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シーズン7-TRINITY.侵略編
160-エミドとの決戦
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その日、世界は変わった。
TRINITY.は、その百五十年の歴史に幕を閉じ、残存艦隊は宇宙の隅々に散って消えた。
世界を維持していた秩序は完全に崩壊し、世界は再び戦乱と混沌の暗闇に包まれることとなる。
世界中で戦争が巻き起こり、それによって家族を殺された者が憎悪の連鎖を再び重ねる。
そうすることで、小競り合いは戦争へ、戦争は終わりなき殺し合いへと変わっていく。
そして、一番大きいのはカルメナスの暴虐であった。
彼等はジャッドーを滅ぼしたあとその勢力をそのまま飲み込み、Ve‘zとの同盟を利用して略奪、殺戮、違法な取引を拡大し続けている。
「望んだわけでは無いんだが」
降りかかる火の粉を払っていたら、世界が滅びかけていた。
だが、気にする事はない。
TRINITY.は既におらず、他の国家もこの件でVe’zの怒りを買うということがどういうことか理解しただろう。
となれば、残るは...
「どうしたの、エリアス?」
「...いや、なんでもない。少し考え事をしていただけだ」
僕は休暇中のエリスの元を訪れていた。
隠していたニトの事を伝えるためである。
「それで、言いたいことがあるのだが...いいか?」
「アルクレイスさんの事なら、大丈夫よ。特に敵意も無いみたいだし」
僕は周囲を見る。
丁寧に整えられた室内には、エリスの他に三人いる。
アディナ、サーシャ、アルクレイスの三人だ。
アディナは元エミド人、サーシャはヴァンデッタ帝国の生き残り、アルクレイスはTRINITY.の裏切り者と錚々たる面子である。
「違う...実は......僕には隠し子がいるんだ」
「えっ!?」
エリスがティーカップを取り下とす。
幸い中身は空であった。
「だ、誰との!?」
「誰のでも無い。正確には、一人の少女とそのクローン体たちだ」
「ああ、びっくりした...でも、認知しちゃったの?」
「そうなるな...」
「...」
これは...どうなる!?
僕が緊張していると、彼女は笑って言った。
「よかったじゃない」
「...よかった?」
「その、エリアスと私の間には子供ができないし...だって、女の子同士でしょう?」
「そう、だが」
僕のこの体の性別は中性に近いが、ベースは女性である。
遺伝子的にエリスとの交配は異常な子供を産む確率の方が高くなる。
「だから、養子でも子供がいるのはいい事じゃないかしら?」
「そうなるのか...?」
よく分からない。
よく分からないが、許されたという事だろう。
「お姉様、妹が増えるんですか?」
「そうよ」
その時、サーシャが駆け寄ってくる。
彼女は元々大人で、精神を病んであんな風になってしまったのだが...せめて彼女が元に戻った時苦悩しないよう、僕が幼女の体に作り変えた。
姿相応の振る舞いであれば、彼女も困らないだろう。
しかし、用があるのは彼女ではない。
「...アディナ」
「何でしょうか」
「エミド内部の状況を教えて欲しい」
「何故でしょうか?」
僕は、ここ最近ずっと考えていた結論を口に出す。
「エミドを、滅ぼすためだ」
こうして、Ve’zとエミドの戦いは最終決戦へと移行することとなる。
世界が混乱する中、その裏側でまた一つ戦いが起きようとしていた。
TRINITY.は、その百五十年の歴史に幕を閉じ、残存艦隊は宇宙の隅々に散って消えた。
世界を維持していた秩序は完全に崩壊し、世界は再び戦乱と混沌の暗闇に包まれることとなる。
世界中で戦争が巻き起こり、それによって家族を殺された者が憎悪の連鎖を再び重ねる。
そうすることで、小競り合いは戦争へ、戦争は終わりなき殺し合いへと変わっていく。
そして、一番大きいのはカルメナスの暴虐であった。
彼等はジャッドーを滅ぼしたあとその勢力をそのまま飲み込み、Ve‘zとの同盟を利用して略奪、殺戮、違法な取引を拡大し続けている。
「望んだわけでは無いんだが」
降りかかる火の粉を払っていたら、世界が滅びかけていた。
だが、気にする事はない。
TRINITY.は既におらず、他の国家もこの件でVe’zの怒りを買うということがどういうことか理解しただろう。
となれば、残るは...
「どうしたの、エリアス?」
「...いや、なんでもない。少し考え事をしていただけだ」
僕は休暇中のエリスの元を訪れていた。
隠していたニトの事を伝えるためである。
「それで、言いたいことがあるのだが...いいか?」
「アルクレイスさんの事なら、大丈夫よ。特に敵意も無いみたいだし」
僕は周囲を見る。
丁寧に整えられた室内には、エリスの他に三人いる。
アディナ、サーシャ、アルクレイスの三人だ。
アディナは元エミド人、サーシャはヴァンデッタ帝国の生き残り、アルクレイスはTRINITY.の裏切り者と錚々たる面子である。
「違う...実は......僕には隠し子がいるんだ」
「えっ!?」
エリスがティーカップを取り下とす。
幸い中身は空であった。
「だ、誰との!?」
「誰のでも無い。正確には、一人の少女とそのクローン体たちだ」
「ああ、びっくりした...でも、認知しちゃったの?」
「そうなるな...」
「...」
これは...どうなる!?
僕が緊張していると、彼女は笑って言った。
「よかったじゃない」
「...よかった?」
「その、エリアスと私の間には子供ができないし...だって、女の子同士でしょう?」
「そう、だが」
僕のこの体の性別は中性に近いが、ベースは女性である。
遺伝子的にエリスとの交配は異常な子供を産む確率の方が高くなる。
「だから、養子でも子供がいるのはいい事じゃないかしら?」
「そうなるのか...?」
よく分からない。
よく分からないが、許されたという事だろう。
「お姉様、妹が増えるんですか?」
「そうよ」
その時、サーシャが駆け寄ってくる。
彼女は元々大人で、精神を病んであんな風になってしまったのだが...せめて彼女が元に戻った時苦悩しないよう、僕が幼女の体に作り変えた。
姿相応の振る舞いであれば、彼女も困らないだろう。
しかし、用があるのは彼女ではない。
「...アディナ」
「何でしょうか」
「エミド内部の状況を教えて欲しい」
「何故でしょうか?」
僕は、ここ最近ずっと考えていた結論を口に出す。
「エミドを、滅ぼすためだ」
こうして、Ve’zとエミドの戦いは最終決戦へと移行することとなる。
世界が混乱する中、その裏側でまた一つ戦いが起きようとしていた。
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