175 / 180
シーズン8-エミド最終決戦編
175-バクタラート攻防戦
しおりを挟む
真の姿を取り戻したバクタラートの首都――――バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスに向け、メッティーラ艦隊は一斉に超兵器を発射する。
だが、それらはバクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスの装甲に損傷を与えるどころか、シールドの前で拡散して消滅してしまう。
「....?」
『成程、これはなかなか厄介な特性だね、こちらも攻撃が効かないよ――――これは推測だけど、位相変換型の防御形式だ』
『私とケイトリンで調査したッスけど――――』
『――――互いのシールドコアからエネルギーを共有し合い、ダメージを別のダメージに転移させることで相殺しているようです』
『即ち、同時に破壊しなければならないという事だ』
ジェネラスがそう締める。
そして、それを阻むように船団が複数出てくる。
その構成は、
◇バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドス Vs.メッティーラ艦隊
第一船団
第二船団
第三船団
エミド主力艦艦隊(120隻)
◇ナオ・ラヴェート・イスカ(赤の柱) Vs.ジェネラス艦隊
第四船団
第五船団
第六船団
エミド主力艦艦隊(55隻)
◇ジア・イベンダ・イスカ(金の柱) Vs.ポラノル艦隊
第七船団
第八船団
第九船団
エミド主力艦艦隊(21隻)
◇プロス・ベクト・イスカ(紫の柱) Vs.ケイトリン艦隊
第十四船団
第十五船団
第三十一船団
第三十四船団
エミド主力艦艦隊(20隻)
である。
『全艦散開、まずは敵を減らします』
『突撃陣形を組め、拙者らは敵陣へと飛び込む』
『全艦防御陣形! ボクの人形劇を邪魔させるな』
『全艦左右に広域展開、キルゾーンを回避せよ』
一斉に戦闘が開始され、メッティーラ達はそのまま船同士の距離を取りつつ、バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスとエミド主力艦艦隊から放たれる長射程P.O.Dを躱しながらの機動戦に移行する。
ジェネラス艦隊は一斉に速度を上げ、P.O.Dを躱して艦隊に噛みつき、そのまま内部まで浸透して陣形をばらばらにする。
個人個人がネットワークを通してランダムかつ綿密に動くVe’zと違い、エミドは少しだけ自我を戻した程度であり、今までとは違って「歩調が乱れる」のだ。
そして、自我を中途半端に戻した影響は、ポラノルの艦隊からの干渉にも影響する。
ポラノルはエミド兵を自分を基点とした精神的なネットワークに接続させ、「裏切りのロンド」を躍らせる。
エミド兵は味方を攻撃する艦とそうでない艦に分かれ、味方の指揮系統を混乱させながら自滅していく。
ケイトリンはいつも通り、エナジーバニッシュフィールドを展開して通常艦隊をマヒさせ、ドミネーターノクティラノスの展開したベネディクトによる制圧射撃で仕留めていた。
「ジェキド様、このままでは....第二、第五、第三十一船団に致命的な損失が出ています!」
「フン、やはり歩兵ではどうにもならぬか.....」
その凄まじい戦闘により、エミド側は途端に不利になる。
だが、ジェキドの余裕が崩れることはなく、彼は笑みを湛えた顔で言った。
「しかし、”場”は整った。行くぞ、今こそ、エミド統合体の全力を見せる時である」
ジェキドは席を立つ。
それにキシナは驚く。
ジェキドが席を自分から立つことはほとんどないからだ。
「今より我等は、古来より続くすべての鎖を断ち切る。それは敵も同じである」
直後。
ジェキドの座っていた玉座から、緑光の線が走る。
それは幾何学模様を形成し、壁面に走り全体を埋め尽くした。
直後、シールドを守っていた柱と、バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスから緑色の衝撃波が放たれた。
それはエミド艦隊を通り抜けた直後、Ve’z艦隊にも到達する。
それが何だったのか、それは如実に露になる。
「え.....ど、どこなの!? ここ、だ、誰!?」
キシナの態度が一変し、混乱した様子で倒れ込む。
ジェキドはそれを残念そうな目で見ながら、配下に連絡を取る。
「第一船団、影響はないな?」
『はい、我らは忠誠の元仕えております、これに影響されることはありません』
今の光は何だったのか。
それは、精神同調を強制解除したうえで、精神に掛けられた枷を打ち砕く。
エミドの存在を否定する最終兵器である。
それを受けたVe’z艦隊は、一斉に混乱に陥った。
