SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線

136-パワーコア・ディスラプター

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『ジアン様、後退命令が発令されました』
「何故だ?」

Ve’zワームホール内に停泊していたジアンは、クロペル共和国軍司令官の報告に首を傾げる。

『不明です。ただ、指定された範囲から離脱せよ、と.....』
「何かする気でしょう、強者に従うのも戦士の務め。策があるのであれば乗るべきです」
『はっ! 全艦隊を後退させます』

同時に、オルダモン艦隊もラエリス艦隊から離脱し、後退していく。

『敵艦隊、後退していきます』
『Ve’z艦隊は依然沈黙!』

そして、連合軍の残党の内部で通信が響く。
生存している司令官はオーベルンのカルナートゥイエ助祭だけである。
助祭は、艦隊中に司令を飛ばす。

『全艦隊、再集結せよ。艦隊を再編し、撤退戦に備えるのだ』

それは、至極真っ当な判断であった。
だが、Ve’zの思うつぼでもある。
そうとも知らずに、艦隊は友軍の残骸を避け、密集隊形へと陣形を変更し始めるのであった。



『エリガード、本体とのリンクを確立』

僕はカプセルの中で眠っていた。
周囲の液体は、精神波をより伝導しやすくする液体である。
エリガードの操縦は、人間の使うコンソールではなく、マインドリンク....精神同調により行われるのだ。

『係留解除』

エクスティラノス達はこの巨大な機体から装備を分離し、普段使いしているが.....僕はたまにしか使わないので、船と一つになるという感覚には慣れない。

『ジャンプドライブを起動する』

Ve’zの空間操作技術は時間にも干渉できるほどだ。
なら地球に戻れるのではないかと思ったのだが、観測できない領域には到達できないようだ。
僕はジャンプドライブを起動し、何十もの星系を超えてシルターエルト星系の、連合軍艦隊のど真ん中に直接ジャンプする。

『........』

物体が重なった事で、シールドが少しだけ減衰する。
逆に耐えられなかった連合軍の艦船は、その部分が抉られて爆発した。

『パワーコアディスラプターにエネルギーを充填、出力最大で起動する』

エネルギー増幅波の照射は、たった一度だけだ。
だが、たった一度で充分だ。
今、連合軍の艦船のパワーコアのエネルギーが1、最大値が100しかないとすれば、この増幅波はそのエネルギーを200倍にする。
それだけなのだから。
増幅波が艦隊全体に到達し、急激な熱量増加の後に幾つかの小型艦が自爆した。
逆に大型艦は何も起こっていないように見えるが、内部の熱量が急速に拡散し、冷えていく。

『敵艦隊の無力化に成功。帰還する』

僕はエリガードを再ジャンプさせ、アロウトに帰還した。
エリスの時は長く留まらざるを得なかったが、本来はエリガードはこういう役回りの船なのだ。

『同盟軍全体に通達する。シルターエルト星系の艦隊は沈黙した。共和国、連邦軍は通常通り帰還せよ。スカベンジャーノクティラノスを出撃させ、遺体の作成と回収を行え』

僕はそう命じる。
今回、各国に力を示すために一つのプランを実行しているのだ。
遺体は欠かせない。

『両軍の司令官は情報共有の後、報告書を提出せよ。諸君らの健闘に称賛を送る』

命令とはいえ、ちゃんと戦ってくれたのでお礼はしておく。
これで、損得勘定による盟約は成立したと言っても過言ではないだろう。
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