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シーズン8-エミド最終決戦編
168-疑惑
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数日後。
僕は、ケルビス達の艦隊の修理過程を見物に来ていた。
『あっ、エリアス様』
「タッティラ、修理状況は?」
『酷い、です! 装甲のコーティング剤が足りませんから、今取り寄せ中です!』
「成程」
ケルビス達は高熱かつ装甲に対してダメージが蓄積しやすい環境で戦闘していた。
それ故に、タッティラが生産ラインを使わず直接直していた。
『ケルビスさま達には、現在義体で生活してもらっています』
「だろうな」
旧艦体は爆散したうえ、新艦体は大ダメージを受けて修理中という訳か。
次の戦いの指揮官はメッティーラか。
『それにしても、何故わざわざここに?』
「タッティラ、休暇は不要か? あまり外に出ないとカサンドラが言っていたが」
今回の主目的はむしろそちらだ。
AI達の反乱を防止するために、僕は彼ら彼女らの”満足”を保証する義務がある。
『......お時間さえいただけるのであれば、私は....その、とある機械を修理したいのですが』
「....何だ?」
タッティラが許可を必要とするほどの機械.....そんなものがこのアロウトにあったか?
そもそも、シーシャと同じくデータベースに自由にアクセスできるタッティラが.....
『現在、資料室に保管されている.....BT-77211です』
「....成程、これか」
これもまた、異次元転換砲と同じく出所不明の技術だ。
資料室の一か所を占拠している巨大な機械で、故障しているようで動かないらしい。
一点ものだが、それが褒美になるのなら構わないか。
「資料室は転送装置で入れない、直接行くぞ」
『はい』
資料室はそれぞれ空間的に隔絶された場所であり、何かあった時に虚数空間に放り出せるように設計されているのだ。
僕とタッティラはその中の一室へと入った。
「これを直せるのか?」
『壊しても怒らないのであれば』
「ああ」
白い、機械だ。
スキャンには何も反応しない。
タッティラはリフトで天井から釣られたそれに上がり、内部の機構を調べ上げ始めた。
「わかるのか?」
『分かりませんが、データベースと相互参照しながらですね』
タッティラが蓋を剥がすと、どこかで見たマークが裏に描かれていた。
「これは.......もしかして、アンデュラス合衆国じゃないか?」
『....そのようですね、では...アンデュラス合衆国の機材でしょうか』
だとすれば、不自然だ。
エミドの技術を転用した罪で滅ぼされたというが、これらの機材にはエミドの技術が一切使われていない。
こちらが技術を解析できないほどの技術が何故、ここにある?
「いや、待て。アンデュラス合衆国には確か、研究機関があったな?」
『はい、アンドレアス研究機構ですね』
「そこの主任は、確か過去を洗えなかったはずだ」
『つまり....?』
アンデュラス合衆国は、一人の主任....恐らく異世界人だろう。
彼に導かれて、アンデュラス合衆国は技術を身に着けた。
だが、エミドはあくまで「技術を奪った」名目を撤回しなかった。
『修復、完了です!』
「そうか....それで、何の機械だった?」
それについて考えているうちに、数時間経ったようだ。
タッティラは機械を修復し終えていた。
いくつかがVe’zのテクノロジーに置き換えられたそれは、動力を伝達されたうえで待機状態へと移行していた。
僕はその機械について尋ね、彼女は――――
僕は、ケルビス達の艦隊の修理過程を見物に来ていた。
『あっ、エリアス様』
「タッティラ、修理状況は?」
『酷い、です! 装甲のコーティング剤が足りませんから、今取り寄せ中です!』
「成程」
ケルビス達は高熱かつ装甲に対してダメージが蓄積しやすい環境で戦闘していた。
それ故に、タッティラが生産ラインを使わず直接直していた。
『ケルビスさま達には、現在義体で生活してもらっています』
「だろうな」
旧艦体は爆散したうえ、新艦体は大ダメージを受けて修理中という訳か。
次の戦いの指揮官はメッティーラか。
『それにしても、何故わざわざここに?』
「タッティラ、休暇は不要か? あまり外に出ないとカサンドラが言っていたが」
今回の主目的はむしろそちらだ。
AI達の反乱を防止するために、僕は彼ら彼女らの”満足”を保証する義務がある。
『......お時間さえいただけるのであれば、私は....その、とある機械を修理したいのですが』
「....何だ?」
タッティラが許可を必要とするほどの機械.....そんなものがこのアロウトにあったか?
そもそも、シーシャと同じくデータベースに自由にアクセスできるタッティラが.....
『現在、資料室に保管されている.....BT-77211です』
「....成程、これか」
これもまた、異次元転換砲と同じく出所不明の技術だ。
資料室の一か所を占拠している巨大な機械で、故障しているようで動かないらしい。
一点ものだが、それが褒美になるのなら構わないか。
「資料室は転送装置で入れない、直接行くぞ」
『はい』
資料室はそれぞれ空間的に隔絶された場所であり、何かあった時に虚数空間に放り出せるように設計されているのだ。
僕とタッティラはその中の一室へと入った。
「これを直せるのか?」
『壊しても怒らないのであれば』
「ああ」
白い、機械だ。
スキャンには何も反応しない。
タッティラはリフトで天井から釣られたそれに上がり、内部の機構を調べ上げ始めた。
「わかるのか?」
『分かりませんが、データベースと相互参照しながらですね』
タッティラが蓋を剥がすと、どこかで見たマークが裏に描かれていた。
「これは.......もしかして、アンデュラス合衆国じゃないか?」
『....そのようですね、では...アンデュラス合衆国の機材でしょうか』
だとすれば、不自然だ。
エミドの技術を転用した罪で滅ぼされたというが、これらの機材にはエミドの技術が一切使われていない。
こちらが技術を解析できないほどの技術が何故、ここにある?
「いや、待て。アンデュラス合衆国には確か、研究機関があったな?」
『はい、アンドレアス研究機構ですね』
「そこの主任は、確か過去を洗えなかったはずだ」
『つまり....?』
アンデュラス合衆国は、一人の主任....恐らく異世界人だろう。
彼に導かれて、アンデュラス合衆国は技術を身に着けた。
だが、エミドはあくまで「技術を奪った」名目を撤回しなかった。
『修復、完了です!』
「そうか....それで、何の機械だった?」
それについて考えているうちに、数時間経ったようだ。
タッティラは機械を修復し終えていた。
いくつかがVe’zのテクノロジーに置き換えられたそれは、動力を伝達されたうえで待機状態へと移行していた。
僕はその機械について尋ね、彼女は――――
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