SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線

139-情報源確保

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「しまった」

エリアスの呟きが、喧騒の中で掻き消える。
直後、周囲を取り囲んでいた七人が、全員崩れ落ちる。
だが、その内の一人の身体が上下に両断され、血飛沫をまき散らす。

「思ったより制御が難しいな」
「し....死ねぇぇ!!」

部屋の入り口に立っていた男が、ライフルを連射する。
エリアスは触手でそれを全て防ぎきり、男の手からライフルをもぎ取る。

「ほう.....バッテリーを直接交換する仕組みなのか」
「ば....化け物.....!」
「化け物?」

エリアスは周囲を見渡す。
そして、それが自分に向けられたものだと気付く。

「.......僕よりも、ケルビスの方が百倍化け物だと思うが...」

男を蹴り飛ばして、エリアスは先を目指した。



「第四区画! 突破されました!」

同時刻。
下層でケルビスが暴れまわっていた。
近づく者は触手で無力化し、引きちぎった配管を投げ飛ばして攻撃する。

「この先には行かせん!」

三人の隊員による射撃をたった二本の触手で受け流し、ケルビスは隊長格の男の頭をがしりと掴む。

「人間如きが――――」

まるでトマトを握り潰すかのように、隊長の頭は握り潰された。
恐怖に歪む隊員二人の頭も、一陣の風と共に胴体とお別れすることとなる。

「人間は恐怖すると撃ってくれる。これで正当防衛が成立するのか」

ケルビスはニヤニヤと笑いつつ、先へと進む。
すると、何かが飛んでくる。
ケルビスがそれを掴むと、ロケット弾頭であった。

「お返ししますよ」

ケルビスはそれを右腕に持ち替えて、軽く投げ返す。
直後、攻撃者の元で爆発が巻き起こる。

「いつまで遊んでいる?」

その時。
ケルビスは声を掛けられ振り返った。

「エリアス様。艦橋へは?」
「さっきの広場が、エレベーターホールだ」
「.....そうですか........行きますか?」
「当然だ」

二人はエレベーターホールへと戻り、エレベーターが停止しているのを確認した。

「こんなもの」

エリアスは壁を蹴りながら上へと跳躍し、艦橋への扉を蹴倒した。

「なっ....もうここへっ!?」

遅れて、ケルビスが床を突き破って登場する。
エリアスは服の汚れがないか確かめてから、目の前にいる人間たちを見る。
総数、80名。
そして、その中央に立つのは――――女性だ。

「鎮圧しなさい! 生死は問いません!」
「悪い冗談だ」
「ええ」

80の銃口を向けられ、それら全てが光を放つ。
だが、二人はその程度で動じることはない。

「ケルビス、返してやろう」
「お任せを」

エリアスとケルビスは互いに両手を突き出す。
直後、二人の周囲にあったレーザーは全て静止する。

「死ね」

二人が手を離した直後、レーザーは反転し、撃った人間の元に返った。
銃を下ろした者は手を、そのままの者は銃を撃たれ、しかし両方とも武器を取り落とすこととなった。

「撃ったので、正当防衛ですよね?」
「ああ」

二人の触手が消え、直後、79人の命が失われた。

「え....なんで.....うぅん........」

そして、その光景を直視した女が一人、倒れ込む。

「あれを連れて帰るぞ」
「....もしや、TRINITY.の指揮官とは....この女ですか?」
「そうだ」

エリアスはため息をつく。

「女性ばかり増えていくな」
「御心中、お察しします」
「黙れ」

エリアスとケルビスは、女性を連れてテレポートしていった。
既に周囲の艦隊は壊滅しており、乗員の全滅した旗艦が、幽霊船のように漂っていくのであった。
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