183 / 200
シーズン9-未知の侵略者編
183-出現
しおりを挟む
カルメナス外縁部、ディクハ・ウーハ星系。
そこでは、海賊たちが次の航海に向けて商業ハブに詰め掛けていた。
「次はフォウルス連合での商売か」
「TRINITY.も滅んだしな、俺たちの時代だぜ」
商業ハブの酒場では、ワインを飲み干しながら禿面の海賊が笑いあっていた。
彼らはカルメナスの中堅海賊であり、これからの計画を練っているところである。
ディクハ・ウーハ星系はフォウルス連合に隣接するロー・セキュリティ宙域であるミツカイ星系に接続される星系であり、これからのビジネスを夢見る海賊たちのよたかとなっていた。
「ランツ、お前はどこに行くんだ?」
「フォウルス連合東部だな、あっちはキロマイア皇国があったところだが、首都星系が無くなっちまったからな、崩壊のさなかで奪うものがたくさんあるぜ」
「いいな、それ」
「だろ、お前も来るか?」
「俺は――――」
その時。
轟音とともに酒場が揺れた。
皿やジョッキが床に落ち、海賊たちは周囲を見渡す。
「何だ!?」
「またどっかの馬鹿が配管を.....」
『敵襲! 敵襲! 出撃可能な者は即座に出撃せよ!』
商業ハブは攻撃されていた。
だが、管制室はその規模に驚愕していた。
『敵の総数は二千を越えている! 艦種は識別出来ない! 国籍不明!』
「フォウルス連合じゃねーのか!?」
『違う! ジャッドーの船でもない!』
商業ハブを攻撃しているのは、大型戦艦を含むフリゲート艦隊であった。
だがその火力は、フリゲートの常識を大きく凌駕している。
『どこの馬鹿か知らねーが、やっちまえ!!』
商業ハブから、次々と海賊艦が現れる。
そして、それを見越していたかのように.....
『敵不明艦隊、更にワープアウト! 総数.....四千に拡大! なおも増大中!』
『有り得ない......こんな戦力を持ってる勢力がまだある訳が....』
『オルトス王国じゃないか?』
『だったら艦船のデータがあるはずだろ!』
出撃した戦艦や巡洋艦が、まるで木っ端のように砲撃に曝され、冷えた瓦礫と化していく。
艦隊の中から、全長の長い細い艦で構成された艦隊が現れ、その艦首に光を収束させる。
そして、艦隊が放った極光の束が、商業ハブを薙ぎ払った。
『カルメナス本星へ通達! 我々は侵略を受けている! これは緊急の案件である、繰り返す――――』
商業ハブから離脱しようとした輸送艦隊は、唐突に発生した球状のワープ妨害フィールドによってワープを阻害され、横にワープアウトしてきた巡洋艦隊に襲われて壊滅する。
本星への通信が阻害され、代わりに別の通信が割り込む。
『――――我々の名は、Noa-Tun。Noa-Tun連邦はこれより、カルメナス海賊国に対して宣戦布告する』
通信はたった一度だけ行われた。
その直後、カルメナスの領土にある十五の星系にて、同時に攻撃が開始された。
地理を完全に無視した攻撃に、海賊たちはただ恐れ慄き.....
首領アルダネイトは、その事態を受けて直ぐに行動を開始した。
「Ve’zに救援を要請する、これ以上借りを作るのはまずいが、俺たちの敵う相手じゃねえ」
「しかし、首領.....」
「いいからやれ! たった三十分で商業ハブを吹っ飛ばす奴ら相手に真面目に戦争してられるか!」
こうして、カルメナスはジャッドー対策のコネクションを利用してVe’zに救援を求めた。
それを受けたカサンドラは些事と判断し、救援のドミネーターノクティラノス艦隊を送るのだが.....
これが銀河史に残らない、しかし二つの勢力を巻き込む大戦争に発展することを、まだ誰も知らなかった。
そこでは、海賊たちが次の航海に向けて商業ハブに詰め掛けていた。
「次はフォウルス連合での商売か」
「TRINITY.も滅んだしな、俺たちの時代だぜ」
商業ハブの酒場では、ワインを飲み干しながら禿面の海賊が笑いあっていた。
彼らはカルメナスの中堅海賊であり、これからの計画を練っているところである。
ディクハ・ウーハ星系はフォウルス連合に隣接するロー・セキュリティ宙域であるミツカイ星系に接続される星系であり、これからのビジネスを夢見る海賊たちのよたかとなっていた。
「ランツ、お前はどこに行くんだ?」
「フォウルス連合東部だな、あっちはキロマイア皇国があったところだが、首都星系が無くなっちまったからな、崩壊のさなかで奪うものがたくさんあるぜ」
「いいな、それ」
「だろ、お前も来るか?」
「俺は――――」
その時。
轟音とともに酒場が揺れた。
皿やジョッキが床に落ち、海賊たちは周囲を見渡す。
「何だ!?」
「またどっかの馬鹿が配管を.....」
『敵襲! 敵襲! 出撃可能な者は即座に出撃せよ!』
商業ハブは攻撃されていた。
だが、管制室はその規模に驚愕していた。
『敵の総数は二千を越えている! 艦種は識別出来ない! 国籍不明!』
「フォウルス連合じゃねーのか!?」
『違う! ジャッドーの船でもない!』
商業ハブを攻撃しているのは、大型戦艦を含むフリゲート艦隊であった。
だがその火力は、フリゲートの常識を大きく凌駕している。
『どこの馬鹿か知らねーが、やっちまえ!!』
商業ハブから、次々と海賊艦が現れる。
そして、それを見越していたかのように.....
『敵不明艦隊、更にワープアウト! 総数.....四千に拡大! なおも増大中!』
『有り得ない......こんな戦力を持ってる勢力がまだある訳が....』
『オルトス王国じゃないか?』
『だったら艦船のデータがあるはずだろ!』
出撃した戦艦や巡洋艦が、まるで木っ端のように砲撃に曝され、冷えた瓦礫と化していく。
艦隊の中から、全長の長い細い艦で構成された艦隊が現れ、その艦首に光を収束させる。
そして、艦隊が放った極光の束が、商業ハブを薙ぎ払った。
『カルメナス本星へ通達! 我々は侵略を受けている! これは緊急の案件である、繰り返す――――』
商業ハブから離脱しようとした輸送艦隊は、唐突に発生した球状のワープ妨害フィールドによってワープを阻害され、横にワープアウトしてきた巡洋艦隊に襲われて壊滅する。
本星への通信が阻害され、代わりに別の通信が割り込む。
『――――我々の名は、Noa-Tun。Noa-Tun連邦はこれより、カルメナス海賊国に対して宣戦布告する』
通信はたった一度だけ行われた。
その直後、カルメナスの領土にある十五の星系にて、同時に攻撃が開始された。
地理を完全に無視した攻撃に、海賊たちはただ恐れ慄き.....
首領アルダネイトは、その事態を受けて直ぐに行動を開始した。
「Ve’zに救援を要請する、これ以上借りを作るのはまずいが、俺たちの敵う相手じゃねえ」
「しかし、首領.....」
「いいからやれ! たった三十分で商業ハブを吹っ飛ばす奴ら相手に真面目に戦争してられるか!」
こうして、カルメナスはジャッドー対策のコネクションを利用してVe’zに救援を求めた。
それを受けたカサンドラは些事と判断し、救援のドミネーターノクティラノス艦隊を送るのだが.....
これが銀河史に残らない、しかし二つの勢力を巻き込む大戦争に発展することを、まだ誰も知らなかった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる