙うのはバカのやることだ」
砲台には旋回速度、追跡速度というものが存在する。
早過ぎれば砲台の旋回が間に合わず、追跡できなければロックオンしても当てられない。
あっという間に戦艦の一隻がブリッジに集中砲撃を受け、沈黙する。
「機関部をやれ! 今は射線が通っているから、一撃でも食らったら即離脱!」
旋回軌道は戦艦が邪魔になって他の艦が撃てない軌道だったのだが、手前の戦艦が邪魔でなくなった今は無意味だ。
機関部を沈黙させた後、フリゲートの二隻に砲撃が直撃する。
「やったか!」
皇女は目を輝かせるが、次の瞬間には苛立ちのあまり机を蹴飛ばした。
喰らったのはアコライトだったが、アコライトには「強襲型シールド」という特殊武装が積まれている。
強襲型と名のつく艦種にしか装備できない武装であり、一時的にシールドの強度を戦艦並みに高めることができるのだ。
「アコライト、アロー、アンブロシアはポイントGに移動! カノープスはポイントCに待機し、戦闘機を攻撃せよ!」
シンは続けて指示を出し、オーロラが船を操るのであった。
「......オーロラ?」
『言語一致、クロトザク所属正統ハルマー語』
『侵略者よ、それとも.....客人と呼ぶべきか?』
誰だコイツ。
ファーストコンタクトだが、態度がデカすぎて見てられないな。
「侵略? 我が国の艦隊に、勝手に攻撃を仕掛けたのはそちらではないか?」
『それはこちらの失態だが、何故我らに許しを請わずに攻撃した?』
「はぁ?」
何言ってんだコイツ。
『我らの母たる宇宙に、どこから棲みついたかは知らぬが勝手に寄生したというのに、まだ争いを望むのか?』
「..........」
言ってることは正しいんだけどなァ~.....
もしかして、本気でこの星系に領有権を主張しているのか?
恒星間航行もまだ未熟なのにか。
領有権ハブを設置してから言ってくれ、そういうのは。
「.....恒星間を即座に移動できる技術すら持たない文明が、この宇宙の支配者気取りかな?」
『我が皇室を侮辱した罪、この場で贖わせてやろう! 行け、我が皇室騎士団よ!』
通信が切断され、アラートが鳴り響く。
惑星から上がってきた艦隊がスキャンに映ったのだ。
「これは....」
『戦艦八隻、空母四隻ですね』
「.....本気ってわけだな――――で。勝てると思ってるのか、こいつは」
『恐らくそうでしょう』
高機動フリゲート相手に、戦艦で?
正気か?
「ただでさえゲーム中でも当たらないのに、あの精度の低さの砲撃で当てられると思ってるのか.....」
そして、戦況は大きく動き出す。
全ての艦艇が撤退を始めたのである。
まるで騎士団さえいればいいといったように。
「これで勝利は確実だな」
マリアンヌはニマリと笑う。
侵略者如きに騎士団を出すのは不愉快だが、国民に中継し見せしめにするには丁度良い。
せっかく向こうから出向いてきたのだから、自国の圧倒的な軍事力でコバエなど殲滅してしまおうという考えである。
「アールケン級戦艦、前面へと展開し空母を支援せよ!」
マリアンヌは将軍を下がらせ、直々に指揮を執る。
大艦巨砲を地で行く皇室直属の戦力をもってすれば、破壊できないものなど何もないという思い込みと共に。
『射程距離到達まで、残り3 秒』
「よし、撃て!」
マリアンヌは嬉々として命じたが、放たれた砲撃はなかなか当たらなかった。
『じ、次弾発射します!』
国民が見守るなか外すなどあってはならない。
次弾が放たれるが、当たらなかった。
「皇女、お前はひとつ勘違いをしている」
それを見て、シンは笑う。
通信は繋がっていないため、完全に独り言だが。
「長射程にすればするほど、半径が小さく尚且つ高速で動いているフリゲートには当たらないものだ」
皇女は気づいていなかったが、フリゲート艦隊は左右に分かれて騎士団の周囲を大きな円をなぞる形で航行していた。
「アロー、アコライトは近接距離にワープイン、SWDを起動して至近距離で旋回、攻撃が直撃した時点で離脱、ポイントGに移動、アンブロシアは事前にポイントG方向に転進!」
SWDとは、SubWarpDriveといい、艦船が一時的に亜光速(最大値だが)に到達できるものである。
最大稼働させればキャパシターが一瞬で尽きるが、低出力に絞ればギリギリ安定させられるのだ。
「調子に乗るな! あのハエどもを迎撃せよ!」
至近距離にワープしてきたフリゲート/コルベット艦隊に対して、皇女は撃つように命じた。
だが、それには致命的な弱点があった。
「長射程の砲台で近くの敵を狙うのはバカのやることだ」
砲台には旋回速度、追跡速度というものが存在する。
早過ぎれば砲台の旋回が間に合わず、追跡できなければロックオンしても当てられない。
あっという間に戦艦の一隻がブリッジに集中砲撃を受け、沈黙する。
「機関部をやれ! 今は射線が通っているから、一撃でも食らったら即離脱!」
旋回軌道は戦艦が邪魔になって他の艦が撃てない軌道だったのだが、手前の戦艦が邪魔でなくなった今は無意味だ。
機関部を沈黙させた後、フリゲートの二隻に砲撃が直撃する。
「やったか!」
皇女は目を輝かせるが、次の瞬間には苛立ちのあまり机を蹴飛ばした。
喰らったのはアコライトだったが、アコライトには「強襲型シールド」という特殊武装が積まれている。
強襲型と名のつく艦種にしか装備できない武装であり、一時的にシールドの強度を戦艦並みに高めることができるのだ。
「アコライト、アロー、アンブロシアはポイントGに移動! カノープスはポイントCに待機し、戦闘機を攻撃せよ!」
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