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シーズン1-序章
018-パルタ降下戦
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「パルタⅣですか?」
俺はそう問い返した。
エイペクスに呼び出され、作戦会議室へと案内されたので話を聞いていたのだが、どうやら今度の戦場は惑星地上部分であるようだ。
「そうです、ミナス星系第四惑星のパルタⅣ、発見者のパルタ・カーネリアンによって名付けられた、居住可能な惑星です」
「居住可能.....ですか、宙賊でしょうか?」
「いいえ、今回の相手はラデウルの機兵です」
ジェシカ大尉が、俺にデータを送信した。
展開すると、ノイズ交じりの映像が出た。
『こちらパルタⅣ第二七植民都市! 正体不明の敵と交戦中!』
『そちらにデータを送信する! 至急救援を――――』
10秒ほどで映像は終わり、今度は短い映像に切り替わる。
音のないその映像は、地面を突き破って飛び出してくる胴長の何かだった。
「分析の結果、敵の詳細は”ネルディエ級”と分かりました」
「ネルディエ級ですか.....」
データ全体に検索をかけると、ネルディエ級は艦艇ではなく陸上兵器の項目から見つかった。
ネルディエ級 陸上用大型防衛機兵
データが少ないが、丸まってワープでランダムな惑星に移動し、落下して潜伏する潜伏攻撃型というものもあるようだ。
その姿はまるで、機兵というより生物のようだ。
「ラデウル銀河帝国は有機的な形状の兵器を作ることで有名ですが、今回もその例に漏れず生物的な形状と特徴を併せ持ちます」
「つまり、この形状であれば......とても速いということですね?」
「そうです、そして――――」
画面に情報が出た。
それは、背面にミサイルポッド、両腕に長身の機関砲を装備した小さいロボットのような何かだった。
「今回あなたには、単独でこれを装備して降下していただきます」
「.......クロノスと出撃するまでもないという事ですか?」
「いいえ、余りに苦戦するようならばクロノスを投入します。今回はちょうどいい機会ですので.....あなた単体の戦闘能力を測りたいのです」
俺の戦闘能力を測って、どうするのか。
意図が分からず困惑するが、直ぐに予想は浮かんでくる。
恐らく上は、俺とクロノスを切り離して運用したいのだろう。
高いスペックを持つ俺を大型のクロノスに乗せるより、小型の追加装備で強化して運用した方がいい事実に気が付いたのかもしれない。
「分かりました、では予定のアップデートを行います」
「ええ、アップデートデータに基づいて行動してください」
更新された予定では、二時間後に一番格納庫の降下艇のコンテナ内に入る必要がある。
勿論時間の経過などこの身体には何ら苦痛ではないので、先んじてメンテナンスに入り、全身のパーツを洗浄してもらう。
バッテリーも交換し、第一格納庫へと向かった。
「あれ、クラヴィスさん」
「ラウド様、如何いたしましたか?」
「いや、何でもないです!」
俺はラウドと会話しようとしたが、ラウドはすっと横を通り抜けていった。
俺が振り向くと、ラウドは振り向かなかった。
何だか避けられているようで、少しだけ気分が落ち込んだ。
「これが降下艇......」
この世界では、ロケットのような形状に頼らずとも大気圏を突破できる技術がすでに確立されている。
それゆえ降下艇も、小型で機動性に優れた形状となっている。
「認証」
コンテナのロックを解除し、中に入ると数秒で照明が点灯する。
中には、一見すると小型のクロノスにも見える追加装備......Clavis専用戦闘鎧が安置されていた。
「..............」
ガイドに従い、戦闘鎧に信号を送信すると、戦闘鎧は体育座りのような格好を取った。
俺はその胴体に上り、真ん中の部分にあるボタンに触れた。
すると胴体が開き、丁度俺が入れそうなスペースが出来た。
そこに入って、手足を通す。
それが終わると、いつも通りツインテールと背中にケーブルが接続され、機体のデータが同期される。
