SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン8-エミド最終決戦編

167-変則戦術!

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『厄介ですね.....』
『ケイトリン、気負う必要はないよ、自然体で構えるんだ』
『....あなたに言われなくとも』

凄まじい荷電乱流の中で、ケルビスたちは薄金色のオーラを纏って戦っていた。
厳しい環境の中で、エミド側はそれに対策せずに戦闘を続行していた。

『この艦隊を突破さえすれば、私たちはあの基地を破壊する事が出来る』

基地は既に荒廃していた。
その様子を見たエリアスは、

『恐らく、基地は破壊されたが内部の電源は生きている。そして、エミド側の中央演算システムから分離された個体たちが、独自に活動しているのだろう』

と分析した。
だが、正確には星系内の指揮を行っているのは、第四十船団の旗艦である。
今までの例と異なり、どの船団長も一切通信を行わずに戦っていた。

『来るね!』
『ケルビス、お願いします』
『ああ』

ケルビスが触手でケイトリンと合体し、彼女の代わりに姿勢制御を行う。
ケイトリンの乗艦が白き翼を広げ、エミド艦隊に対してエナジーバニッシュフィールドを展開する。

『どれほど奪いますか?』
『奴らのシールドが維持できなくなればそれでいい』
『ええ』

エネルギーを消失させるフィールドを展開するエナジーバニッシュフィールドだが、次の瞬間――――――――

『なっ!?』
『回避されました、座標を再指定』
『ダメだ。奴らは回避に推力を使っていない、ランダムな流れに乗って回避している』

ケルビスは改めて、敵の変化に感心していた。

『それならば、貴方の方が適任なのでは?』
『無理だね、この激流の中で散布物は利用できない』

ケルビスの圧倒的な数のダウンレイを操作する性能は、この荒れ狂う空間ではまったく意味をなしていない。

『エリアス様、ラエリス艦隊を派遣していただけませんか?』
『待ってくれ、現在ワームホールの結節点に異常が出ている。異次元転換砲で再度回廊を開く』
『はっ』

増援は望めない。
そう確信を得たケルビスは、作戦指揮を行っているカサンドラに尋ねる。

『君の事だ、プランBを用意してるのだろう? プランBは?』
『ありませんよ、そんなもの.....しかしながら、エミド艦隊もそれなりに消耗しているはずです、こちら側に引き込んで、エナジーバニッシュフィールドを使うのはどうでしょう?』
『味方を巻き込むと?』
『その直後に、私がカイザーコマンドを使用すれば、エミド艦のみを沈黙させられます。その間に推力を切れば、押し流されたアサルトノクティラノス艦隊は離散、エミド艦隊の射程外に抜けられるのでは?』
『ふむ』

ケルビスは、笑った。
興味深いと。
そして、エリアスに判断を仰ぐ。

『直ぐに増援を送る、失敗を恐れずやって見ると良い』
『はっ』

ケルビスは、笑みを浮かべたまま、指令を下す。
陣形を崩し、敵艦隊を内部に引き込めと。
エミド艦隊は、圧力が減ったことで内側に入り込み、Ve’z艦をP.O.Dで攻撃していた。

『射程範囲内に入りました、エナジーバニッシュフィールド展開』
『全艦、機関を最大出力、推力切断せよ』

エネルギーを消失させる強力な波動がエミド艦隊を襲い、エミド艦隊はエネルギーを失って離散する。
それと同時に、カイザーコマンドがケイトリンから放たれて、エミド艦隊は電子システムに深刻な異常をきたす。

『貴様たちに、我が主に代わって天罰を下す――――さぁ、破壊せよ』

流されていたアサルトノクティラノス艦隊が、一斉に推力を最大へと変えて姿勢を維持。
シールドの消えたエミド艦隊にレーザーを叩きつけた。
穴だらけになったエミド艦隊は、荷電乱流の直撃を受けて崩壊、離散していった。

『さあ! 全艦、基地のシールドを破壊するんだ!』

ケルビスの指令を受け、Ve’z艦隊は再びオーラを纏って動き始めたのであった。
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