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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
140-神聖連合消滅
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こうして、連合軍対同盟軍の戦争は終了した。
いや、戦争という表現には語弊があるだろう。
一方的に仕掛けた連合軍が、遊び半分の同盟軍に撃退されただけである。
それも、何度も何度も見苦しく攻撃を仕掛け、挙げ句の果てには大義名分とは関係ない国にまで奇襲を行った上で。
『それで、今回の賠償責任に関して、TRINITY.としてはどのようなご決断を?』
『い...依然検討中です』
TRINITY.総裁のエルドリヒは、記者からのインタビューに歯切れ悪く答えた。
彼が言い逃れをできない理由は他にもある。
それは、遺体の返還である。
『現在は遺体の身元確認中でして....』
『ですが、全ての遺族の元に正確に遺体が届けられた以上、そのような作業は不要なのではないでしょうか?』
『.....回答は差し控えさせていただきます』
そう。
Ve’zの手によって回収された遺体は、復元作業後遺族の元へと転送装置とデータベースの照合により返還された。
中には自分の子供と認識していなかった孤児が兵士になったせいで、身に覚えのない遺体が届いたり、遺族が全員死んでいたため地元の役所の前に届いたりするアクシデントはあったものの、連合軍”全て”の遺体が完璧に返還された。
それはつまり、無言の圧力と同義であった。
『ゴミは返すよ』程度の意思表示だと、上層部は判断した。
「(全く忌々しい......何が遺体だ、我々の戦力すら足元にも及ばなかったではないか、誰かこれに気づけるというものか)」
エルドリヒは唇を噛む。
遺体を覆っていた棺は、型番などが記載されていることがあったため調査を進めた結果、全て連合軍の出撃させた艦船や戦闘機の装甲材か構造材であった。
虫をティッシュでくるんで隣の家に放り込んだら、その死骸を綺麗に包んで送り返されたというようなものである。
どう考えても、舐められているとしか思えないだろう。
『続いては、全国放送での謎の声についてのニュースです』
映像が切り替わり、全国で発生したジャック放送での声についての報道がなされる。
エリアス=アルティノスの放送についてである。
『この声については、未確認組織「Ve’z」の首魁と思われるエリアス=アルティノスの宣戦布告映像から照合が取れ、同一人物であると特定されました』
エリアスはTRINITY.に対して、戦勝当日に堂々と宣戦布告した。
それに対して、TRINITY.はエルドリヒに対する処罰で事を収めようとしていた矢先に出鼻をくじかれた形になった。
Ve’z直々の宣戦布告ともなれば、最早事は組織内のいざこざでは済まない。
宇宙の保全システムそのものに大きな影響が出てしまう事になる。
それは、TRINITY.に協賛する国家が許さないであろう。
辞任で体面を守って終わらせるなどと、情けない真似はできない。
『それにしても、Ve’zとは、実在の存在だったのですね』
『元より存在自体は知られていましたが、コロニスト、傭兵、プラネタリアンの皆様方には幻の存在でしたからね』
『探検家くらいですよ、Ve’zと遭遇するのは....』
その言葉は事実である。
歴史上の名の知れた探検家の何万人かは、Ve’zとの遭遇を果たしている。
本来であればVe’z宇宙の遥か深部か、歴史の片隅に遥か古代から存在し続けている遺跡を巡らなければ遭遇できない存在なのだ。
それが声明を出し、人々の前に深遠なるベールを取り払って現れた。
エリガードの出現に続く事件に、多くの人々の心に激動の時代を生きているのだという実感が湧いてきた。
Noa-Tun連邦によるビージアイナ帝国の完全占拠、連合軍の歴史的な大敗北。
これは、宇宙に存在する二つの脅威――――即ち、侵略者と暴君を広く知らしめた、歴史のターニングポイント。
後に「滅びの前兆」と囁かれるようになった事件であった。
「神よ! 信託を!」
「我らに生き延びる道を示してくだされ!!」
オーベルン神聖連合首都、オーベリニア。
その中央に存在する世界聖堂にて、多くの者が祈っていた。
祈る先は、絶対神にして唯一神。
国名に冠された主神の名はオーベルン。
「オーベルンよ、我々の行く末をお示しください!」
「さすれば、我々はそれに従います!」
多くの者の声を受け、「それ」は煩わし気に意識を浮上させた。
そして、信者たちの声に耳を傾ける。
「Ve’zという脅威に我々は直面しております! どうか道標を!」
「生贄をお望みであれば、何なりと御用意いたします!」
教皇すらも必死に祈った。
だが、「それ」はそれに憤った。
生意気な態度にではない。
Ve’zに敵対したことに対して、怒ったのだ。
それは、勝てない敵に対して挑んだ怒りではない。
大いなる失望から来る怒りであった。
