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シーズン7-TRINITY.侵略編
157-ならず者たちの大暴れ
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ヘルティエット王国、ジャーク星系。
内戦と対外戦争の続くヘルティエット王国でも、この場所は辺境の為に安全とされていた。
しかし。
『――――こちら、パルテットゲート! ゲートの起動を確認! ジャンプ管制システムの起動ログから、推定ジャンプ数は3000! 襲撃です!』
その平穏を乱す者たちが現れた。
ジャンプゲートより唐突に出現したのは、大小様々な形状の艦船。
それら全てが、同じ紋章を装甲部分に塗装している。
その紋章の意味するところは――――カルメナス。
『アルダネイト様が略奪を許可したんだ、野郎共! 思いっきりやっちまえ!』
『了解! 各自解散でいいんだよな!?』
『ああ! 俺たち本隊は星系軍を抑える! お前らは輸送艦隊をやれ!』
カルメナス艦隊から半数が離脱し、星系の各地へ散っていく。
そして本隊はゲート前で待機し、星系軍を引き付ける。
『海賊如きが、数を揃えたところで勝てると思うな! 即刻退け!』
星系軍が集結を終え、ゲート前へとワープしてくる。
それを見たカルメナス艦隊指揮官・エルジェイドは嗤う。
「やっと来たじゃねぇか」
「へへ、親分....」
「略奪はもちろん許可する。やつらの中には女もいるだろうし、酒も期待できる。――――さぁ、仕事の時間だ!」
カルメナスの特徴が今、牙を剥こうとしていた。
それは、圧倒的な制圧力と、統率力。
ハンター、ディフェンダー、サポートと呼称される彼等の戦い方は、四隻単位でスクアッドを組み、ハンターであれば攻撃目標の選定、ディフェンダーであれば旗艦の防衛、サポートであれば防衛の突破を役割とする。
それぞれのスクアッドリーダーは、撃墜されたとしてもすぐに別の艦に移り、サポートから抜けた艦が合流する。
絶対的な指揮系統を維持しようとする一般的な組織では到底不可能な戦い方である。
『追い込め! 奴らは所詮一人では何も出来ねぇ!』
『おらぁ、死んじまえ!』
星系軍は統率されている、しかしながら、強い個人個人相手ではその統率力は役に立たない。
徹底した教育の末に、彼らが得たものは、個々の判断では動けぬ艦隊。
図らずとも、かつてヘルティエット王国が失敗したドローン艦隊の再現であった。
『良かったのですか? アルダネイト様』
『良いだろ? 何を言われようとこっちにはVe’zが付いてるんだからよ....それにな』
そして、その光景を見ている者たちが話し合う。
『こっちはジャッドーとコトを構えてんだ、補給くらいはさせてもらわねえとな』
『悪ですね』
『何を今更』
星系軍はそう時間を置かずに崩壊、旗艦は敗走することとなった。
守るものを失ったジャーク星系は、あっという間に略奪と殺戮に晒され――――
人間は拉致され奴隷に、物資は奪われ持ち去られ、都市という都市は全て焼き尽くされた。
『俺たちは長らく、国家相手に派手に海賊行為が出来なかったからな。ようやっと、海賊らしい事が出来る。....まぁ、私掠免許状ってやつだ』
『古典の授業で習いましたね』
『....お前、高等教育受けてなんで海賊なんかやってんだ』
『アンデュラスの生まれなんですよ、私は』
『ああ.....成程な』
アルダネイトとその副官、ドルトンとの会話は続く。
『とにかく、ヘルティエット王国がキレても、俺たちは既にVe’zとの同盟を発表している。下手に報復は出来ねぇ』
『しかし、いいのですか? ヘルティエット王国の上層部に渡した賄賂は....』
『関係ねぇよ、奴らから略奪を繰り返せば回収しなくてもな』
こうして、Ve’zに従う猟犬となったカルメナスだが。
選ばれたならず者――――Cull-Menaceの名の通り、彼らは浅はかなVe’z等よりよっぽどあくどい者たちである。
