SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン9-未知の侵略者編

183-出現

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カルメナス外縁部、ディクハ・ウーハ星系。
そこでは、海賊たちが次の航海に向けて商業ハブに詰め掛けていた。

「次はフォウルス連合での商売か」
「TRINITY.も滅んだしな、俺たちの時代だぜ」

商業ハブの酒場では、ワインを飲み干しながら禿面の海賊が笑いあっていた。
彼らはカルメナスの中堅海賊であり、これからの計画を練っているところである。
ディクハ・ウーハ星系はフォウルス連合に隣接するロー・セキュリティ宙域であるミツカイ星系に接続される星系であり、これからのビジネスを夢見る海賊たちのよたかとなっていた。

「ランツ、お前はどこに行くんだ?」
「フォウルス連合東部だな、あっちはキロマイア皇国があったところだが、首都星系が無くなっちまったからな、崩壊のさなかで奪うものがたくさんあるぜ」
「いいな、それ」
「だろ、お前も来るか?」
「俺は――――」

その時。
轟音とともに酒場が揺れた。
皿やジョッキが床に落ち、海賊たちは周囲を見渡す。

「何だ!?」
「またどっかの馬鹿が配管を.....」
『敵襲! 敵襲! 出撃可能な者は即座に出撃せよ!』

商業ハブは攻撃されていた。
だが、管制室はその規模に驚愕していた。

『敵の総数は二千を越えている! 艦種は識別出来ない! 国籍不明!』
「フォウルス連合じゃねーのか!?」
『違う! ジャッドーの船でもない!』

商業ハブを攻撃しているのは、大型戦艦を含むフリゲート艦隊であった。
だがその火力は、フリゲートの常識を大きく凌駕している。

『どこの馬鹿か知らねーが、やっちまえ!!』

商業ハブから、次々と海賊艦が現れる。
そして、それを見越していたかのように.....

『敵不明艦隊、更にワープアウト! 総数.....四千に拡大! なおも増大中!』
『有り得ない......こんな戦力を持ってる勢力がまだある訳が....』
『オルトス王国じゃないか?』
『だったら艦船のデータがあるはずだろ!』

出撃した戦艦や巡洋艦が、まるで木っ端のように砲撃に曝され、冷えた瓦礫と化していく。
艦隊の中から、全長の長い細い艦で構成された艦隊が現れ、その艦首に光を収束させる。
そして、艦隊が放った極光の束が、商業ハブを薙ぎ払った。

『カルメナス本星へ通達! 我々は侵略を受けている! これは緊急の案件である、繰り返す――――』

商業ハブから離脱しようとした輸送艦隊は、唐突に発生した球状のワープ妨害フィールドによってワープを阻害され、横にワープアウトしてきた巡洋艦隊に襲われて壊滅する。
本星への通信が阻害され、代わりに別の通信が割り込む。

『――――我々の名は、Noa-Tun。Noa-Tun連邦はこれより、カルメナス海賊国に対して宣戦布告する』

通信はたった一度だけ行われた。
その直後、カルメナスの領土にある十五の星系にて、同時に攻撃が開始された。
地理を完全に無視した攻撃に、海賊たちはただ恐れ慄き.....
首領アルダネイトは、その事態を受けて直ぐに行動を開始した。

「Ve’zに救援を要請する、これ以上借りを作るのはまずいが、俺たちの敵う相手じゃねえ」
「しかし、首領ボス.....」
「いいからやれ! たった三十分で商業ハブを吹っ飛ばす奴ら相手に真面目に戦争してられるか!」

こうして、カルメナスはジャッドー対策のコネクションを利用してVe’zに救援を求めた。
それを受けたカサンドラは些事と判断し、救援のドミネーターノクティラノス艦隊を送るのだが.....
これが銀河史に残らない、しかし二つの勢力を巻き込む大戦争に発展することを、まだ誰も知らなかった。
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