『エリアス様!? 通信が出来ない....配下を制御できません!』
『これは一体.....分からぬな、しかし戦いの手は止めん!』
『ボクの精神支配が打ち切られた....? 一体何が.....』
『ケイトリン、防御壁の剥離を確認。急速離脱します』
精神支配によって縛られているわけではないVe’z人だが、互いのコネクションを失ったのは事実。
それにより、勢いを増したエミド軍に狩られていく。
エクスティラノス達も戦うが、彼らにできる事は少なかった。
「忠誠こそ最後に頼れるものなのだ、理解せよ――――ブリキの兵隊共よ」
ジェキドはそう独り言ち、笑わなかった。
キシナは彼のもとを去った。
その忠誠が真実のものではなかったからだ。
彼はそれが少しだけ、寂しかった。
「機械知能よ、以前に使用されたトレースを解析せよ。奴らにとどめを刺す」
『承諾。解析を開始します』
ジェキドはその寂しさを打ち消すように笑い、そう命じたのであった。
だが、それらはバクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスの装甲に損傷を与えるどころか、シールドの前で拡散して消滅してしまう。
「....?」
『成程、これはなかなか厄介な特性だね、こちらも攻撃が効かないよ――――これは推測だけど、位相変換型の防御形式だ』
『私とケイトリンで調査したッスけど――――』
『――――互いのシールドコアからエネルギーを共有し合い、ダメージを別のダメージに転移させることで相殺しているようです』
『即ち、同時に破壊しなければならないという事だ』
ジェネラスがそう締める。
そして、それを阻むように船団が複数出てくる。
その構成は、
◇バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドス Vs.メッティーラ艦隊
第一船団
第二船団
第三船団
エミド主力艦艦隊(120隻)
◇ナオ・ラヴェート・イスカ(赤の柱) Vs.ジェネラス艦隊
第四船団
第五船団
第六船団
エミド主力艦艦隊(55隻)
◇ジア・イベンダ・イスカ(金の柱) Vs.ポラノル艦隊
第七船団
第八船団
第九船団
エミド主力艦艦隊(21隻)
◇プロス・ベクト・イスカ(紫の柱) Vs.ケイトリン艦隊
第十四船団
第十五船団
第三十一船団
第三十四船団
エミド主力艦艦隊(20隻)
である。
『全艦散開、まずは敵を減らします』
『突撃陣形を組め、拙者らは敵陣へと飛び込む』
『全艦防御陣形! ボクの人形劇を邪魔させるな』
『全艦左右に広域展開、キルゾーンを回避せよ』
一斉に戦闘が開始され、メッティーラ達はそのまま船同士の距離を取りつつ、バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスとエミド主力艦艦隊から放たれる長射程P.O.Dを躱しながらの機動戦に移行する。
ジェネラス艦隊は一斉に速度を上げ、P.O.Dを躱して艦隊に噛みつき、そのまま内部まで浸透して陣形をばらばらにする。
個人個人がネットワークを通してランダムかつ綿密に動くVe’zと違い、エミドは少しだけ自我を戻した程度であり、今までとは違って「歩調が乱れる」のだ。
そして、自我を中途半端に戻した影響は、ポラノルの艦隊からの干渉にも影響する。
ポラノルはエミド兵を自分を基点とした精神的なネットワークに接続させ、「裏切りのロンド」を躍らせる。
エミド兵は味方を攻撃する艦とそうでない艦に分かれ、味方の指揮系統を混乱させながら自滅していく。
ケイトリンはいつも通り、エナジーバニッシュフィールドを展開して通常艦隊をマヒさせ、ドミネーターノクティラノスの展開したベネディクトによる制圧射撃で仕留めていた。
「ジェキド様、このままでは....第二、第五、第三十一船団に致命的な損失が出ています!」
「フン、やはり歩兵ではどうにもならぬか.....」
その凄まじい戦闘により、エミド側は途端に不利になる。
だが、ジェキドの余裕が崩れることはなく、彼は笑みを湛えた顔で言った。
「しかし、”場”は整った。行くぞ、今こそ、エミド統合体の全力を見せる時である」
ジェキドは席を立つ。
それにキシナは驚く。
ジェキドが席を自分から立つことはほとんどないからだ。
「今より我等は、古来より続くすべての鎖を断ち切る。それは敵も同じである」
直後。
ジェキドの座っていた玉座から、緑光の線が走る。
それは幾何学模様を形成し、壁面に走り全体を埋め尽くした。
直後、シールドを守っていた柱と、バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスから緑色の衝撃波が放たれた。
それはエミド艦隊を通り抜けた直後、Ve’z艦隊にも到達する。
