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シーズン2-シークトリア首都編
065-英雄への一歩
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「作戦宙域に到達」
私は、誤差が許容可能なレベルにまで低下してから、そう言った。
直後、通信がオンラインになりジェシカの声がコクピットに響く。
『了解。現地点から惑星への降下軌道に入ってください』
「惑星への降下軌道に入ります、各部スラスター・シールドチェック」
『チェック、グリーンだぜ』
「了解、降下に問題なし」
直後、速度計が少しずつ上がっていくのが目の端で見えた。
クロノスが徐々に加速しているのだ。
「作戦行動は迅速に行われる必要があります。当イベントの最中、対空兵器及び防空機構は動作しておりません。首都は無防備な状態となります」
『わーってるって、とっとと行けばいいんだろ』
「はい」
クロノスはスラスター出力を最大まで引き上げ、惑星軌道を抜けて熱圏に突入した。
シールドが分子と衝突を起こし、赤く輝きを放つ。
「許容量を超える光量を検出。フィルター作動します」
『うおおおおおおお!!』
しばらく、クロノスは熱圏の落下を続ける。
振動が凄いが、私は慣性制御ユニットを再装備しているので加速度の影響をほぼ受けない。
「中間圏に突入します」
『おう!』
赤い輝きは急速に減衰し、光量フィルターのレベルが徐々に下がっていく。
「スラスターの最大出力で逆噴射開始、成層圏に突入する前に指定の速度まで減衰させてください」
『おう!』
クロノスの前面からスラスターが粒子を急速に噴射させ、その速度を徐々に相殺していく。
そして、速度計が指定の数値を下回ると同時に、成層圏へとクロノスは突入する。
完全に赤い輝きは失われ、空気抵抗による振動がクロノスを襲う。
『う、おおおおお、ゆ、揺れる.....!』
「スラスター減速、姿勢を変更してください、関節部分に許容できない負荷が掛かっています!」
『お、おう!』
このままではバラバラになるところだったので、クロノスは体勢を変更してフリーフォールのような大の字になる。
『雲に突っ込むぞ!』
「対地センサーがあります、気にせず減速を続けてください!」
『おう!』
雲に突っ込み、また雲を抜ける。
そして――――――
『見えたっ!』
「スラスター再度最大出力に上昇、関節への負荷を考慮しつつ都市部への突入姿勢に変更してください」
『無茶言うぜ....』
対流圏に突入し、まばらに雲の見える眼下に、海と巨大な都市が広がっているのが見えた。
大陸側に、緑や自然地形と言ったものが全くない。
そういう意味で、今まで見てきた惑星とは大きく違っていた。
「安定翼展開」
『安定翼展開! 背面スラスターを全開だ!』
クロノスの背から、翼が伸びる。
「重力制御システム起動、引力の緩和を開始します」
『くっそぉ、訓練しておいてよかったぜ!』
クロノスは大気圏内での戦闘に向かない。
そもそも飛行の際に速度が出ないのだ。
しかし、それも勿論かがくのちからで解決できる。
これのために、事前に訓練を重ねていたとも言う。
「転進してください!」
『う、ぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
クロノスの背面スラスターが下向きに全開になり、真下の海面が衝撃波で爆ぜる。
そして、直後にクロノスは海面の上を飛翔していた。
『スゲー......』
「ビーコンに従って前進してください」
『お、おう』
クロノスには悪いが、驚いている暇はない。
これはデモンストレーションなのだから、その動きに無駄があってはならないからだ。
そして、クロノスは海上に設けられた施設に向かって翔ぶ。
「速度を音速以下に落としてください」
『おう!』
クロノスの速度が標準に落ち、そして施設へと迎えられた。
クロノスの大きさからすれば、まるで豆粒のような人々が、私たちを出迎えている。
『いい気分、だな』
「...........」
歓声を直に聞いているクロノスが、何も考えていなさそうに呟いた。
