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シーズン1-序章
051-電脳の奥底で
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気づくと、暗闇の中にいた。
CVLシステムは動いている。
「これは」
身体を見渡し、違和感に気づく。
船の上にいない。
代わりに――――身に纏うのは、バトルアーマー。
「.......船でなくともよいのですか?」
『お客様に、快適な”船”の旅をご提供するのが本システムの役割です』
『しかし――――船旅が苦手なお客様もいるでしょう』
『どのような形であろうと、快適な電脳の船旅を楽しんでいただけるのが』
『本システムの存在意義です』
「そうですか」
この声が何なのかはわからないが、概要は分かった。
CVLシステムは、あくまで周囲の画一化されていない情報を解釈・視覚化するために存在しているのだ。
つまり、形態などどうでもいい、私が思ったなら、情報はその通りに”見える”。
「道を」
『構築します』
暗闇に、永遠に続く橋が現れた。
そこを、スラスターを展開して私は進む。
変わり映えのしない暗闇を突き進んでいると、遠くに光点が見えた。
「あれは........」
ズームしようとしたが、意味がないことに気づく。
距離など、本来は存在しないのだから。
徐々に光点が近づき、私は決戦の予感を感じる。
「...............これは?」
そして、最大まで光点に近づき――――私は見る。
最後のファイアウォールを。
「解除には時間を要しますか.....」
新旧入り混じったセキュリティで構築されており、解析にも時間が必要だ。
「.........仕方がありません、攻撃します」
両肩のシャードキャノンが、起動音を響かせた。
そして、目の前のファイアウォールの操作盤をシャードキャノンが貫いた。
「.......えっ?」
意外にもあっさりとした結果に、私は驚きを隠せなかった。
防衛システムの基幹プログラムが、攻撃に対して無力.....?
そんなことが起こり得るだろうか?
「しかし.....ああ、成程」
私は納得した。
周囲で警戒のウィンドウが乱立し、遥か後方から三機のセキュリティユニットが飛来してくるのを認識した。
「殲滅行動に移行します」
言葉を発することで、私は形態を移行する。
両腕が先ほどまで装備していた武器ではなく、前の重機関砲へと戻り、背のシャードキャノンがミサイルポッドに差し代わる。
「照準固定、攻撃開始」
牽制に放たれたミサイルが、暗闇に軌跡を描きつつ着弾する。
爆発が巻き起こるが、爆風が身体を押すようなことは起こらない。
発生したノイズでセキュリティユニットを攪乱しながら、私はセキュリティユニットの位置に機関砲を掃射する。
「対象の破壊を確認」
セキュリティユニットが崩壊したのを確認した私は、背後を見た。
ファイアウォールが崩壊し、先への道が見えている。
「進みます」
誰ともなしに呟く。
その先に足を踏み入れると、一瞬視界が黒く染まった。
再び視界が回復すると――――――
「..........これが」
目の前には、システムの中核があった。
◇◆◇
長い時を経て、ついに私はコロニーの中央制御AIの本体と出遭った。
その本体は、複数の腕が組み合わさった、まるで前世で見た神話の邪神のような姿をしていた。
「.........戦闘、準備」
全ての火力をそれに集中させ、私は言葉を発する。
それと同時に、本体は私に向けて、無数の光弾を放った。
「壁を展開!」
目の前に現れた壁が、その光弾を防ぐ。
そして、反撃として放ったミサイルの束が、本体へと直撃したのだった。
CVLシステムは動いている。
「これは」
身体を見渡し、違和感に気づく。
船の上にいない。
代わりに――――身に纏うのは、バトルアーマー。
「.......船でなくともよいのですか?」
『お客様に、快適な”船”の旅をご提供するのが本システムの役割です』
『しかし――――船旅が苦手なお客様もいるでしょう』
『どのような形であろうと、快適な電脳の船旅を楽しんでいただけるのが』
『本システムの存在意義です』
「そうですか」
この声が何なのかはわからないが、概要は分かった。
CVLシステムは、あくまで周囲の画一化されていない情報を解釈・視覚化するために存在しているのだ。
つまり、形態などどうでもいい、私が思ったなら、情報はその通りに”見える”。
「道を」
『構築します』
暗闇に、永遠に続く橋が現れた。
そこを、スラスターを展開して私は進む。
変わり映えのしない暗闇を突き進んでいると、遠くに光点が見えた。
「あれは........」
ズームしようとしたが、意味がないことに気づく。
距離など、本来は存在しないのだから。
徐々に光点が近づき、私は決戦の予感を感じる。
「...............これは?」
そして、最大まで光点に近づき――――私は見る。
最後のファイアウォールを。
「解除には時間を要しますか.....」
新旧入り混じったセキュリティで構築されており、解析にも時間が必要だ。
「.........仕方がありません、攻撃します」
両肩のシャードキャノンが、起動音を響かせた。
そして、目の前のファイアウォールの操作盤をシャードキャノンが貫いた。
「.......えっ?」
意外にもあっさりとした結果に、私は驚きを隠せなかった。
防衛システムの基幹プログラムが、攻撃に対して無力.....?
そんなことが起こり得るだろうか?
「しかし.....ああ、成程」
私は納得した。
周囲で警戒のウィンドウが乱立し、遥か後方から三機のセキュリティユニットが飛来してくるのを認識した。
「殲滅行動に移行します」
言葉を発することで、私は形態を移行する。
両腕が先ほどまで装備していた武器ではなく、前の重機関砲へと戻り、背のシャードキャノンがミサイルポッドに差し代わる。
「照準固定、攻撃開始」
牽制に放たれたミサイルが、暗闇に軌跡を描きつつ着弾する。
爆発が巻き起こるが、爆風が身体を押すようなことは起こらない。
発生したノイズでセキュリティユニットを攪乱しながら、私はセキュリティユニットの位置に機関砲を掃射する。
「対象の破壊を確認」
セキュリティユニットが崩壊したのを確認した私は、背後を見た。
ファイアウォールが崩壊し、先への道が見えている。
「進みます」
誰ともなしに呟く。
その先に足を踏み入れると、一瞬視界が黒く染まった。
再び視界が回復すると――――――
「..........これが」
目の前には、システムの中核があった。
◇◆◇
長い時を経て、ついに私はコロニーの中央制御AIの本体と出遭った。
その本体は、複数の腕が組み合わさった、まるで前世で見た神話の邪神のような姿をしていた。
「.........戦闘、準備」
全ての火力をそれに集中させ、私は言葉を発する。
それと同時に、本体は私に向けて、無数の光弾を放った。
「壁を展開!」
目の前に現れた壁が、その光弾を防ぐ。
そして、反撃として放ったミサイルの束が、本体へと直撃したのだった。
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