SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
149 / 200
シーズン7-TRINITY.侵略編

149-殲滅の余興

しおりを挟む
「つまらないな」

僕は呟く。
その声に反応して、カサンドラが血相を変える。

『え、エリアス様! 何か不都合がございましたか!?』
「いや.......」

見世物だとしても、これは三流だ。
だって、

「TRINITY.側が弱すぎる。彼らはエミドから回収した超兵器を持っている筈」

何故使わない?
防衛艦隊には、TRINITY.側が本来持つ強力なレーザー兵器が積まれていない。
各地に存在する警察の乗っている艦には標準搭載されているはずだ。
まあ、あったところでこちら側のシールドは常にアップデートされている。
旧型の兵器が通じる筈もないが、しかし少しなら余興にもなり得る。
このままでは、メッティーラが可哀想だ。

『通常戦力は奥地に隠しているのでは?』
「なら、吐き出させるか?」
『いえ、面白い余興を用意しております』
「?」

また僕の知らないことをしている。
そう思っていると、目の前にモニターが展開された。

『充填率:98.88%』
「これは?」
『お楽しみまでの時間です』
「.....」

Ve’zの超越したエネルギー技術を以てしても、充填に時間を要する何か....?
また、宝物殿にある兵器を持ち出したのか?

「........また、エリスに怒られるだろうか」
『全力で秘匿いたします。現在エリス様には、アガンジャⅢに観光に行ってもらっておりますから』

アガンジャとは、Ve’zの星系の一つだ。
太陽系に比較的近い環境だったか?

『充填率:100%』
「では、始めようか」

僕はさっと立ち上がる。
そして、なるべく優雅に、命じる。

「やれ」
『イエス。』






その瞬間。
マスタリオン星系は、過去類を見ない最悪の災害に襲われた。
時間と空間の概念が、星系の中央から巻き起こった巨大な重力崩壊に巻き込まれて一時的に消滅したのだ。
ねじ切られた空間を、時間の連続体を維持する世界という名の歯車は、無理やりに修復させようとする。
だが、

『成程、こういう事か』

時の歯車が動き出すその数刻の間に、エリガードと繋がったエリアスはシステムを操作する。
世界は、フィルムの一枚を引き抜かれると、その前後を見て修復を開始する。
だが――――その前後のフィルムを書き換えれば?

『余興、ではないが』

時間という歯車は動き出し、
空間は何事もなかったかのように元へと戻る。
しかし。
TRINITY.が撃っていたはずのレーザーは、発射源を失って消滅した。
アサルトノクティラノスが、さっきまで存在していたはずの対象を失い、困惑を露にした。

『え、エリアス様....!? こ、これは?!』
『心配ない、カサンドラの用意した仕掛けだ』
『さ、流石はエリアス様....!』

エリガードとの接続を切ったエリアスは、少し考えたのち。

「よし、封印しよう。手に負えない」

と、呟いたのだった。
マスタリオン星系は、TRINITY.が掌握していたという既成事実が完全に消滅したことで、攻略という事に至った。
また、この事態を引き起こした装置は、エリアスの手によって量子の海に叩き落されたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

処理中です...