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シーズン7-TRINITY.侵略編
144-破られた平和
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アルギゴイネン。
それは、この広い宇宙において、最も安全な宙域である。
しかし――――その永劫なる平和は、この日破られることとなる。
『管制塔! 管制塔! 未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔! 市街地が襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔――――ぐわああっ!!』
『未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔! 襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔! こちら第八十七派出所!未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔、未知の勢力が――――』
一瞬で管制塔の処理能力を超えた通信が舞い込み、ローカル通信はあっという間に阿鼻叫喚の嵐となる。
『撃て! 生きたければ撃て!』
『ダメです、ぐわ――――』
あのVe’zが。
仕掛けなければ、反撃することのなかったVe’zが。
明確にTRINITY.に対して牙を剥いたのだ。
惑星は流星と見まがうレーザー砲撃で爆撃され、軌道上にあるものすべてが粉々に破壊された。
『撃て、ハルバラージ!』
主力艦ハルバラージが、接近してくるグラディエーターノクティラノスに対して攻撃を加えるが、近接型の超兵器を浴びながら轟沈する。
『主力艦が......』
『落ち着け、後退するのだ! ヤルヴェナに撤退を!』
逃げていく艦隊を前に、それを指揮するケルビスは嗤う。
『させるはずがないでしょう?』
ドミネーターノクティラノスによる射撃が、TRINITY.艦隊を一瞬にして灰燼へと変える。
その背景では、アドラスによる惑星の重力崩壊が引き起こされていた。
惑星は重力という枷を失い、その大地が剥がれ落ちバラバラになって四散していく。
これと同じ光景が、全ての惑星で行われていた。
『ところで、エリアス様』
『どうした?』
そして。
それだけの暴虐を行えば、当然もう一つの勢力を刺激することになる。
『エミド艦隊を確認しております』
『適当に排除しろ』
エミド側も、未知なる勢力の反抗作戦でそれどころではないのだが――――しかし、不文律に反する者たちを見過ごすわけにはいかない。
そして、エミド艦隊は当然のごとくドミネーターノクティラノスに襲い掛かり――――船団所属でもない一般戦力では勝てる筈もなく。
すぐさま全滅した。
『管制塔、第七警備ステーションに襲撃発生!』
「くっ.....とにかく、敵の戦力を抑制しろ!」
管制官たちは必死に戦域のコントロールを試みるが、圧倒的な物量を前に指揮系統はあっという間に飽和する。
そうして、管制官たちが諦めに表情を沈めようとしたとき。
『こちらTRINITY.対侵略部隊! 管制塔、これより全体の指揮権はこちらへと移譲される!』
「ありがとうございます!」
ヤルヴェナ側のゲートから、小型艦を中心にした防衛艦隊が現れた。
それらはゲート前に展開していたライアットノクティラノスと戦闘を開始し、旗艦「ヤートヴェズナ」が指揮系統を完全に掌握する。
『広範囲に展開せよ! 艦船同士の密度を薄くし、敵の射撃を的確に回避するのだ!』
ジルナイト警部による指揮で、TRINITY.防衛艦隊はVe’z艦隊へと肉薄し、射撃を開始するのであった。
それは、この広い宇宙において、最も安全な宙域である。
しかし――――その永劫なる平和は、この日破られることとなる。
『管制塔! 管制塔! 未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔! 市街地が襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔――――ぐわああっ!!』
『未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔! 襲撃を受けている!』
『管制塔! 管制塔! こちら第八十七派出所!未知の勢力に襲撃を受けている!』
『管制塔、未知の勢力が――――』
一瞬で管制塔の処理能力を超えた通信が舞い込み、ローカル通信はあっという間に阿鼻叫喚の嵐となる。
『撃て! 生きたければ撃て!』
『ダメです、ぐわ――――』
あのVe’zが。
仕掛けなければ、反撃することのなかったVe’zが。
明確にTRINITY.に対して牙を剥いたのだ。
惑星は流星と見まがうレーザー砲撃で爆撃され、軌道上にあるものすべてが粉々に破壊された。
『撃て、ハルバラージ!』
主力艦ハルバラージが、接近してくるグラディエーターノクティラノスに対して攻撃を加えるが、近接型の超兵器を浴びながら轟沈する。
『主力艦が......』
『落ち着け、後退するのだ! ヤルヴェナに撤退を!』
逃げていく艦隊を前に、それを指揮するケルビスは嗤う。
『させるはずがないでしょう?』
ドミネーターノクティラノスによる射撃が、TRINITY.艦隊を一瞬にして灰燼へと変える。
その背景では、アドラスによる惑星の重力崩壊が引き起こされていた。
惑星は重力という枷を失い、その大地が剥がれ落ちバラバラになって四散していく。
これと同じ光景が、全ての惑星で行われていた。
『ところで、エリアス様』
『どうした?』
そして。
それだけの暴虐を行えば、当然もう一つの勢力を刺激することになる。
『エミド艦隊を確認しております』
『適当に排除しろ』
エミド側も、未知なる勢力の反抗作戦でそれどころではないのだが――――しかし、不文律に反する者たちを見過ごすわけにはいかない。
そして、エミド艦隊は当然のごとくドミネーターノクティラノスに襲い掛かり――――船団所属でもない一般戦力では勝てる筈もなく。
すぐさま全滅した。
『管制塔、第七警備ステーションに襲撃発生!』
「くっ.....とにかく、敵の戦力を抑制しろ!」
管制官たちは必死に戦域のコントロールを試みるが、圧倒的な物量を前に指揮系統はあっという間に飽和する。
そうして、管制官たちが諦めに表情を沈めようとしたとき。
『こちらTRINITY.対侵略部隊! 管制塔、これより全体の指揮権はこちらへと移譲される!』
「ありがとうございます!」
ヤルヴェナ側のゲートから、小型艦を中心にした防衛艦隊が現れた。
それらはゲート前に展開していたライアットノクティラノスと戦闘を開始し、旗艦「ヤートヴェズナ」が指揮系統を完全に掌握する。
『広範囲に展開せよ! 艦船同士の密度を薄くし、敵の射撃を的確に回避するのだ!』
ジルナイト警部による指揮で、TRINITY.防衛艦隊はVe’z艦隊へと肉薄し、射撃を開始するのであった。
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