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シーズン2-シークトリア首都編
080-懐古との決別
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その頃、クレインはclavisの部屋へと侵入していた。
clavisの保管装置を開き、ボロボロの彼女を取り出す。
修復している時間はない。
「起きれるか、Clavis?」
「.......はい、どのような御用ですか」
感情が希薄になったClavisは、クレインの指示通りに起き上がる。
クレインはClavisに伝える。
「Chronusが暴走した、君の力が必要だ――――手を、貸してくれるか?」
「.........」
Clavisは何も言わない。
クレインはとりあえず、彼女の手を引く。
「返答は後でいい! 行くぞ!」
クレインは虚ろな目をしたClavisと共に、エレベーターを降りる。
そして、そのまま基地の外へと出ていく。
基地の警備員は、先にクレインが昏倒させておいたので、誰も彼らを止める者はいない。
「待ってろ」
クレインは自分の車にClavisを乗せる。
そして、エンジンを掛けた。
「......この曲、は.....」
「.....」
エストーレブが、カーラジオから流れ出す。
護衛.....クレインは、無言で車を走らせた。
「......Chronusの制御システムは完全に崩壊していて、止めるためには攻撃をコンマ数秒の精度で回避できる兵器が必要だ――――行ってくれるな?」
「....必要.....私が必要ですか?」
「ああ」
シークトリア軍は必死になって否定するだろうが、今暴走しているChronusを止められるのはClavisしかいない。
だが、基地に配備されている機体では、Clavisの性能を生かせない。
「だからこそ、これから”王”の居城に.....」
「いやです....」
「....どうしてだ?」
Clavisは明確に拒否の意を示した。
「...まだ私は、王の下に付くつもりはありません」
「........そういう訳じゃない」
車は首都の地下へと入り、何度か左折と右折を繰り返す。
そして、薄暗い場所で止まった。
「ここが”王城”の裏口だ」
「.....」
Clavisは嫌そうにしつつも、クレインに従う。
二人は”王城”内へと入り、しばらく歩き続ける。
「どこへ向かっているのですか?」
「シィ....警備システムを切っているとはいえ人がいるんだぞ」
「...はい」
エレベーターを乗り継ぎ、二人は広大な空間へと出た。
「え....?」
そして、Clavisは目を見開く。
そこに、あるはずのないものがあったからだ。
「どうして.....バトルアーマーがここに.....?」
Clavisにしか使えないはずのそれが、”王城”の格納庫にある。
それが、Clavisにとっては衝撃的だった。
「どうして、これがここに....」
「ああ、それは――――」
クレインが口を開いたとき、格納庫の照明が全て点灯した。
「俺が注文した。お前を手に入れたとき、それに乗せて性能を見てみたくてな」
背後を振り返った二人は、5つの人影を見た。
高性能ライフルで武装した護衛4人を引き連れた、”王”だ。
「おかげで高くついたが、お前が俺のモノになってくれるなやら安いという事だな」
「......わ、私は――――嫌です!」
Clavisは思いっきり拒絶する。
それと同時に、クレインがハンドガンを抜いた。
護衛達がライフルを構えるが、王は手でそれを制した。
「クレイン、お前は俺を裏切るのか?」
「必要に応じて、です」
「どうせその機体は、俺の命令が無ければ動かないのにか?」
「......別にあなたの権限が、最上という訳ではありません――――我が息子よ」
「クレイ.....まさかお前は!!」
”王”の顔がそこで初めて歪む。
クレインは顔を険しくして、”王”レジンに声を上げる。
「......俺の名前はクレイアス・ハークス・シークトリアだ、よくも辺境に追い出してくれたな」
「....くッ! そ、そいつを殺せ!!」
護衛達は迷わずライフルの銃口をクレイアスに向ける。
だが、クレイアスは迷わず発砲した。
.......彼らの頭上向けて。
事前に何か細工がしてあったのか、天井が崩壊し”王”を巻き込んで護衛を無力化する。
「あ、あの......」
「Clavis、説明は後だ。....分かるな?」
「...はい!」
クラヴィスはバトルアーマーに乗り込む。
「....父上、貴方に聞きたい!」
だが、その時。
瓦礫から這い出したレジンが、クレイアスに向かって叫ぶ。
「今更、何の用だ! 俺の趣味を邪魔して何がしたい!?」
「”趣味”とは、”他人の人生を踏み躙る”事ではない!!」
クレイアスは自身の端末を操作する。
すると、クラヴィスの視界に[操作権限が委譲されました]と表示され、バトルアーマーの操作権がクラヴィスに移る。
「.......俺は護衛として彼女に付いたが、彼女がすり減っていったのは全てお前のせいだ!」
「黙れ、感情があっても機械だ! 機械は人間のためにあるだろうが!!」
最早恥も外聞もなく、レジンは叫ぶ。
そこに”王”としての威厳はなかった。
「クラヴィス、生きます!」
クラヴィスはクレイアスの稼いだ時間を活かすべく、翼を広げた。