それが何だったのか、それは如実に露になる。
「え.....ど、どこなの!? ここ、だ、誰!?」
キシナの態度が一変し、混乱した様子で倒れ込む。
ジェキドはそれを残念そうな目で見ながら、配下に連絡を取る。
「第一船団、影響はないな?」
『はい、我らは忠誠の元仕えております、これに影響されることはありません』
今の光は何だったのか。
それは、精神同調を強制解除したうえで、精神に掛けられた枷を打ち砕く。
エミドの存在を否定する最終兵器である。
それを受けたVe’z艦隊は、一斉に混乱に陥った。
『エリアス様!? 通信が出来ない....配下を制御できません!』
『これは一体.....分からぬな、しかし戦いの手は止めん!』
『ボクの精神支配が打ち切られた....? 一体何が.....』
『ケイトリン、防御壁の剥離を確認。急速離脱します』
精神支配によって縛られているわけではないVe’z人だが、互いのコネクションを失ったのは事実。
それにより、勢いを増したエミド軍に狩られていく。
エクスティラノス達も戦うが、彼らにできる事は少なかった。
「忠誠こそ最後に頼れるものなのだ、理解せよ――――ブリキの兵隊共よ」
ジェキドはそう独り言ち、笑わなかった。
キシナは彼のもとを去った。
その忠誠が真実のものではなかったからだ。
彼はそれが少しだけ、寂しかった。
「機械知能よ、以前に使用されたトレースを解析せよ。奴らにとどめを刺す」
『承諾。解析を開始します』
ジェキドはその寂しさを打ち消すように笑い、そう命じたのであった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
未来に住む一般人が、リアルな異世界に転移したらどうなるか。
kaizi
SF
主人公の設定は、30年後の日本に住む一般人です。
異世界描写はひたすらリアル(現実の中世ヨーロッパ)に寄せたので、リアル描写がメインになります。
魔法、魔物、テンプレ異世界描写に飽きている方、SFが好きな方はお読みいただければ幸いです。
なお、完結している作品を毎日投稿していきますので、未完結で終わることはありません。
Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
お兄ちゃんのいない宇宙には住めません!~男装ブラコン少女の宇宙冒険記~
黴男
SF
お兄ちゃんの事が大・大・大好きな少女、黒川流歌’(くろかわるか)は、ある日突然、自分のやっていたゲームの船と共に見知らぬ宇宙へ放り出されてしまう!
だけど大丈夫!船はお兄ちゃんがくれた最強の船、「アドアステラ」!
『苦難を乗り越え星々へ』の名の通り、お兄ちゃんがくれた船を守って、必ずお兄ちゃんに会って見せるんだから!
最強無敵のお兄ちゃんに会うために、流歌はカルと名を変えて、お兄ちゃんの脳内エミュレーターを起動する。
そんなブラコン男装少女が、異世界宇宙を舞う物語!
※小説家になろう/カクヨムでも連載しています
INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜
SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー
魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。
「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。
<第一章 「誘い」>
粗筋
余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。
「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。
ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー
「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ!
そこで彼らを待ち受けていたものとは……
※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。
※SFジャンルですが殆ど空想科学です。
※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。
※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中
※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる