SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン9-未知の侵略者編

188-ジャンプドライブの脅威

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ゲートを封鎖されたNoa-Tun艦隊は孤立し、謎の構造物の前に布陣してヴィジラントノクティラノスと戦闘を繰り広げていた。

『エスクワイア隊、側面に回り込みバズーカで攻撃せよ!』
『了解!』

ヴィジラントノクティラノスは、脅威となる大型艦のみを狙い攻撃を加え、P.O.Dを纏った射撃を回避しながら戦闘を行っていた。
射程を活かした連撃が、Noa-Tunの大型艦を襲う。
シールドが剥げ落ちた大型艦は、装甲を高速で修復しながら、ヴィジラントノクティラノスの装甲をレーザー砲で打ち砕く。
そして何より、

『アドアステラ、突出し過ぎです!』
『いや、このまま行く。突出しなければ前衛が崩壊するぞ!』

アドアステラ。
その船の主砲は、P.O.Dを纏わない大火力砲であり、ヴィジラントノクティラノスを貫通、破壊へと至らせていた。
重巡洋艦という艦種でありながら、その火力は主力艦そのものである。
しかし、巡洋艦であっても遅いわけではない。
フリゲート並みの高機動で戦場を駆け回り、ノクティラノスの数を徐々に減らしていた。

『カサンドラ様に通達、艦隊の損耗率が20%を上回ります。エクスターミネーターノクティラノスの投入を申請します』
『許可しましょう』

リーダー機のノクティラノスはエクスターミネーターノクティラノスの投入を具申し、それが通る。
それと同時に、リーダー機のヴィジラントノクティラノスの眼前にアドアステラが飛び込んでくる。

『そこだ!』
『イレギュラー発生、対処します』

ヴィジラントノクティラノスのリーダー機は、アドアステラの砲撃を巧みな操船技術で回避する。
そのまま距離を取り、テンタクルレイとダウンレイによる猛攻をアドアステラへ加える。

『ぶち破る、シトリン!』
『リパルサーシステム起動、タレットシステム、オーバーロード』

通信に無機質な声が混じる。
それと同時に、アドアステラの動きが変わる。
船体をまるで戦闘機の如くバレルロールさせながら、ヴィジラントノクティラノスの射撃を回避し、的確な角度とタイミングで砲撃を撃ち込んだ。

『D3221機に権限移行』

その時点で、そのリーダー機は他のヴィジラントノクティラノスに権限を委譲した。
集合意識の端末にすぎないノクティラノスにとって、リーダー変更は問題にならないからだ。
指揮系統を委譲し身軽になった元リーダー機は、アドアステラに対してカプセル状の何かを放出する。
カプセルは爆ぜて中身を撒き散らし、その中身がアドアステラの速度を大きく下げた。
「コブウェブ」と呼ばれる、Ve‘zの装備である。
粒子の変動性を固定し、その場に密度の高いフィールドを形成する事で、見えない網で絡めとる。
動きを止めたところに、リーダー機は砲撃を叩き込む。
だが、破れない。
アドアステラの主砲が回転し、光を放つ。

『B33211ロスト、指揮系統を完全移行』

元リーダー機のヴィジラントノクティラノスを、アドアステラの砲撃が貫通する。
シールドを障子の如く突き破った砲撃は、装甲を瞬時に蒸発させ、過熱した装甲分が爆発し四散した。
コブウェブを振り切ったアドアステラは、ワームホールを通って出現したエクスタミネーターノクティラノスへと肉薄する。

『ヴィジラントノクティラノス、全体の52%を喪失』
『継続しなさい』
『はい』

指揮官のカサンドラには、この戦いの結末が見えていた。
ゲートは封鎖され、補給も増援も見込めない中、艦隊に逃げ場はない。
無謀な突撃の、妥当な末路である。

『不明なシグナルを感知』

その時。
艦隊の中央部に位置していた小型艦が、高周波の信号を発信した。
意味の通らないその信号を、カサンドラが解読しようとしたその時。

『次元結節点の生成を感知、総数1.......10.....30.....50.....』
『そんな!? ワームホールの生成は封じているはずです』

その信号を辿り、星系の外から艦隊が次々とジャンプして来た。
それはワームホールではなく、Ve’zの知らない技術であった。
増援は即座に展開を開始し、エクスタミネーターノクティラノスに対して遠距離からの実体弾砲撃で一気に沈める。
瞬く間にエクスターミネーター艦隊は壊滅し、カサンドラはその時点で作戦を失敗として増援を打ち切った。
連邦が見せたジャンプドライブの脅威の前に、Ve’z艦隊は対策できずに敗れたのであった。
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