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シーズン8-エミド最終決戦編
165-兵士の生み出る地
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こうして僕たちは、ジガラスを攻略した。
ベクタトーヴァを攻略したことで、もうエミドは新たに艦船を作ることはできないという事になる。
これまでは殆ど数が減る事がなかったので、ベクタトーヴァを稼働させるだけで良かったのだろう。
しかし、その総数も今や大星國船団を含め一万以下まで減少した。
『では、次なる移動というわけですね』
「そうだ、ところで...」
僕は衣服を脱いで湯に浸かっているケルビスを見る。
「なぜお前が女湯にいる?」
『エリアス様、我々に性別をお求めでしょうか? お望みとあらば、女性型の義体を利用いたしますが』
「そういう訳ではない、だが...エリスの裸体を見られると思うと不快だな」
『ならば大丈夫でしょう、エリス様は本日、惑星フィオに視察に出掛けられていますから』
「フィオ...なるほど、ニト達と何かするのか」
まあいい、それなら話を戻すか。
「次に目指すのは「ルークゼスタ」だ」
『...成程、流石はエリアス様、敵の兵士工場を次に潰すとは、恐れ入ります』
「ん?」
兵士工場なんて記述があっただろうか?
そう思って調べてみると、見落としがあった。
基地から2万光年程離れた場所に、超大型の構造物が存在している。
その名は「アルバトーヴァ」。
他のワームホールから運び込んできた人間を、ここで手術して兵士に改造、培養倉庫で保管する。
「あ、ああ...ここを潰せば、残存している艦船に乗せる人員を減らせる...が、アルバトーヴァはベクタトーヴァと異なり、国内中に複数ある。あれが最大とはいえ、だ。作戦の優先度は低いと把握しろ」
『は』
僕は湯を掬う。
この場所は、前に使われていた男女共用の温泉施設ではない。
新たに発見した泉脈から湯を汲み上げて、再加熱した源泉かけ流しではないタイプの大浴場だ。
「..........古きを新しく、か」
『何か?』
「何でもない」
こちらで得た情報では、エミドは戦力の再拡充と編成を進めているらしい。
その理由は、データ不足でよく分からないが.....敗戦が原因だそうだ。
エミドほどの戦力を、一度は敗北してから一気に盛り返した。
これが起こったことで、ジェキドの心に「相手に合わせて対策する」という思考が生まれたのだと思う。
「次は何が起こるか分からない、それ故に用心しろ」
『はっ』
ケルビスは一礼すると、大浴場を出ていった。
僕と違って、男性型の彼の風呂上りは気楽なものだ。
数時間後、新型に乗り換えたケルビスはアサルトノクティラノスの艦隊を率いてアロウトから出撃していった。
後詰めに、ケイトリンとガーディアンノクティラノス、ラエリス=クイスティラスの母艦であるアータス=ノクティラノス艦隊も出撃する。
「..........」
「エリアス様」
出撃していくケイトリンの推進器を眺めていた僕は、背後から声を掛けられた。
誰がいるかは知っている。
「アディナ」
「エリアス様、以前のお願いですが....やはり、ありませんでした」
「そうか」
微風が吹いている。
アロウトの環境調整機能によるものだろう。
僕の長い髪が揺れて、アディナの顔がよく見えない。
「助けたい人間はいないんだな?」
「はい。ただ......それでも、ジェキド様だけは、対話をしてほしいと思うのです」
「奴がそれに応じるだろうか?」
「エミドが負けたと聞きました、私たちの戦いだけではなく、別の勢力にも。であれば....きっと、あの御方にも話す準備が出来ていると思います」
アディナに施した再教育が綻んでいるわけではない。
それは、彼女が忠誠を誓う相手を変えたとしても、なお残る慈悲だ。
ジェキド、もしお前が話し合いに応じるなら.....その時は。
『エリアス様、これより我々は移動を開始します』
「ああ」
ケイトリンの艦隊も、アロウトを離れ遥か彼方へとワープインしていった。
ベクタトーヴァを攻略したことで、もうエミドは新たに艦船を作ることはできないという事になる。
これまでは殆ど数が減る事がなかったので、ベクタトーヴァを稼働させるだけで良かったのだろう。
しかし、その総数も今や大星國船団を含め一万以下まで減少した。
『では、次なる移動というわけですね』
「そうだ、ところで...」
僕は衣服を脱いで湯に浸かっているケルビスを見る。
「なぜお前が女湯にいる?」
『エリアス様、我々に性別をお求めでしょうか? お望みとあらば、女性型の義体を利用いたしますが』
「そういう訳ではない、だが...エリスの裸体を見られると思うと不快だな」
『ならば大丈夫でしょう、エリス様は本日、惑星フィオに視察に出掛けられていますから』
「フィオ...なるほど、ニト達と何かするのか」
まあいい、それなら話を戻すか。
「次に目指すのは「ルークゼスタ」だ」
『...成程、流石はエリアス様、敵の兵士工場を次に潰すとは、恐れ入ります』
「ん?」
兵士工場なんて記述があっただろうか?