『――――愚か者共め。いつ余がそう望んだ?』
そして、翌日。
オーベリニアプライムは、完全に消滅し――――オーベルン神聖連合は完全に崩壊した。
いや、戦争という表現には語弊があるだろう。
一方的に仕掛けた連合軍が、遊び半分の同盟軍に撃退されただけである。
それも、何度も何度も見苦しく攻撃を仕掛け、挙げ句の果てには大義名分とは関係ない国にまで奇襲を行った上で。
『それで、今回の賠償責任に関して、TRINITY.としてはどのようなご決断を?』
『い...依然検討中です』
TRINITY.総裁のエルドリヒは、記者からのインタビューに歯切れ悪く答えた。
彼が言い逃れをできない理由は他にもある。
それは、遺体の返還である。
『現在は遺体の身元確認中でして....』
『ですが、全ての遺族の元に正確に遺体が届けられた以上、そのような作業は不要なのではないでしょうか?』
『.....回答は差し控えさせていただきます』
そう。
Ve’zの手によって回収された遺体は、復元作業後遺族の元へと転送装置とデータベースの照合により返還された。
中には自分の子供と認識していなかった孤児が兵士になったせいで、身に覚えのない遺体が届いたり、遺族が全員死んでいたため地元の役所の前に届いたりするアクシデントはあったものの、連合軍”全て”の遺体が完璧に返還された。
それはつまり、無言の圧力と同義であった。
『ゴミは返すよ』程度の意思表示だと、上層部は判断した。
「(全く忌々しい......何が遺体だ、我々の戦力すら足元にも及ばなかったではないか、誰かこれに気づけるというものか)」
エルドリヒは唇を噛む。
遺体を覆っていた棺は、型番などが記載されていることがあったため調査を進めた結果、全て連合軍の出撃させた艦船や戦闘機の装甲材か構造材であった。
虫をティッシュでくるんで隣の家に放り込んだら、その死骸を綺麗に包んで送り返されたというようなものである。
どう考えても、舐められているとしか思えないだろう。
『続いては、全国放送での謎の声についてのニュースです』
映像が切り替わり、全国で発生したジャック放送での声についての報道がなされる。
エリアス=アルティノスの放送についてである。
『この声については、未確認組織「Ve’z」の首魁と思われるエリアス=アルティノスの宣戦布告映像から照合が取れ、同一人物であると特定されました』
エリアスはTRINITY.に対して、戦勝当日に堂々と宣戦布告した。
それに対して、TRINITY.はエルドリヒに対する処罰で事を収めようとしていた矢先に出鼻をくじかれた形になった。
Ve’z直々の宣戦布告ともなれば、最早事は組織内のいざこざでは済まない。
宇宙の保全システムそのものに大きな影響が出てしまう事になる。
それは、TRINITY.に協賛する国家が許さないであろう。
辞任で体面を守って終わらせるなどと、情けない真似はできない。
『それにしても、Ve’zとは、実在の存在だったのですね』
『元より存在自体は知られていましたが、コロニスト、傭兵、プラネタリアンの皆様方には幻の存在でしたからね』
『探検家くらいですよ、Ve’zと遭遇するのは....』
その言葉は事実である。
歴史上の名の知れた探検家の何万人かは、Ve’zとの遭遇を果たしている。
本来であればVe’z宇宙の遥か深部か、歴史の片隅に遥か古代から存在し続けている遺跡を巡らなければ遭遇できない存在なのだ。
それが声明を出し、人々の前に深遠なるベールを取り払って現れた。
エリガードの出現に続く事件に、多くの人々の心に激動の時代を生きているのだという実感が湧いてきた。
Noa-Tun連邦によるビージアイナ帝国の完全占拠、連合軍の歴史的な大敗北。
これは、宇宙に存在する二つの脅威――――即ち、侵略者と暴君を広く知らしめた、歴史のターニングポイント。
後に「滅びの前兆」と囁かれるようになった事件であった。
「神よ! 信託を!」
「我らに生き延びる道を示してくだされ!!」
オーベルン神聖連合首都、オーベリニア。
その中央に存在する世界聖堂にて、多くの者が祈っていた。
祈る先は、絶対神にして唯一神。
国名に冠された主神の名はオーベルン。
「オーベルンよ、我々の行く末をお示しください!」
「さすれば、我々はそれに従います!」
多くの者の声を受け、「それ」は煩わし気に意識を浮上させた。
そして、信者たちの声に耳を傾ける。
「Ve’zという脅威に我々は直面しております! どうか道標を!」
「生贄をお望みであれば、何なりと御用意いたします!」
教皇すらも必死に祈った。
だが、「それ」はそれに憤った。
生意気な態度にではない。
Ve’zに敵対したことに対して、怒ったのだ。
それは、勝てない敵に対して挑んだ怒りではない。
大いなる失望から来る怒りであった。
『――――愚か者共め。いつ余がそう望んだ?』
そして、翌日。
オーベリニアプライムは、完全に消滅し――――オーベルン神聖連合は完全に崩壊した。
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