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シーズン2-シークトリア首都編
060-戦闘訓練2
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『おいおい、どうすりゃいいんだ!?』
「前面のミサイルのみを誘導します、迎撃しながら脱出してください」
クロノスのいるデブリ群を、八方向からミサイルの雨が襲っていた。
デブリ群に籠城しようとしたのだが、そう簡単にはいかせてくれないようだった。
「........EMP弾頭があればいいのですが....」
訓練用のミサイルは構造が単純なため、電磁パルスに弱い。
直接クラックも出来るが、数が多すぎて小規模なクロノスの電子戦装備では意味がない。
『なぁ、パイルアンカーでデブリを盾にしねえか?』
「ぶつけた方が効率的かと」
『じゃあ、そうするぜ!』
クロノスがパイルアンカーを構えた。
少しの衝撃と共に放たれた錨は、その先にあったデブリに突き刺さった。
『巻き上げる、スラスター制御を頼む!』
「了解!」
鎖が巻き取られ、クロノスとデブリはピンと張った鎖で繋がった。
『ぶん投げるぜ!』
「スラスターの姿勢制御開始、関節の動作システムと同期します」
クロノスはスラスターで勢いをつけつつ、巨大なデブリを振り回す。
そして、ミサイル群を横殴りにする形でデブリを衝突させた。
「抜錨!」
『最大出力で離脱する!』
一瞬、射線が空く。
そこに、クロノスは突っ込んだ。
勿論、その眼前には軌道を変えてきているミサイルが映るが、
『ミサイルで迎撃! 電磁盾で爆風を突っ切る!』
「弾道計算....完了」
クロノスがミサイルを放つ。
ミサイルはそれぞれ指定した位置まで飛翔し、起爆する。
熱源が発生したことで、ミサイルの列が乱れ、爆炎に接触したことで誘爆を引き起こした。
誘爆は連鎖し、進路状のミサイルは全て無力化された。
触れれば危険な爆炎がまだ残っているものの、
『うおおおおおおおおおおおおおお!!』
電磁盾を構え、クロノスが飛ぶ。
その表面から、防御フィールドが発生している。
…そういえば、電磁盾でどうやってフィールドを展開しているのか気になったのだが、表面の電磁防御はあくまで物理衝撃に対してのみ強く、防御フィールドを展開しているのは内部の機構らしい。
『抜けるぞ!』
「C41ポイントに熱源反応、電磁盾で防御してください」
爆炎を突っ切ったクロノスは、左斜め前方の上方から侵入してきた高速戦闘機に襲われる。
初撃を電磁盾で防御し、反動を利用して軸を合わせ、スラスターを起動して上へ上へ加速する。
「動かないでください」
『保健の先生みたいだな…』
「ターゲット、軸線に乗りました」
『よっしゃ、ライフルで射撃する!』
クロノスがライフルを腰に構えて撃つ。
本来推奨されていない撃ち方だが、クロノスの強靭な構造の腕なら耐えられる。
「打ち続けてください、高威力ですがその分射線が乱れます」
『下手な鉄砲…じゃなくて、豆鉄砲か?』
クロノスが戦闘機に向けてライフルを連射する。
だが、ダメージが大して入っていない。
「対物理装甲のようです、攻撃方法の変更を提案」
『何がいい?』
「情報精査!」
クロノスのセンサーを借り受け、私は敵の装甲を即座に分析する。
リグシウム成分が多分に含まれた、分子結合に柔軟性の高い金属だ。
だが、その分熱的兵器に弱い弱点を持つ。
「敵戦闘機の装甲はリグシウム成分を含む対物理ノーマン式装甲! 熱的もしくは分子構造に対して有効な兵器に脆弱性を持ちます」
『プラズマキャノン起動! 至近距離で仕留める!』
「了解、予測したルートに沿って接近してください」
クロノスは共有されたルートに従って加速を続ける。
敵の機動性は高いが、流石に加速状態でいきなり方向を変えると負荷がかかる構造になっている。
クロノスのように縦横無尽に移動できるほど便利には出来ていないのだ。
「射程範囲内に到達!」
『発射ァ!』
クロノスがプラズマキャノンを放った。
直後、敵機が閃光と共に爆散する。
プラズマ弾の接近による接触熱量によって内部融解を引き起こし、それが動力機構と接触して自爆したのである。
「続けて発射してください」
『おう!』
クロノスが砲弾を放つ。
プラズマキャノンも仕様が変わり、一時的なら四発まで充填しておけるようになった。
最大充填で一斉に放つことも可能で、その際に生まれる熱量は大型構造物に大穴を開けられるほどだ。
エルトネレス級であっても、耐えられないだろう。
『次はどうする?!』
「一定時間、規定以上のダメージを受けずに耐久するのがこの訓練の目的です…ですから、あと八分ほど回避を続けなければいけません」
『厳しいな…』
クロノスが呟く。
既に第三波が来ている現状、あまり悠長に考えてもいられない。
「......デブリ地帯に再突入します」
『了解っ』
クロノスはスラスターを使い、方向転換して別のデブリ群に突入する。
「敵の陣形が変化しました」
『なに?』
「レーザー艦が前に出てきます」
『......マジ?』
それはつまり、デブリ群を排除しながらミサイルで攻撃してくるという意味になる。
ミサイルと違い、レーザー砲は精密射撃の可能な兵器である。
「......とにかく、デブリ群で電子戦を仕掛けつつ、逃げるという事で....」