目の前にバイザーが降りて、GUIが機体の状態を表示する。
「後は、スリープモードになるだけですね」
俺は目を閉じ、スリープモードに移行する。
二時間後に再起動するようにセットして。
◇◆◇
『現在降下中です、出撃準備をしてください。現在降下中です、出撃準備をしてください』
「はいっ!」
クロノスに乗っているときは大丈夫だったのに、いざ出撃するとなると緊張する。
目の前に表示されているタイマーと、右上のタイマーがさらに緊張を誘う。
目の前のタイマーは効果までの時間、右上のタイマーは活動限界までの時間。
今回は私の動力源+戦闘鎧のバッテリーを使って駆動しているので、活動限界までは6時間ある。
そうこうしているうちに、タイマーが0になる。
『コンテナ投下します、衝撃に備えてください』
「..........!」
数秒後、大きな衝撃がコンテナ内を襲い、私は着地したことを確認した。
コンテナの開閉信号を送り、コンテナを開けた。
「..........」
目の前には荒野が広がっている。
敵など居そうにもないが、壊滅した基地に向かうのが私の仕事だ。
『各部システム同期、異常なし』
『電源、回路共に異常なし』
『スラスター噴射』
独特の起動音と共に背面のスラスターから白い奔流が放たれた。
クロノスのブースターと同じ動力なのだろう。
「クラヴィス、発進します」
『了解。そのまま指定の場所まで向かってください』
「はい」
外に飛び出した私は、そのまま右に旋回、全速力で植民都市の方向へと向かう。
最低限の防衛設備を整えた基地が壊滅するとは思えないけれど、あのデカブツが相手ではレーザー砲での攻撃が効かないかもしれない。
「狭域の救難信号を検知」
『作戦を続行してください』
「はい」
私の視界に、救難信号を示すポップアップメッセージが出る。
宇宙まで届く高出力の広域救難信号ではなく、あくまで都市周辺に避難もしくは退避を促す狭域の救難信号だ。
「......................」
救難信号は一定のパターンで放たれている、つまり受信側に生きている人間はもういない事を指す。
私は不安に思いつつも、都市へ向けて加速を続けるのであった。
俺はそう問い返した。
エイペクスに呼び出され、作戦会議室へと案内されたので話を聞いていたのだが、どうやら今度の戦場は惑星地上部分であるようだ。
「そうです、ミナス星系第四惑星のパルタⅣ、発見者のパルタ・カーネリアンによって名付けられた、居住可能な惑星です」
「居住可能.....ですか、宙賊でしょうか?」
「いいえ、今回の相手はラデウルの機兵です」
ジェシカ大尉が、俺にデータを送信した。
展開すると、ノイズ交じりの映像が出た。
『こちらパルタⅣ第二七植民都市! 正体不明の敵と交戦中!』
『そちらにデータを送信する! 至急救援を――――』
10秒ほどで映像は終わり、今度は短い映像に切り替わる。
音のないその映像は、地面を突き破って飛び出してくる胴長の何かだった。
「分析の結果、敵の詳細は”ネルディエ級”と分かりました」
「ネルディエ級ですか.....」
データ全体に検索をかけると、ネルディエ級は艦艇ではなく陸上兵器の項目から見つかった。
ネルディエ級 陸上用大型防衛機兵
データが少ないが、丸まってワープでランダムな惑星に移動し、落下して潜伏する潜伏攻撃型というものもあるようだ。
その姿はまるで、機兵というより生物のようだ。
「ラデウル銀河帝国は有機的な形状の兵器を作ることで有名ですが、今回もその例に漏れず生物的な形状と特徴を併せ持ちます」
「つまり、この形状であれば......とても速いということですね?」
「そうです、そして――――」
画面に情報が出た。
それは、背面にミサイルポッド、両腕に長身の機関砲を装備した小さいロボットのような何かだった。
「今回あなたには、単独でこれを装備して降下していただきます」
「.......クロノスと出撃するまでもないという事ですか?」
「いいえ、余りに苦戦するようならばクロノスを投入します。今回はちょうどいい機会ですので.....あなた単体の戦闘能力を測りたいのです」
俺の戦闘能力を測って、どうするのか。