Ve’zの下についたとしても、彼らの仕事は変わらない。
奪い、殺し――――そして時には手を引く。
それが彼らの社会であった。
内戦と対外戦争の続くヘルティエット王国でも、この場所は辺境の為に安全とされていた。
しかし。
『――――こちら、パルテットゲート! ゲートの起動を確認! ジャンプ管制システムの起動ログから、推定ジャンプ数は3000! 襲撃です!』
その平穏を乱す者たちが現れた。
ジャンプゲートより唐突に出現したのは、大小様々な形状の艦船。
それら全てが、同じ紋章を装甲部分に塗装している。
その紋章の意味するところは――――カルメナス。
『アルダネイト様が略奪を許可したんだ、野郎共! 思いっきりやっちまえ!』
『了解! 各自解散でいいんだよな!?』
『ああ! 俺たち本隊は星系軍を抑える! お前らは輸送艦隊をやれ!』
カルメナス艦隊から半数が離脱し、星系の各地へ散っていく。
そして本隊はゲート前で待機し、星系軍を引き付ける。
『海賊如きが、数を揃えたところで勝てると思うな! 即刻退け!』
星系軍が集結を終え、ゲート前へとワープしてくる。
それを見たカルメナス艦隊指揮官・エルジェイドは嗤う。
「やっと来たじゃねぇか」
「へへ、親分....」
「略奪はもちろん許可する。やつらの中には女もいるだろうし、酒も期待できる。――――さぁ、仕事の時間だ!」
カルメナスの特徴が今、牙を剥こうとしていた。
それは、圧倒的な制圧力と、統率力。
ハンター、ディフェンダー、サポートと呼称される彼等の戦い方は、四隻単位でスクアッドを組み、ハンターであれば攻撃目標の選定、ディフェンダーであれば旗艦の防衛、サポートであれば防衛の突破を役割とする。
それぞれのスクアッドリーダーは、撃墜されたとしてもすぐに別の艦に移り、サポートから抜けた艦が合流する。
絶対的な指揮系統を維持しようとする一般的な組織では到底不可能な戦い方である。
『追い込め! 奴らは所詮一人では何も出来ねぇ!』
『おらぁ、死んじまえ!』
星系軍は統率されている、しかしながら、強い個人個人相手ではその統率力は役に立たない。
徹底した教育の末に、彼らが得たものは、個々の判断では動けぬ艦隊。
図らずとも、かつてヘルティエット王国が失敗したドローン艦隊の再現であった。
『良かったのですか? アルダネイト様』
『良いだろ? 何を言われようとこっちにはVe’zが付いてるんだからよ....それにな』
そして、その光景を見ている者たちが話し合う。
『こっちはジャッドーとコトを構えてんだ、補給くらいはさせてもらわねえとな』
『悪ですね』
『何を今更』
星系軍はそう時間を置かずに崩壊、旗艦は敗走することとなった。
守るものを失ったジャーク星系は、あっという間に略奪と殺戮に晒され――――
人間は拉致され奴隷に、物資は奪われ持ち去られ、都市という都市は全て焼き尽くされた。
『俺たちは長らく、国家相手に派手に海賊行為が出来なかったからな。ようやっと、海賊らしい事が出来る。....まぁ、私掠免許状ってやつだ』
『古典の授業で習いましたね』
『....お前、高等教育受けてなんで海賊なんかやってんだ』
『アンデュラスの生まれなんですよ、私は』
『ああ.....成程な』
アルダネイトとその副官、ドルトンとの会話は続く。
『とにかく、ヘルティエット王国がキレても、俺たちは既にVe’zとの同盟を発表している。下手に報復は出来ねぇ』
『しかし、いいのですか? ヘルティエット王国の上層部に渡した賄賂は....』
『関係ねぇよ、奴らから略奪を繰り返せば回収しなくてもな』
こうして、Ve’zに従う猟犬となったカルメナスだが。
選ばれたならず者――――Cull-Menaceの名の通り、彼らは浅はかなVe’z等よりよっぽどあくどい者たちである。
Ve’zの下についたとしても、彼らの仕事は変わらない。
奪い、殺し――――そして時には手を引く。
それが彼らの社会であった。
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