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シーズン2-シークトリア首都編
078-砕け散った歯車
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「調子に乗るなよ!」
軽い音の後に、何かが硬いものに当たる音が響く。
「......はい」
「ふざけるな!」
男が、何かを殴っていた。
殴られているのは、クラヴィスだ。
「何をしていたのだ! よりにもよってあのノイスター中佐に手柄を奪われ! 私の株も下がるばかりではないか!」
クラヴィスは死んだ目のまま、何も言わない。
男.....警備隊長カルベスは、そんなクラヴィスに腹を立て、机の上にあったスパナを持って、クラヴィスの頭を殴打する。
「こいつ.....無駄に頑丈だな! 思い知れ、機械如きがぁ!!」
カルベスはクラヴィスの頭を強引に胴体から引き千切る。
そして、コードを握って床に何度も叩き付けた。
だが、それでもクラヴィスは何も言わなかった。
「チッ、甚振り甲斐のない」
カルベスは適当なカーゴボックスにクラヴィスの顔と胴体を放り込み、輸送品を移送するコンベアに放り込んだ。
向こうに着けば、アンドロイドが自動でクラヴィスの修理を行う。
「弾薬如きが、俺の輝かしい覇道を邪魔しおって」
カルベスはそう呟くと、デスクの端にあった酒のボトルを開封した。
ジェシカ大尉が死んだ。
ラウドも、その他乗務員たちも。
ハーデン中尉は行方不明。
「............」
私に存在価値はなく、私を知る者は皆死んだ。
何なのだろうか。
あの”王”は。
限界まで私を追い込んで、それで自分のものになるとでも思っているのだろうか。
「...........」
私が歯車で動くなら。
その歯車はもう砕け散った。
「............」
私物も何もない部屋で、私はやってきた護衛に組み立てられる。
「....ひどい傷だな」
「作戦に支障はありませんから」
「そうか」
護衛は淡白に私を組み立てると、仕事は終わったとばかりに去って行った。
私の存在価値........
「......あった」
まだあった。
「あ、はは....」
自分の手を見る。
守るはずだったシークトリアの人間を殺したその手を。
「..........もっと」
もっと殺せばいい。
体制に反逆する者たちを。
私に求められている役割上、殺してもいい者たちを。
「殺す」
それが私の唯一の存在価値。
壊れた歯車を埋める、氷の歯車だった。
「三番格納庫、どうした!」
「く、Chronusが動いている!」
「有り得ん!」
その頃、クロノスの格納庫のある場所では。
装甲を赤熱させながら、クロノスが動いていた。
『邪魔、ダ!!』
ロボットアームがクロノスの動きを封じようとするが、クロノスはその機体から紅い粒子を噴出させ、触れたものを赤熱させ溶解、もしくは崩壊させていく。
「司令部! コードB! コードB!」
クロノスは上を目指し、壁を握り潰しながら駆け上る。
「まずい! 市街地に出て暴れられれば軍部の評判が!」
必死になって叫ぶ職員の目に、通信のポップアップが開く。
「ノイスター中佐!?」
『俺が行く! 俺の機体だ、中佐の上位権限コードで上書きする!』
「分かりました、道を開けろ! ノイスター中佐を通せ!」
こうして、クラヴィスを抜きにして大災害が幕を開けようとしていたのだった。
軽い音の後に、何かが硬いものに当たる音が響く。
「......はい」
「ふざけるな!」
男が、何かを殴っていた。
殴られているのは、クラヴィスだ。
「何をしていたのだ! よりにもよってあのノイスター中佐に手柄を奪われ! 私の株も下がるばかりではないか!」
クラヴィスは死んだ目のまま、何も言わない。
男.....警備隊長カルベスは、そんなクラヴィスに腹を立て、机の上にあったスパナを持って、クラヴィスの頭を殴打する。
「こいつ.....無駄に頑丈だな! 思い知れ、機械如きがぁ!!」
カルベスはクラヴィスの頭を強引に胴体から引き千切る。
そして、コードを握って床に何度も叩き付けた。
だが、それでもクラヴィスは何も言わなかった。
「チッ、甚振り甲斐のない」
カルベスは適当なカーゴボックスにクラヴィスの顔と胴体を放り込み、輸送品を移送するコンベアに放り込んだ。
向こうに着けば、アンドロイドが自動でクラヴィスの修理を行う。
「弾薬如きが、俺の輝かしい覇道を邪魔しおって」
カルベスはそう呟くと、デスクの端にあった酒のボトルを開封した。
ジェシカ大尉が死んだ。
ラウドも、その他乗務員たちも。
ハーデン中尉は行方不明。
「............」
私に存在価値はなく、私を知る者は皆死んだ。
何なのだろうか。
あの”王”は。
限界まで私を追い込んで、それで自分のものになるとでも思っているのだろうか。
「...........」
私が歯車で動くなら。
その歯車はもう砕け散った。
「............」
私物も何もない部屋で、私はやってきた護衛に組み立てられる。
「....ひどい傷だな」
「作戦に支障はありませんから」
「そうか」
護衛は淡白に私を組み立てると、仕事は終わったとばかりに去って行った。
私の存在価値........
「......あった」
まだあった。
「あ、はは....」
自分の手を見る。
守るはずだったシークトリアの人間を殺したその手を。
「..........もっと」
もっと殺せばいい。
体制に反逆する者たちを。
私に求められている役割上、殺してもいい者たちを。
「殺す」
それが私の唯一の存在価値。
壊れた歯車を埋める、氷の歯車だった。
「三番格納庫、どうした!」
「く、Chronusが動いている!」
「有り得ん!」
その頃、クロノスの格納庫のある場所では。
装甲を赤熱させながら、クロノスが動いていた。
『邪魔、ダ!!』
ロボットアームがクロノスの動きを封じようとするが、クロノスはその機体から紅い粒子を噴出させ、触れたものを赤熱させ溶解、もしくは崩壊させていく。
「司令部! コードB! コードB!」
クロノスは上を目指し、壁を握り潰しながら駆け上る。
「まずい! 市街地に出て暴れられれば軍部の評判が!」
必死になって叫ぶ職員の目に、通信のポップアップが開く。
「ノイスター中佐!?」
『俺が行く! 俺の機体だ、中佐の上位権限コードで上書きする!』
「分かりました、道を開けろ! ノイスター中佐を通せ!」
こうして、クラヴィスを抜きにして大災害が幕を開けようとしていたのだった。
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