SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
169 / 200
シーズン8-エミド最終決戦編

169-食事会

しおりを挟む
エミドとの戦闘が開始されたものの、防衛戦自体は比較的楽なものだ。
それ故に、僕も暇を持て余し、エリス達を誘ってみたのだが.....

「またこの国を訪れるとはな....」
「ちょっとご飯食べるだけでしょう?」
「そうだが」

僕たちはクロペル共和国のエイスタープライムⅠへと降り立ち、車に乗っていた。
運転しているのはジアン。
そして車内は、僕とエリス、ティニア、サーシャ、アディナ、アルクレイス、ディオナの七人で満杯だ。

「ティニア、ディオナ、公務はいいのか?」
「うん! 後でまとめて片付けるもん」
「副官に押し付けちまったよ! 元々そんなに多いわけじゃないしねぇ」

有職の二人だが、仕事を放棄してまで来たらしい。
まあ、三時間程度の食事なら構わないのだろう。

「私、楽しみっ! ね、お姉さま」
「ええ、そうね....」
「楽しみですね、エリアス殿」
「....そうだな」

サーシャはエリスと、アルクレイスは僕にそれぞれ尋ねてくる。
僕はそれに、薄く笑って応えた。
浮遊する車は高速道路らしいラインから降りて都市の内部へ降り、ある建物の前で止まった。
セキュリティゲートの前に、警備が立っている。

「会員証はお持ちですか?」
「もちろん、ジン!」
「ええ」

彼女たちは今、モニカとジンとしてお忍びで行動している。
僕らも目立たないよう、なるべくそれぞれに合わせた格好だ。
僕は髪を纏めてワンピース、エリスは半袖のシャツの上に青いシャツを一枚羽織っている。
サーシャは子供服を着せて、アルクレイスはどうしてもそれがいいと言うので、白のシャツにワインレッドのロングスカートというお洒落な格好をしていた。

「お通りください、

中は入るとエレベーターホールになっており、僕らはエレベーターに乗って上に向かう。
その先は、高級な中華料理のような、伝統的なクロペル共和国の様式が再現された場所だった。
すぐにウェイターがやって来て、席の確認をする。
ここは財界の著名人が来るような場所らしく、そんな場所の予約を当日に取れるとは。
女王らしい所を初めて見たような気がする。

「注文はもう決めてあるから!」
「変なものじゃないのよね?」
「心配無用です、食べられないようでしたら下げさせますので」

ジンはきりっとした表情で言う。
僕は食事に貴賤を当てはめないが、幼児化してしまったサーシャや、裏切ったおかげで吹っ切れて重い感情を向けてくるアルクレイスも何だかんだで食事に好みはあるだろう。
僕は皆を見る。
皆は僕の行動の理由を察してくれたらしく、一様に頷いた。

「じゃあ、注文はこのままで行くね」

ティニアは端末を操作する。
しばらくすると、ウェイターがグラス...らしいものに水を注いでくれる。
ちなみに、水を飲まない種族や、水が毒になる種族も当然存在するため、事前の予約時にその旨も記載するようだ。この辺は前世のアレルゲン配慮にも似ている。
この世界では発達した医療技術により、アレルゲン反応は抑制出来るため、よほど未発達か貧困な環境生まれでなければなんであろうと食べられるそうだ。

「楽しみだな」

この身体も大分感覚が戻ってきている。
不要だったはずの器官が感覚を取り戻して、僕は食事を味わう事が出来るようになったのだ。
僕は最初に来る前菜を少しだけ心待ちにして待っているのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【SF短編】エリオの方舟

ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~

霧氷こあ
SF
 フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。  それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?  見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。 「ここは現実であって、現実ではないの」  自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス
ファンタジー
自動車工場で働くケンはいつも通りに仕事を終えて、帰りのバスのなかでうたた寝をしていた。 目を覚ますと、見知らぬ草原の真っ只中だった。 なんとか民家を見つけ、助けを求めたのだが、兵士を呼ばれて投獄されてしまう。 そこへ返り血に染まった吸血鬼が襲撃に現れ、ケンを誘拐する。 その目的は「ロボットを修理しろ」とのことだった・・・

処理中です...