『オレにいい考えがある!』
クロノス、やめなさい。
それはフラグです。
「前面のミサイルのみを誘導します、迎撃しながら脱出してください」
クロノスのいるデブリ群を、八方向からミサイルの雨が襲っていた。
デブリ群に籠城しようとしたのだが、そう簡単にはいかせてくれないようだった。
「........EMP弾頭があればいいのですが....」
訓練用のミサイルは構造が単純なため、電磁パルスに弱い。
直接クラックも出来るが、数が多すぎて小規模なクロノスの電子戦装備では意味がない。
『なぁ、パイルアンカーでデブリを盾にしねえか?』
「ぶつけた方が効率的かと」
『じゃあ、そうするぜ!』
クロノスがパイルアンカーを構えた。
少しの衝撃と共に放たれた錨は、その先にあったデブリに突き刺さった。
『巻き上げる、スラスター制御を頼む!』
「了解!」
鎖が巻き取られ、クロノスとデブリはピンと張った鎖で繋がった。
『ぶん投げるぜ!』
「スラスターの姿勢制御開始、関節の動作システムと同期します」
クロノスはスラスターで勢いをつけつつ、巨大なデブリを振り回す。
そして、ミサイル群を横殴りにする形でデブリを衝突させた。
「抜錨!」
『最大出力で離脱する!』
一瞬、射線が空く。
そこに、クロノスは突っ込んだ。
勿論、その眼前には軌道を変えてきているミサイルが映るが、
『ミサイルで迎撃! 電磁盾で爆風を突っ切る!』
「弾道計算....完了」
クロノスがミサイルを放つ。
ミサイルはそれぞれ指定した位置まで飛翔し、起爆する。
熱源が発生したことで、ミサイルの列が乱れ、爆炎に接触したことで誘爆を引き起こした。
誘爆は連鎖し、進路状のミサイルは全て無力化された。
触れれば危険な爆炎がまだ残っているものの、
『うおおおおおおおおおおおおおお!!』
電磁盾を構え、クロノスが飛ぶ。
その表面から、防御フィールドが発生している。
…そういえば、電磁盾でどうやってフィールドを展開しているのか気になったのだが、表面の電磁防御はあくまで物理衝撃に対してのみ強く、防御フィールドを展開しているのは内部の機構らしい。
『抜けるぞ!』
「C41ポイントに熱源反応、電磁盾で防御してください」
爆炎を突っ切ったクロノスは、左斜め前方の上方から侵入してきた高速戦闘機に襲われる。
初撃を電磁盾で防御し、反動を利用して軸を合わせ、スラスターを起動して上へ上へ加速する。
「動かないでください」
『保健の先生みたいだな…』
「ターゲット、軸線に乗りました」
『よっしゃ、ライフルで射撃する!』
クロノスがライフルを腰に構えて撃つ。
本来推奨されていない撃ち方だが、クロノスの強靭な構造の腕なら耐えられる。
「打ち続けてください、高威力ですがその分射線が乱れます」
『下手な鉄砲…じゃなくて、豆鉄砲か?』
クロノスが戦闘機に向けてライフルを連射する。
だが、ダメージが大して入っていない。
「対物理装甲のようです、攻撃方法の変更を提案」
『何がいい?』
「情報精査!」
クロノスのセンサーを借り受け、私は敵の装甲を即座に分析する。
リグシウム成分が多分に含まれた、分子結合に柔軟性の高い金属だ。
だが、その分熱的兵器に弱い弱点を持つ。
「敵戦闘機の装甲はリグシウム成分を含む対物理ノーマン式装甲! 熱的もしくは分子構造に対して有効な兵器に脆弱性を持ちます」
『プラズマキャノン起動! 至近距離で仕留める!』
「了解、予測したルートに沿って接近してください」
クロノスは共有されたルートに従って加速を続ける。
敵の機動性は高いが、流石に加速状態でいきなり方向を変えると負荷がかかる構造になっている。
クロノスのように縦横無尽に移動できるほど便利には出来ていないのだ。
「射程範囲内に到達!」
『発射ァ!』
クロノスがプラズマキャノンを放った。
直後、敵機が閃光と共に爆散する。
プラズマ弾の接近による接触熱量によって内部融解を引き起こし、それが動力機構と接触して自爆したのである。
「続けて発射してください」
『おう!』
クロノスが砲弾を放つ。
プラズマキャノンも仕様が変わり、一時的なら四発まで充填しておけるようになった。
最大充填で一斉に放つことも可能で、その際に生まれる熱量は大型構造物に大穴を開けられるほどだ。
エルトネレス級であっても、耐えられないだろう。
『次はどうする?!』
「一定時間、規定以上のダメージを受けずに耐久するのがこの訓練の目的です…ですから、あと八分ほど回避を続けなければいけません」
『厳しいな…』
クロノスが呟く。
既に第三波が来ている現状、あまり悠長に考えてもいられない。
「......デブリ地帯に再突入します」
『了解っ』
クロノスはスラスターを使い、方向転換して別のデブリ群に突入する。
「敵の陣形が変化しました」
『なに?』
「レーザー艦が前に出てきます」
『......マジ?』
それはつまり、デブリ群を排除しながらミサイルで攻撃してくるという意味になる。
ミサイルと違い、レーザー砲は精密射撃の可能な兵器である。
「......とにかく、デブリ群で電子戦を仕掛けつつ、逃げるという事で....」
『オレにいい考えがある!』
クロノス、やめなさい。
それはフラグです。
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