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シーズン1-序章

022-第二次パルタ降下戦 後編

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「ネルディエ級、熱源増大。射線ルート計算します」
『ふん』

クロノスは左腕の盾を展開する。
そして、ネルディエ級が放ったレーザーを正面から弾き飛ばした。

『そんなもん、効かねえよ!』

クロノスは踏み込んで、ネルディエ級に向けて跳び蹴りをかました。
ネルディエ級は轟音と共に吹き飛んで、ビルを薙ぎ倒しその中腹に崩れ落ちた。

『こんなもんか.....?』
「気を付けてください、地中に潜りますよ」
『OK』

ネルディエ級は素早く動き、地面を割って地中に潜り始めた。
そして、完全に姿が見えなくなる。

「ネルディエ級はこの都市の熱源に執着しています。ですから、まずは障害となる私たちを狙ってくるでしょう」
『つまり....見つけたら倒せばいいんだな!!』
「そういうことです」

その時、背後から地面を割ってネルディエ級が現れた。
クロノスは既に動いており、盾でネルディエ級の体当たりを受け止めた。
重厚な金属音と共に、盾が体当たりの衝撃を完全に吸収した。

『行くぞっ!!』

クロノスはライフルを抜き、弾丸を叩きこむ。
ネルディエ級の装甲にへこみが出来て、ネルディエ級は堪らず地中に潜った。

「無駄です、IDを割り振りましたので、探査範囲外に出ない限り特定可能です」
『おっしゃ、じゃあこいつの――――出番だな!!』

クロノスはそこで初めて、背中に吊っていた『新装備』に手を伸ばす。
安全装置を解除し、飛び出してくるネルディエ級を慎重に狙う。

「七時の方向に反応あり」
『おーし!』

クロノスはそれを構え、引き金に指を掛ける。
そして、ネルディエ級が飛び出し――――そのまま襲い掛かってくる。

『喰らえ――――パイルアンカーッ!!』

私が思いついたのは、パイルバンカーである。
でも、貫くだけで終わらない。

『よっしゃあ、刺さったぜぇ!!』
「引っ張ってください!!」
『了解!』

突き刺さった杭が固定されると、ワイヤーが巻き上げられ、ネルディエ級の巨体を地面に引き倒す。
クロノスは思いっきりワイヤーと繋がった本体を引き上げ、プラズマキャノンを展開した。

「連射モードに切り替え」
『痛いのを六発喰らえ!!』

既に充填済みのプラズマキャノンを六発に分け、クロノスはプラズマ弾をネルディエ級に向かって撃った。
分割されていようと威力は高く、ネルディエ級の装甲が一部吹き飛んだ。
だが直ぐに、内側で別の装甲が展開されてしまう。

「クロノス、本体に負荷がかかり過ぎています、アンカーを一度収納することを推奨します」
『OK!』

クロノスは突き刺さった杭を巻き上げて引っこ抜く。
杭は内側で突起を突き出して抜けないようになっているだけなので、抜くときはそれを解除するだけで直ぐに抜ける。

『吹き飛べ!』
「二発が南地区に被害を及ぼす恐れあり、軌道修正します」

クロノスが派手に六発のミサイル全てを放つ。
だが、そのうちの二発の爆風が、避難の完了していない地域に及ぶと瞬時に予測し、軌道修正を行う。
ネルディエ級は最初に四発が足元、腹、頭に着弾し、私が軌道修正を行ったミサイルが背後から着弾するという憂き目に遭った。

『なんかちょっと可哀想だな』
「けれど....あれは殺人機械です、情を抱く前に破壊しましょう」
『了解だ、行くぞ!!』

しかし.....私たちは侮っていた。
ネルディエ級に大したことは出来ないと。
だが、それは大きな誤りだったのだ。

『なっ!?』
「クロノス、そのまま右足を軸に回避を! 遠心力を利用して回し蹴りが出来るはずです!」
『何かわからんが、とりあえずやる!!』

クロノスは右足を軸にバレエダンサーのような姿勢でネルディエ級の体当たりを回避し、
そのままビルを何棟か破壊しながら回し蹴りをネルディエ級のどてっぱらに叩き込んだ。
ネルディエ級の装甲が大きく歪み、そのまま吹っ飛んで街灯を押しつぶしながら道路に倒れこんだ。

『なんか、怪獣バトルみたいだな!』
「射撃感知、盾で防いでください!」
『ちっ、面倒臭いな!』

ネルディエ級が口を開け、そこから高出力のレーザー砲が放たれた。
クロノスは咄嗟に盾を展開し、それを正面から弾く。

『串刺しにしてやる!』

クロノスはライフルを腰に差し、剣を抜いてネルディエ級に襲い掛かった。

『くたばれ!!』
「射撃感知」
『ちっ』

クロノスが砲撃を盾で防ぐと、その隙にネルディエ級は地面に潜って逃げ出した。

『逃すか! クラヴィス!?』
「今やってます!」

ネルディエ級は地面を高速で移動するが、それ故に熱源が剥き出しになっている。

「クロノス、プラズマキャノンの準備を」
『どうするんだ?』
「釣り出します」

正直な所かなりのグレー行為だが、損傷を受けているネルディエ級には効くだろう。
私はクロノスの通信機能を使い、「ラデウル銀河連邦の艦隊コード」を発信する。
ウスカ級が互いに発信しあっていたものを記憶して、クロノスの機関制御コードの中に挟んで隠しておいたのだ。

「釣れました」

ネルディエ級は地中深くに隠れていたが、艦隊コードを受けた事で救援が来たと勘違いし、地面へ飛び出した。
クロノスは剣を収め、パイルアンカーを抜いた。
そして、杭がネルディエ級の身体に突き刺さり、固定して自由を奪う。

「射撃感知」
『このまま行く!!』

ネルディエ級は口を開き、砲口を露出させた。
だが、クロノスは盾ではなく、プラズマキャノンを展開する。
既に充填されていたエネルギーが膨れ上がり、ネルディエ級の口内に向け光弾が放たれた。

「盾を展開してください!!」
『おう!』

超至近距離での射撃。
ネルディエ級の口内で爆発したプラズマ弾が、その装甲を内側から破壊し、それが全身に広がっていく。
ネルディエ級は内側からボコボコと膨れ上がり、やがて耐え切れず自爆した。
その自爆の衝撃を、クロノスは盾のシールド範囲を最大にして防御する。
爆風が周囲のビルを薙ぎ倒し、車を吹き飛ばし、その被害は避難の完了した南区にも及んだ。

「ネルディエ級、掃討完了です......」
『よっしゃああ!!』

ネルディエ級だったものが、クロノスの前に転がっている。
プラズマキャノンによって齎された内側からのエネルギー拡散に耐えきれず膨張し、バラバラになったのだ。

『さーて、後は帰るだけだな.......』
「もうすぐ、帰還用のユニットが投下されるはずです」

撃破の報告は艦隊に届いているであろうから、もうすぐ通信も再接続されるだろう。
私はコックピットで一人、胸を撫で下ろした。
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