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シーズン1-序章

034-第27ドック制圧戦 後編

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システムを掌握しているエイペクスは、生存者全員と連絡を取ったそうだ。
それによれば、ドック内に人間は居らず、全員が宿舎で就寝していたそうなので、中央部屋と4つの廊下の制圧だけで済みそうだ。

「..........敵の反応を感知」

熱源探知に、アンドロイド兵の一般的な動力であるサーキュレーションコアの波長を持った熱源が映った。
全てのアンドロイドは私を破壊する事のために動き、あらゆる障害を排除するように発狂させられている。
もう、相手側からの情報にClavisという単語が紛れていただけで同士討ちを始めるくらいだ。
本当にどうしてこうなったのか、後でクロノスに再三問い質す必要があるだろう。

「広域レンズに切り替え、砲身伸長、サプレッサー起動、偽装熱源排出」

私は左ウィングの中央部屋を制圧するための準備をする。
敵アンドロイド兵の数は22、まずは正面の5体を撃破して、その後17体を片付ける。
排出された偽装熱源が、周波数を出しながら床に転がり――――直後、弾丸の雨に襲われる。
壁から飛び出した私は、即座に3体に順番に弾を撃つ。
遠距離射程の攻撃は想定していなかったのか、アンドロイド兵に弾は直撃し、そのうち二体が倒れた。

『スキャンされています』
「スキャン感知、拡散モードに切り替えます」

残ったアンドロイド兵が、私のショットガン(ロングレンジモード)をスキャンするのが見えたので、即座にスプレッドモードへと切り替える。

『どうですか、私が開発した最適化試作ショットガンの感想をお寄せください』
「完璧です」
『そうですか、では引き続き記録をお願いします』
「はい」

エイペクスが換えてくれた新装備、いずれはクロノスに積みたいのだが、流石に規格が通るか分からない。
私は拡散モードに切り替えたショットガンから弾を放つ。
弾はショットガンという名前にもかかわらず拡散しないが、

「1体撃破」

弾を避けたアンドロイド兵だが、直後に弾が破裂したことにより飛散したエネルギー片を食らって倒れる。
こっちは私の提案で出来た、「どうせ避けられるんだから回避を読んで着弾点で炸裂するエネルギー弾」である。
これはクロノスにも積めるのではないだろうか?

『左から二体の熱源反応を感知、微弱ですが周波数が一致しています。棚の向こうですね』
「シャードキャノン発射準備」

ジェシカからの命令を受け取り、シャードキャノンを準備する。
狙うは棚の向こうの敵二体。

「発射」

発射と同時に、実体弾がバッと放たれ、棚を一瞬で破壊。
その向こうに居るアンドロイド兵二体を一撃で破壊して、更にその背後の壁に無数の穴を開けた。

「..............」

つっ、強い......
こんなものを至近距離で受ければ、人間など一瞬でミンチだろう。
骨すら残らない。
しかし、そういう事を考えると、脳内で即座に人間が同状況、同距離、同威力の攻撃を受けた場合のシミュレーションが実行されるので、直ぐに頭から追い出す。
部屋に入った時点で射程内に入ったため、こちらに向けて弾がバンバン飛んでくる。
盾で防ぎつつ、振り向きざまの機関砲を放つ。
弾が拡散し、部屋全体を蹂躙する。
それによって。アンドロイド兵は損傷を防ぐために一度退く必要が出来た。
遮蔽物にアンドロイド兵が隠れたのを確認し、一発、二発、三発。
リロードして、更に二発。
飛び出したエネルギーパックを咥えて、一旦下がる。
今撃ったのは全て拡散弾なので、エネルギー消費が大きい。

「あむっ.....」

エネルギーパックを口に入れると、吐き出す時に周囲の人間が変な目で見るので、私はとりあえず腕の関節部の隙間に入れておく。

「情報精査」

周囲の情報を収集し、残りの敵の数を探る。
後五体か。

「狙撃モードに切り替え」

しゃがんで、思いっきり跳躍する。
機関砲から手を放して、天井を掴み――――残っている敵目掛けてショットガンを放つ。
アンドロイド兵の二体が拡散弾によって破壊され、そのうち一体には弾が当たらなかった。
即座に次弾を放ち、その上半身を吹き飛ばして破壊する。

「逃がしません」

残った三体は撤退を選んだが、ドアが既に掌握されている以上部屋から出ることは出来ない。
背を向けているアンドロイド兵に通常射撃モードで射撃、一体の動力コアを破壊し撃破する。
もう一体には避けられた。
連射速度が遅い以上、二発目で射撃音を聞いたアンドロイド兵が回避に移るのは珍しくない。

「シャードキャノン、発射」

既に発射態勢に移行していたシャードキャノンが放たれ、回避しようとしたアンドロイド兵二体を分厚い扉ごと粉砕する。

「――――中央部屋、掃討完了」

ほぼ同時に、眼前のゲートが開く。
居住区画に続く回廊だ。

『回廊部分に四体の反応を確認、遮蔽物のない空間ですので気をつけてください』
「分かりました、大尉」

早速廊下の奥から射撃が行われるが、私は動かない。
この直線距離では、ほぼ当たらないからだ。
光線は実体弾と違って風圧や重力の影響を受けないが、その代わりエネルギー減衰の影響を強く受ける。

「砲身伸長、遠隔射撃モード」

そこで、これの出番だ。
向こうはこちらが近づけないということを予想し、攻撃を続けている。
だが――――装備を自在に変えられる相手には通用しない手口である。
仕方がないので、残りの三体はこれで片付ける。

「ミサイルポッド展開、照準固定、発射」

しっかり三発分の小型ミサイルが廊下を突っ切る。
弾着と同時に、私は床を蹴って走る。
そうして、粉塵の中で前後不覚に陥ったアンドロイド兵を二体、破壊することに成功した。
残り一体はどこへ......そう思っていたが、爆風をもろに受けたようで、四散していた。

『スピード制圧です、次のゲートを開きますね』
「はい、迅速に終わらせます」

ゲートが開いた。
私はゲートを潜り抜け、まずは一発。
拡散モードで撃たれた弾丸は廊下の最奥で拡散し、一番奥に居たアンドロイド兵が足をやられて倒れる。

「こんなところで苦戦していられません、終わらせます」

ここは居住区画、派手な戦闘は出来ない。
私は一歩踏み出し、アームガードを構えたまま突進する。
数秒後、破砕音と共にパーツが飛び散る。
一体を轢き潰したのだ。
同時に、直ぐ傍にいた二体目を機関砲で殴りつけ、壁にめり込ませる。
そのまま、至近距離で発砲する。

「ク.....Clavis、殺.....セ!!」
「申し訳ございませんが、無力化させていただきます」

最後のアンドロイド兵から銃を取り上げ、真ん中から真っ二つに折って使えなくした後、私は宣言する。

「左ウィング、制圧完了!」
『分かりました、これより人員を派遣し避難誘導を行うので、ドックまで帰還してください』
「了解」

私はドックに向けて一歩一歩歩き出すのであった。.
しかし、戦いはまだ終わっていない。
これからが本当の戦いだ! ….という訳である。
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