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シーズン7-TRINITY.侵略編
148-マスタリオン制圧戦
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四日後。
マスタリオン星系は物々しい雰囲気に包まれていた。
TRINITY.領有星系群「ヤルヴェナ」の玄関口とも言えるこの星系は、当然ながらアルギゴイネンとも繋がっている。
そして、占領され停止されていたゲートが数時間前、急に起動したのである。
それ即ち、そこから侵攻してくるという証。
しかし――――――
『やはり愚かな点だけは、評価できます、簡単に引っかかってくれますから』
TRINITY.は、最初にVe’zがどうやってやって来たのかを考えもしなかった。
素直に、彼らがゲートを通ってくると思い込んでいたのである。
「...........!? なんだ?!」
TRINITY.総指揮は、突然の衝撃に顔を上げた。
背後に唐突に出現した、ラエリス=クイスティラス艦隊前衛のアサルトノクティラノスによる威嚇射撃である。
『敵襲!』
「チェック! 旗艦の背面に敵が展開している、主力艦は動かず、第一、第二分隊は前衛から離脱! Ve’zの迎撃に回れ!」
主翼に展開していた二つの艦隊がゲート側から離れ、それぞれ弧を描いてアサルトノクティラノスの眼前に躍り出る。
『殲滅せよ』
メッティーラの指令を受け、アサルトノクティラノスがTRINITY.艦隊をものの数秒で料理する。
何千もの命が、数発の閃光によって失われるが、指揮官はそれを軽微な損害だと判断した。
「撃て! 砲撃を集中させるんだ!」
指揮官は叫ぶが、数十の砲撃程度ではアサルトノクティラノスのシールドを破ることはできない。
その表面で、ぬるりと受け流されて別の方向へ飛んでいく。
逆に、アサルトノクティラノスの砲撃は、TRINITY.のシールド――――――
世界で最大の硬度を誇る、SERENITY.Ⅱ型共振晶石シールドを容易に貫通し、その装甲板を瞬時に貫通、内部機構を0.1秒以内に完全に焼き切り、装甲とシールドを貫通して反対側へ。
そして、切断面が輝きを放った直後、装甲板が蒸発、流体エネルギーと結合して誘爆する。
「ミサイル攻撃に切り替えろ! 水雷撃戦用意!」
『水雷撃戦用意!』
前衛艦隊は攻撃手段をミサイルに切り替える。
対遺物作戦に特化した特殊弾頭であり、反物質を微量含む鉄鋼弾頭によりシールドを中和させながら貫通、起爆するものだ。
事実TRINITY.は、先のスリーパードローンによるジスト星系包囲戦においてこの弾頭で”自分たちだけの安全”を確保することに成功しており、有効打にはなりうるのだ。
――――破壊できればの話だが。
『雷撃命中!』
「やったか!?」
指揮官は感情を露にするが、爆炎から飛び出したアサルトノクティラノスは多少損傷しているだけだった。
その損傷も、一瞬で修復される。
直ぐにシールドが復活し、その周囲にいたアサルトノクティラノスが、残党を即座に処理する。
「く.......だが、囲めばいい!」
『指揮官! 側面から敵の本体が急速接近!』
「なに!?」
完全に意識外にいた、ラエリス艦隊がTRINITY.の側面に回り込む。
そして、突撃を開始した。
シールドを展開してレーザー砲撃を受け流し、その剣のような衝角で直接艦の装甲板に割り込み、エミドの使うP.O.Dと同じ原理で装甲を脆弱化、艦体を貫通して離脱する。
『い、嫌だぁ、うわぁあ――――――』
『総員、総員離脱! 退艦するんだっ、今す――――』
大爆発が巻き起こり、旗艦のブリッジに悲鳴のような通信が入り、直ぐに途絶する。
指揮官は沈黙していたが、直ぐに目を開ける。
「陣形を変更する! 第三、第四分隊を中央へ! 攻撃されている第七艦隊は散開! 敵の吶喊兵器の被害を減らしつつ撃墜せよ!」
そして、TRINITY.艦隊は動きを変える。
少しでも敵を減らすために。