私はそれを聞いてはいたが、これから先を考えつつ黙っているのだった。
私は、誤差が許容可能なレベルにまで低下してから、そう言った。
直後、通信がオンラインになりジェシカの声がコクピットに響く。
『了解。現地点から惑星への降下軌道に入ってください』
「惑星への降下軌道に入ります、各部スラスター・シールドチェック」
『チェック、グリーンだぜ』
「了解、降下に問題なし」
直後、速度計が少しずつ上がっていくのが目の端で見えた。
クロノスが徐々に加速しているのだ。
「作戦行動は迅速に行われる必要があります。当イベントの最中、対空兵器及び防空機構は動作しておりません。首都は無防備な状態となります」
『わーってるって、とっとと行けばいいんだろ』
「はい」
クロノスはスラスター出力を最大まで引き上げ、惑星軌道を抜けて熱圏に突入した。
シールドが分子と衝突を起こし、赤く輝きを放つ。
「許容量を超える光量を検出。フィルター作動します」
『うおおおおおおお!!』
しばらく、クロノスは熱圏の落下を続ける。
振動が凄いが、私は慣性制御ユニットを再装備しているので加速度の影響をほぼ受けない。
「中間圏に突入します」
『おう!』
赤い輝きは急速に減衰し、光量フィルターのレベルが徐々に下がっていく。
「スラスターの最大出力で逆噴射開始、成層圏に突入する前に指定の速度まで減衰させてください」
『おう!』
クロノスの前面からスラスターが粒子を急速に噴射させ、その速度を徐々に相殺していく。
そして、速度計が指定の数値を下回ると同時に、成層圏へとクロノスは突入する。
完全に赤い輝きは失われ、空気抵抗による振動がクロノスを襲う。
『う、おおおおお、ゆ、揺れる.....!』
「スラスター減速、姿勢を変更してください、関節部分に許容できない負荷が掛かっています!」
『お、おう!』
このままではバラバラになるところだったので、クロノスは体勢を変更してフリーフォールのような大の字になる。
『雲に突っ込むぞ!』
「対地センサーがあります、気にせず減速を続けてください!」
『おう!』
雲に突っ込み、また雲を抜ける。
そして――――――
『見えたっ!』
「スラスター再度最大出力に上昇、関節への負荷を考慮しつつ都市部への突入姿勢に変更してください」
『無茶言うぜ....』
対流圏に突入し、まばらに雲の見える眼下に、海と巨大な都市が広がっているのが見えた。
大陸側に、緑や自然地形と言ったものが全くない。
そういう意味で、今まで見てきた惑星とは大きく違っていた。
「安定翼展開」
『安定翼展開! 背面スラスターを全開だ!』
クロノスの背から、翼が伸びる。
「重力制御システム起動、引力の緩和を開始します」
『くっそぉ、訓練しておいてよかったぜ!』
クロノスは大気圏内での戦闘に向かない。
そもそも飛行の際に速度が出ないのだ。
しかし、それも勿論かがくのちからで解決できる。
これのために、事前に訓練を重ねていたとも言う。
「転進してください!」
『う、ぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
クロノスの背面スラスターが下向きに全開になり、真下の海面が衝撃波で爆ぜる。
そして、直後にクロノスは海面の上を飛翔していた。
『スゲー......』
「ビーコンに従って前進してください」
『お、おう』
クロノスには悪いが、驚いている暇はない。
これはデモンストレーションなのだから、その動きに無駄があってはならないからだ。
そして、クロノスは海上に設けられた施設に向かって翔ぶ。
「速度を音速以下に落としてください」
『おう!』
クロノスの速度が標準に落ち、そして施設へと迎えられた。
クロノスの大きさからすれば、まるで豆粒のような人々が、私たちを出迎えている。
『いい気分、だな』
「...........」
歓声を直に聞いているクロノスが、何も考えていなさそうに呟いた。
私はそれを聞いてはいたが、これから先を考えつつ黙っているのだった。
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