六対の角ばった翼は、重力フィールド発生板であり、Clavisを上へ上へと持ち上げていく。
そうしてClavisは、王城を離脱した。
clavisの保管装置を開き、ボロボロの彼女を取り出す。
修復している時間はない。
「起きれるか、Clavis?」
「.......はい、どのような御用ですか」
感情が希薄になったClavisは、クレインの指示通りに起き上がる。
クレインはClavisに伝える。
「Chronusが暴走した、君の力が必要だ――――手を、貸してくれるか?」
「.........」
Clavisは何も言わない。
クレインはとりあえず、彼女の手を引く。
「返答は後でいい! 行くぞ!」
クレインは虚ろな目をしたClavisと共に、エレベーターを降りる。
そして、そのまま基地の外へと出ていく。
基地の警備員は、先にクレインが昏倒させておいたので、誰も彼らを止める者はいない。
「待ってろ」
クレインは自分の車にClavisを乗せる。
そして、エンジンを掛けた。
「......この曲、は.....」
「.....」
エストーレブが、カーラジオから流れ出す。
護衛.....クレインは、無言で車を走らせた。
「......Chronusの制御システムは完全に崩壊していて、止めるためには攻撃をコンマ数秒の精度で回避できる兵器が必要だ――――行ってくれるな?」
「....必要.....私が必要ですか?」
「ああ」
シークトリア軍は必死になって否定するだろうが、今暴走しているChronusを止められるのはClavisしかいない。
だが、基地に配備されている機体では、Clavisの性能を生かせない。
「だからこそ、これから”王”の居城に.....」
「いやです....」
「....どうしてだ?」
Clavisは明確に拒否の意を示した。
「...まだ私は、王の下に付くつもりはありません」
「........そういう訳じゃない」
車は首都の地下へと入り、何度か左折と右折を繰り返す。
そして、薄暗い場所で止まった。
「ここが”王城”の裏口だ」
「.....」
Clavisは嫌そうにしつつも、クレインに従う。
二人は”王城”内へと入り、しばらく歩き続ける。
「どこへ向かっているのですか?」
「シィ....警備システムを切っているとはいえ人がいるんだぞ」
「...はい」
エレベーターを乗り継ぎ、二人は広大な空間へと出た。
「え....?」
そして、Clavisは目を見開く。
そこに、あるはずのないものがあったからだ。
「どうして.....バトルアーマーがここに.....?」
Clavisにしか使えないはずのそれが、”王城”の格納庫にある。
それが、Clavisにとっては衝撃的だった。
「どうして、これがここに....」
「ああ、それは――――」
クレインが口を開いたとき、格納庫の照明が全て点灯した。
「俺が注文した。お前を手に入れたとき、それに乗せて性能を見てみたくてな」
背後を振り返った二人は、5つの人影を見た。
高性能ライフルで武装した護衛4人を引き連れた、”王”だ。
「おかげで高くついたが、お前が俺のモノになってくれるなやら安いという事だな」
「......わ、私は――――嫌です!」
Clavisは思いっきり拒絶する。
それと同時に、クレインがハンドガンを抜いた。
護衛達がライフルを構えるが、王は手でそれを制した。
「クレイン、お前は俺を裏切るのか?」
「必要に応じて、です」
「どうせその機体は、俺の命令が無ければ動かないのにか?」
「......別にあなたの権限が、最上という訳ではありません――――我が息子よ」
「クレイ.....まさかお前は!!」
”王”の顔がそこで初めて歪む。
クレインは顔を険しくして、”王”レジンに声を上げる。
「......俺の名前はクレイアス・ハークス・シークトリアだ、よくも辺境に追い出してくれたな」
「....くッ! そ、そいつを殺せ!!」
護衛達は迷わずライフルの銃口をクレイアスに向ける。
だが、クレイアスは迷わず発砲した。
.......彼らの頭上向けて。
事前に何か細工がしてあったのか、天井が崩壊し”王”を巻き込んで護衛を無力化する。
「あ、あの......」
「Clavis、説明は後だ。....分かるな?」
「...はい!」
クラヴィスはバトルアーマーに乗り込む。
「....父上、貴方に聞きたい!」
だが、その時。
瓦礫から這い出したレジンが、クレイアスに向かって叫ぶ。
「今更、何の用だ! 俺の趣味を邪魔して何がしたい!?」
「”趣味”とは、”他人の人生を踏み躙る”事ではない!!」
クレイアスは自身の端末を操作する。
すると、クラヴィスの視界に[操作権限が委譲されました]と表示され、バトルアーマーの操作権がクラヴィスに移る。
「.......俺は護衛として彼女に付いたが、彼女がすり減っていったのは全てお前のせいだ!」
「黙れ、感情があっても機械だ! 機械は人間のためにあるだろうが!!」
最早恥も外聞もなく、レジンは叫ぶ。
そこに”王”としての威厳はなかった。
「クラヴィス、生きます!」
クラヴィスはクレイアスの稼いだ時間を活かすべく、翼を広げた。
六対の角ばった翼は、重力フィールド発生板であり、Clavisを上へ上へと持ち上げていく。
そうしてClavisは、王城を離脱した。
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