しかし。
全ては無駄な事だ。
『充填率:81%』
星系のどこかで、そんな声が響いた。
マスタリオン星系は物々しい雰囲気に包まれていた。
TRINITY.領有星系群「ヤルヴェナ」の玄関口とも言えるこの星系は、当然ながらアルギゴイネンとも繋がっている。
そして、占領され停止されていたゲートが数時間前、急に起動したのである。
それ即ち、そこから侵攻してくるという証。
しかし――――――
『やはり愚かな点だけは、評価できます、簡単に引っかかってくれますから』
TRINITY.は、最初にVe’zがどうやってやって来たのかを考えもしなかった。
素直に、彼らがゲートを通ってくると思い込んでいたのである。
「...........!? なんだ?!」
TRINITY.総指揮は、突然の衝撃に顔を上げた。
背後に唐突に出現した、ラエリス=クイスティラス艦隊前衛のアサルトノクティラノスによる威嚇射撃である。
『敵襲!』
「チェック! 旗艦の背面に敵が展開している、主力艦は動かず、第一、第二分隊は前衛から離脱! Ve’zの迎撃に回れ!」
主翼に展開していた二つの艦隊がゲート側から離れ、それぞれ弧を描いてアサルトノクティラノスの眼前に躍り出る。
『殲滅せよ』
メッティーラの指令を受け、アサルトノクティラノスがTRINITY.艦隊をものの数秒で料理する。
何千もの命が、数発の閃光によって失われるが、指揮官はそれを軽微な損害だと判断した。
「撃て! 砲撃を集中させるんだ!」
指揮官は叫ぶが、数十の砲撃程度ではアサルトノクティラノスのシールドを破ることはできない。
その表面で、ぬるりと受け流されて別の方向へ飛んでいく。
逆に、アサルトノクティラノスの砲撃は、TRINITY.のシールド――――――
世界で最大の硬度を誇る、SERENITY.Ⅱ型共振晶石シールドを容易に貫通し、その装甲板を瞬時に貫通、内部機構を0.1秒以内に完全に焼き切り、装甲とシールドを貫通して反対側へ。
そして、切断面が輝きを放った直後、装甲板が蒸発、流体エネルギーと結合して誘爆する。
「ミサイル攻撃に切り替えろ! 水雷撃戦用意!」
『水雷撃戦用意!』
前衛艦隊は攻撃手段をミサイルに切り替える。
対遺物作戦に特化した特殊弾頭であり、反物質を微量含む鉄鋼弾頭によりシールドを中和させながら貫通、起爆するものだ。
事実TRINITY.は、先のスリーパードローンによるジスト星系包囲戦においてこの弾頭で”自分たちだけの安全”を確保することに成功しており、有効打にはなりうるのだ。
――――破壊できればの話だが。
『雷撃命中!』
「やったか!?」
指揮官は感情を露にするが、爆炎から飛び出したアサルトノクティラノスは多少損傷しているだけだった。
その損傷も、一瞬で修復される。
直ぐにシールドが復活し、その周囲にいたアサルトノクティラノスが、残党を即座に処理する。
「く.......だが、囲めばいい!」
『指揮官! 側面から敵の本体が急速接近!』
「なに!?」
完全に意識外にいた、ラエリス艦隊がTRINITY.の側面に回り込む。
そして、突撃を開始した。
シールドを展開してレーザー砲撃を受け流し、その剣のような衝角で直接艦の装甲板に割り込み、エミドの使うP.O.Dと同じ原理で装甲を脆弱化、艦体を貫通して離脱する。
『い、嫌だぁ、うわぁあ――――――』
『総員、総員離脱! 退艦するんだっ、今す――――』
大爆発が巻き起こり、旗艦のブリッジに悲鳴のような通信が入り、直ぐに途絶する。
指揮官は沈黙していたが、直ぐに目を開ける。
「陣形を変更する! 第三、第四分隊を中央へ! 攻撃されている第七艦隊は散開! 敵の吶喊兵器の被害を減らしつつ撃墜せよ!」
そして、TRINITY.艦隊は動きを変える。
少しでも敵を減らすために。
しかし。
全ては無駄な事だ。
『充填率:81%』
星系のどこかで、そんな声が響いた。
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