意図が分からず困惑するが、直ぐに予想は浮かんでくる。
恐らく上は、俺とクロノスを切り離して運用したいのだろう。
高いスペックを持つ俺を大型のクロノスに乗せるより、小型の追加装備で強化して運用した方がいい事実に気が付いたのかもしれない。
「分かりました、では予定のアップデートを行います」
「ええ、アップデートデータに基づいて行動してください」
更新された予定では、二時間後に一番格納庫の降下艇のコンテナ内に入る必要がある。
勿論時間の経過などこの身体には何ら苦痛ではないので、先んじてメンテナンスに入り、全身のパーツを洗浄してもらう。
バッテリーも交換し、第一格納庫へと向かった。
「あれ、クラヴィスさん」
「ラウド様、如何いたしましたか?」
「いや、何でもないです!」
俺はラウドと会話しようとしたが、ラウドはすっと横を通り抜けていった。
俺が振り向くと、ラウドは振り向かなかった。
何だか避けられているようで、少しだけ気分が落ち込んだ。
「これが降下艇......」
この世界では、ロケットのような形状に頼らずとも大気圏を突破できる技術がすでに確立されている。
それゆえ降下艇も、小型で機動性に優れた形状となっている。
「認証」
コンテナのロックを解除し、中に入ると数秒で照明が点灯する。
中には、一見すると小型のクロノスにも見える追加装備......Clavis専用戦闘鎧が安置されていた。
「..............」
ガイドに従い、戦闘鎧に信号を送信すると、戦闘鎧は体育座りのような格好を取った。
俺はその胴体に上り、真ん中の部分にあるボタンに触れた。
すると胴体が開き、丁度俺が入れそうなスペースが出来た。
そこに入って、手足を通す。
それが終わると、いつも通りツインテールと背中にケーブルが接続され、機体のデータが同期される。
目の前にバイザーが降りて、GUIが機体の状態を表示する。
「後は、スリープモードになるだけですね」
俺は目を閉じ、スリープモードに移行する。
二時間後に再起動するようにセットして。
◇◆◇
『現在降下中です、出撃準備をしてください。現在降下中です、出撃準備をしてください』
「はいっ!」
クロノスに乗っているときは大丈夫だったのに、いざ出撃するとなると緊張する。
目の前に表示されているタイマーと、右上のタイマーがさらに緊張を誘う。
目の前のタイマーは効果までの時間、右上のタイマーは活動限界までの時間。
今回は私の動力源+戦闘鎧のバッテリーを使って駆動しているので、活動限界までは6時間ある。
そうこうしているうちに、タイマーが0になる。
『コンテナ投下します、衝撃に備えてください』
「..........!」
数秒後、大きな衝撃がコンテナ内を襲い、私は着地したことを確認した。
コンテナの開閉信号を送り、コンテナを開けた。
「..........」
目の前には荒野が広がっている。
敵など居そうにもないが、壊滅した基地に向かうのが私の仕事だ。
『各部システム同期、異常なし』
『電源、回路共に異常なし』
『スラスター噴射』
独特の起動音と共に背面のスラスターから白い奔流が放たれた。
クロノスのブースターと同じ動力なのだろう。
「クラヴィス、発進します」
『了解。そのまま指定の場所まで向かってください』
「はい」
外に飛び出した私は、そのまま右に旋回、全速力で植民都市の方向へと向かう。
最低限の防衛設備を整えた基地が壊滅するとは思えないけれど、あのデカブツが相手ではレーザー砲での攻撃が効かないかもしれない。
「狭域の救難信号を検知」
『作戦を続行してください』
「はい」
私の視界に、救難信号を示すポップアップメッセージが出る。
宇宙まで届く高出力の広域救難信号ではなく、あくまで都市周辺に避難もしくは退避を促す狭域の救難信号だ。
「......................」
救難信号は一定のパターンで放たれている、つまり受信側に生きている人間はもういない事を指す。
私は不安に思いつつも、都市へ向けて加速を続けるのであった。
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