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シーズン3-コライドエッジ奪還編

093-コライドエッジ初戦 その2

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本隊がショートワープでこちらに向かって来た頃には、クロノスは十分な距離を取っていた。
回避は可能、旗艦艦隊の支援砲撃も受けられる。

『再突入ルートをくれ!』
「今、やってます!」

敵の武装、トラッキング速度、射程距離、攻撃軌道を再計算し、再度突入するルートをクロノスに転送する。
後はこれを、クロノスのアドリブに合わせて変化させていくのだ。

『行くぞ!』

クロノスは再度スラスターを起動し、砲火の中へ突っ込んでいく。
私がクロノスに指示したのは、被弾を避けつつ一隻ずつ着実に撃破するプランだ。

「敵の本隊は戦艦が5隻、巡洋艦が12、小型艦が22です」
『まずは戦艦を沈めるわけだな』
「当然、戦艦を守るために護衛艦が動くはずです。ですから――――」

クロノスは戦艦の甲板を蹴って離脱し、その隣にいた戦艦にプラズマキャノンを放った。
プラズマキャノンは先ほどと同じように戦艦を中央から真っ二つにして爆破した。
直ぐに外周部に向けて加速し、レーザーライフルで先ほどまでいた戦艦のシールドを攻撃した。

「敵艦のロックオン信号を複数検知。小型艦隊がこちらに照準を集中させています」
『よっし、行くぜ!』

艦隊の中央部を軸として、その周囲を旋回するようにクロノスは飛ぶ。
敵は複数のロックオン用信号の照射で射撃精度を高めようとしているが、クロノスがチャフをばら撒いている上、高速で移動しているため手間取っていた。

『スラスターを最大出力で起動する! ......正直、出来るかどうか怪しいけどな』
「今のあなたであれば、可能です」
『おう!』

クロノスの速度が大きく変化する。
一瞬で艦隊の後方まですり抜けたクロノスは、そこで一度静止する。

『対艦ミサイル、発射!』

装弾数が30から24へと変化し、六発の対艦小型ミサイルが一斉に小型艦隊へと向かっていく。
勿論、あれは囮に過ぎない。
こんな距離で撃ったところで、迎撃されるのがおちだ。

敵の注意がそちらに向いたところで、クロノスが再度加速する。
宇宙であっても強力なGがコックピットには掛かるものの、私には関係がない。
どんな無理な機動も、ケイローンと全身の小型スラスターで行う事が出来、その結果――――

『すげぇ! 楽しい!』
「余りに調子に乗らないでください」

複雑な機動を描きながら移動することに成功し、敵のセンサーのトラッキングを完全に振り切る事が出来た。
その上で、速度を落とすタイミングで正確に射撃を撃ち込むことで、レーザーライフルの高出力な射撃を生かして三点バーストの要領でシールドを破壊、装甲を破壊、機関部に到達の三ステップを行い続け、小型艦隊の過半数を無力化することに成功した。
流石にこの出力のライフルでは、撃沈させるのは不可能だが.....

『離脱する!』
「了解!」

指定のルートが終わったようであり、クロノスがX-ブーストを使用して離脱する。
小型艦は私たちの艦隊が相手をするとして、後は戦艦4隻と巡洋艦10隻である。

「どうしますか?」
『正攻法で行くしかないだろ?』
「....そうですね、やりましょう」

クロノスのスラスター出力が、一瞬で最大まで跳ね上がる。
速度を増したクロノスは、巡洋艦艦隊の真下まで数秒で移動し、ライフルを構える。
そして、直ぐに射撃を開始する。
ラデウル艦の特徴として、底面部の防御が厚い代わりに武装が貧弱というものがあり、今回はそれを逆手に取った形となる。

『対艦ミサイル発射!』

シールドをライフルの連射で引っぺがし、そこに対艦ミサイルを打ち込む。
例え防御が厚かろうと、正式な軍用の対艦ミサイルである。
巡洋艦6隻の艦底部に穴を開け、気密を失わせる。

「クロノス、艦底部にプラズマキャノンを! エネルギーを低くし、断面部の修復阻害を目的に発射します!」
『おう!』

一隻ずつ、無力化していく。
正直なところ、全ての艦にプラズマキャノンを発射していると電力の供給が追いつかなくなってしまう。

『フフフフフ.......電力を気にしていますね?』

その時。
ZENITHの声が響いた。
私が慌ててそれに応じると、

『送電照射装置稼働!』

グランシオン級の艦首付近が光り、クロノスに何かが照射された。
直後、蓄電池の電力が少しずつ回復していく。

「これは......」
『新装備ですよ。グランシオン級から150km以内であれば電力を回復できます!』
「....!」

これなら、もう少しばかり戦える。
私は、クロノスに次の手を指示する。

「このまま戦艦の直上に回り込みましょう!」
『ああ!!』

クロノスは頷き、スラスターを再度噴射して加速するのであった。
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