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シーズン7-TRINITY.侵略編
147-蠢く策謀
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とある日の昼下がり。
農業惑星は冬を迎えており、ケルビスは温室で作業をしていた。
「.......」
納品分の果物の状態チェックを終えたケルビスは、農園を後にした。
冷たい風が、温室の中で暖められた肌から熱を奪うが、ケルビスには関係のないことだ。
「時が.....満ちた!」
ケルビスは一瞬で体内の熱を排出する。
一瞬だけ周囲の空気が熱で歪み、ケルビスは熱の層から抜け出すように数歩歩き、テレポートした。
「準備は出来ていますか?」
「勿論です、しかし......エリアス様の御許可は?」
「不要です、これはエリアス様のご意向なのですよ」
ケルビスは、その艦船群を見る。
各国家の艦船のデザインを組み合わせ、出来る限りVe’zの効率的なデザインから遠ざけたものである。
兵器も、Ve’z基準の強力なものではなく、各国家のエリート艦船よりは強い程度のものだ。
「では、向かいましょうか」
それらの艦船......デスペラードノクティラノスを率いたケルビスは、すぐさまとある星系に向けワームホールを用いた移動を行う。
これを行ったのはケルビスの本体によるものであり、ケルビスの乗艦自体には何ら特殊な機構はない。
『星系内スキャンを開始』
ケルビスはカイートと呼称される星系に出現し、星系内スキャンを開始する。
そして、即座に”敵”を発見し、ワープを開始する。
『て、敵襲!』
『制圧しなさい』
通信を聞きつつ、ケルビスはノクティラノス達に命じる。
そこは海賊の拠点であり、そこにいた者たちが一斉にケルビスの率いる艦隊に襲い掛かり。
そして、蹂躙された。
しかし。
ケルビスは制圧せよと命じ、ノクティラノスは海賊たちを殺さずに仕留める。
『あなた達は、生きたくはありませんか?』
『な、なめんじゃねえ!』
『そうですか』
ケルビスは無言で海賊艦の一隻を破壊した。
それは、中央の機関を真っすぐに貫かれ、プラズマ化した表面の爆発とリークされたエネルギーが結びついて大爆発を引き起こす。
『あ、アルイン! くそっ!』
『あなた達はこうはなりたくないでしょう?』
『......そ、そうだが』
『でしたら、我々に従いませんか?』
『........何が目的だ』
その言葉に、ケルビスは不気味な笑みを浮かべた。
『我々は”ジャッドー”。海賊同盟カルメナスに対し、攻撃を仕掛ける者ですよ』
こうして、ケルビス達はカルメナス所属、もしくは無所属の海賊たちを率いて勢力を拡大させていく。
ひとえに力で従わせ、金をばら撒くことで忠誠心を買い、偽りの優しさで労う事で、偽りだったジャッドーの名は、本物のジャッドーへと変わっていく。
その名がカルメナスの暗部組織『シャドウカルメナス』に届くのも、そう遠い日の話ではなかった。
農業惑星は冬を迎えており、ケルビスは温室で作業をしていた。
「.......」
納品分の果物の状態チェックを終えたケルビスは、農園を後にした。
冷たい風が、温室の中で暖められた肌から熱を奪うが、ケルビスには関係のないことだ。
「時が.....満ちた!」
ケルビスは一瞬で体内の熱を排出する。
一瞬だけ周囲の空気が熱で歪み、ケルビスは熱の層から抜け出すように数歩歩き、テレポートした。
「準備は出来ていますか?」
「勿論です、しかし......エリアス様の御許可は?」
「不要です、これはエリアス様のご意向なのですよ」
ケルビスは、その艦船群を見る。
各国家の艦船のデザインを組み合わせ、出来る限りVe’zの効率的なデザインから遠ざけたものである。
兵器も、Ve’z基準の強力なものではなく、各国家のエリート艦船よりは強い程度のものだ。
「では、向かいましょうか」
それらの艦船......デスペラードノクティラノスを率いたケルビスは、すぐさまとある星系に向けワームホールを用いた移動を行う。
これを行ったのはケルビスの本体によるものであり、ケルビスの乗艦自体には何ら特殊な機構はない。
『星系内スキャンを開始』
ケルビスはカイートと呼称される星系に出現し、星系内スキャンを開始する。
そして、即座に”敵”を発見し、ワープを開始する。
『て、敵襲!』
『制圧しなさい』
通信を聞きつつ、ケルビスはノクティラノス達に命じる。
そこは海賊の拠点であり、そこにいた者たちが一斉にケルビスの率いる艦隊に襲い掛かり。
そして、蹂躙された。
しかし。
ケルビスは制圧せよと命じ、ノクティラノスは海賊たちを殺さずに仕留める。
『あなた達は、生きたくはありませんか?』
『な、なめんじゃねえ!』
『そうですか』
ケルビスは無言で海賊艦の一隻を破壊した。
それは、中央の機関を真っすぐに貫かれ、プラズマ化した表面の爆発とリークされたエネルギーが結びついて大爆発を引き起こす。
『あ、アルイン! くそっ!』
『あなた達はこうはなりたくないでしょう?』
『......そ、そうだが』
『でしたら、我々に従いませんか?』
『........何が目的だ』
その言葉に、ケルビスは不気味な笑みを浮かべた。
『我々は”ジャッドー”。海賊同盟カルメナスに対し、攻撃を仕掛ける者ですよ』
こうして、ケルビス達はカルメナス所属、もしくは無所属の海賊たちを率いて勢力を拡大させていく。
ひとえに力で従わせ、金をばら撒くことで忠誠心を買い、偽りの優しさで労う事で、偽りだったジャッドーの名は、本物のジャッドーへと変わっていく。
その名がカルメナスの暗部組織『シャドウカルメナス』に届くのも、そう遠い日の話ではなかった。
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