そう思って調べてみると、見落としがあった。
基地から2万光年程離れた場所に、超大型の構造物が存在している。
その名は「アルバトーヴァ」。
他のワームホールから運び込んできた人間を、ここで手術して兵士に改造、培養倉庫で保管する。
「あ、ああ...ここを潰せば、残存している艦船に乗せる人員を減らせる...が、アルバトーヴァはベクタトーヴァと異なり、国内中に複数ある。あれが最大とはいえ、だ。作戦の優先度は低いと把握しろ」
『は』
僕は湯を掬う。
この場所は、前に使われていた男女共用の温泉施設ではない。
新たに発見した泉脈から湯を汲み上げて、再加熱した源泉かけ流しではないタイプの大浴場だ。
「..........古きを新しく、か」
『何か?』
「何でもない」
こちらで得た情報では、エミドは戦力の再拡充と編成を進めているらしい。
その理由は、データ不足でよく分からないが.....敗戦が原因だそうだ。
エミドほどの戦力を、一度は敗北してから一気に盛り返した。
これが起こったことで、ジェキドの心に「相手に合わせて対策する」という思考が生まれたのだと思う。
「次は何が起こるか分からない、それ故に用心しろ」
『はっ』
ケルビスは一礼すると、大浴場を出ていった。
僕と違って、男性型の彼の風呂上りは気楽なものだ。
数時間後、新型に乗り換えたケルビスはアサルトノクティラノスの艦隊を率いてアロウトから出撃していった。
後詰めに、ケイトリンとガーディアンノクティラノス、ラエリス=クイスティラスの母艦であるアータス=ノクティラノス艦隊も出撃する。
「..........」
「エリアス様」
出撃していくケイトリンの推進器を眺めていた僕は、背後から声を掛けられた。
誰がいるかは知っている。
「アディナ」
「エリアス様、以前のお願いですが....やはり、ありませんでした」
「そうか」
微風が吹いている。
アロウトの環境調整機能によるものだろう。
僕の長い髪が揺れて、アディナの顔がよく見えない。
「助けたい人間はいないんだな?」
「はい。ただ......それでも、ジェキド様だけは、対話をしてほしいと思うのです」
「奴がそれに応じるだろうか?」
「エミドが負けたと聞きました、私たちの戦いだけではなく、別の勢力にも。であれば....きっと、あの御方にも話す準備が出来ていると思います」
アディナに施した再教育が綻んでいるわけではない。
それは、彼女が忠誠を誓う相手を変えたとしても、なお残る慈悲だ。
ジェキド、もしお前が話し合いに応じるなら.....その時は。
『エリアス様、これより我々は移動を開始します』
「ああ」
ケイトリンの艦隊も、アロウトを離れ遥か彼方へとワープインしていった。
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