SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
172 / 200
シーズン8-エミド最終決戦編

172-戻る事の出来ない道へ

しおりを挟む
メッティーラ達がテリタモンの基地を破壊した。
そして、テリタモンには古いゲートがあったらしく、それを使って敵の中央部――――つまりはバクタラートに直接アクセスできるとの事だ。
ただし、一つだけ制限がある。

『このゲートは我々の想像する門ではなく、導管としての特徴を持っています。つまりは――――一方通行です』

このゲートを何故起動できる前提で話しているのか?
それは、このゲートの性質にあった。
修理すれば動くこのゲートは、遠く離れた場所に作られたトレースに向かって周辺のモノを転送するが、向こう側からはこちらに来れないのだ。
となると、僕たちは最初から勝つつもりで戦力を送り込む必要がある。

『だけど、私がいるッス、偵察を適切に行えば…』
『それは難しいだろうね、向こう側は敵の本拠地だ、正面突破以外に道は無い』

僕達は戦力的に下の国家の本拠地には攻め込んだが、エミドは違う。
偵察を投下するにしても、それは戦闘と並行する形でなければならないと僕は思う。

「そこで、僕は思う。戦力的なロスを気にする必要はないと。今回使うゲートは、恐らく「アルケーシャ」の技術だ」

時空間を越えたトレースを形成する等と言う技術は、エミドにもVe’zにも無い。
だからこそ、ある一つの特徴がある。

「あのゲートには質量制限がない。――――つまり、全戦力を投入しても構わないという事だ」
『成程、戦力の逐次投入という愚策を犯すくらいであれば、最初から全力で掛かるべきとのお考えなのですね』
『しかし、それは.....』
「どちらにせよ、敵はバクタの井戸があるバクタラートから離れることはできない。どこに逃げようと、僕らがエネルギー源であるバクタの井戸を抑えてしまえば、大したことは出来なくなる」

そう、それがエミドの数少ない弱点。
バクタラートにどれだけの強大な戦力があろうとも、そこを捨てて他の星系に移動することは不可能なのだ。

「首都防衛をさせる余裕はないはずだ。だからこそ、首都には動けないケルビスと非戦闘員のカサンドラ、シーシャ、タッティラを残す」

ケルビスの乗る艦は、コーティング剤の調達が結構掛かるので、まったく別の決戦仕様への改装を行っている。
時間が加速された工房を使用したとしても、タッティラいわく「時間を掛けたいんです」との事だったので、あと三日は掛かるだろう。
奴らはこちらと同じくマインドリンクによって、空間に囚われないネットワークを構築しているから、テリタモンの陥落はすぐ敵に伝わるだろう。
決行するならば、今しかない。

『では、通常の警備艦隊はそのままで、それぞれ役目に合わせたノクティラノスを割り振りましょう』

カサンドラがすぐさま案を提示してくる。
それを見れば、その言葉の意味がすぐに分かった。

◇メッティーラ ドミネーターノクティラノス・アサルトノクティラノス
◇ジェネラス エクスタミネーターノクティラノス・フリペアノクティラノス
◇アドラス アータスノクティラノス・ドレッドノクティラノス
◇ポラノル スカウトノクティラノス
◇ケイトリン ドミネーターノクティラノス・アータスクイスティラス
◇シュマル スカウトノクティラノス・ハンタークイスティラス

メッティーラやジェネラスにはドミネーターノクティラノスを含めた大戦力を。
アドラスやケイトリンのような接近戦において不利な者にはラエリスを即時展開できるアータスを。
ポラノルやシュマルのような偵察と情報戦を行う者にはスカウトノクティラノスを。

「これは....かなりいいと思う。初期案をこれとして、皆でこの先を考えよう」
『はい』

カサンドラのみが言葉を発するが、皆同意したようだった。
こうして僕たちは、最終決戦――――バクタラート戦へと挑むのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【SF短編】エリオの方舟

ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~

霧氷こあ
SF
 フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。  それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?  見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。 「ここは現実であって、現実ではないの」  自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。

【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...