136 / 200
シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
136-パワーコア・ディスラプター
しおりを挟む
『ジアン様、後退命令が発令されました』
「何故だ?」
Ve’zワームホール内に停泊していたジアンは、クロペル共和国軍司令官の報告に首を傾げる。
『不明です。ただ、指定された範囲から離脱せよ、と.....』
「何かする気でしょう、強者に従うのも戦士の務め。策があるのであれば乗るべきです」
『はっ! 全艦隊を後退させます』
同時に、オルダモン艦隊もラエリス艦隊から離脱し、後退していく。
『敵艦隊、後退していきます』
『Ve’z艦隊は依然沈黙!』
そして、連合軍の残党の内部で通信が響く。
生存している司令官はオーベルンのカルナートゥイエ助祭だけである。
助祭は、艦隊中に司令を飛ばす。
『全艦隊、再集結せよ。艦隊を再編し、撤退戦に備えるのだ』
それは、至極真っ当な判断であった。
だが、Ve’zの思うつぼでもある。
そうとも知らずに、艦隊は友軍の残骸を避け、密集隊形へと陣形を変更し始めるのであった。
『エリガード、本体とのリンクを確立』
僕はカプセルの中で眠っていた。
周囲の液体は、精神波をより伝導しやすくする液体である。
エリガードの操縦は、人間の使うコンソールではなく、マインドリンク....精神同調により行われるのだ。
『係留解除』
エクスティラノス達はこの巨大な機体から装備を分離し、普段使いしているが.....僕はたまにしか使わないので、船と一つになるという感覚には慣れない。
『ジャンプドライブを起動する』
Ve’zの空間操作技術は時間にも干渉できるほどだ。
なら地球に戻れるのではないかと思ったのだが、観測できない領域には到達できないようだ。
僕はジャンプドライブを起動し、何十もの星系を超えてシルターエルト星系の、連合軍艦隊のど真ん中に直接ジャンプする。
『........』
物体が重なった事で、シールドが少しだけ減衰する。
逆に耐えられなかった連合軍の艦船は、その部分が抉られて爆発した。
『パワーコアディスラプターにエネルギーを充填、出力最大で起動する』
エネルギー増幅波の照射は、たった一度だけだ。
だが、たった一度で充分だ。
今、連合軍の艦船のパワーコアのエネルギーが1、最大値が100しかないとすれば、この増幅波はそのエネルギーを200倍にする。
それだけなのだから。
増幅波が艦隊全体に到達し、急激な熱量増加の後に幾つかの小型艦が自爆した。
逆に大型艦は何も起こっていないように見えるが、内部の熱量が急速に拡散し、冷えていく。
『敵艦隊の無力化に成功。帰還する』
僕はエリガードを再ジャンプさせ、アロウトに帰還した。
エリスの時は長く留まらざるを得なかったが、本来はエリガードはこういう役回りの船なのだ。
『同盟軍全体に通達する。シルターエルト星系の艦隊は沈黙した。共和国、連邦軍は通常通り帰還せよ。スカベンジャーノクティラノスを出撃させ、遺体の作成と回収を行え』
僕はそう命じる。
今回、各国に力を示すために一つのプランを実行しているのだ。
遺体は欠かせない。
『両軍の司令官は情報共有の後、報告書を提出せよ。諸君らの健闘に称賛を送る』
命令とはいえ、ちゃんと戦ってくれたのでお礼はしておく。
これで、損得勘定による盟約は成立したと言っても過言ではないだろう。
「何故だ?」
Ve’zワームホール内に停泊していたジアンは、クロペル共和国軍司令官の報告に首を傾げる。
『不明です。ただ、指定された範囲から離脱せよ、と.....』
「何かする気でしょう、強者に従うのも戦士の務め。策があるのであれば乗るべきです」
『はっ! 全艦隊を後退させます』
同時に、オルダモン艦隊もラエリス艦隊から離脱し、後退していく。
『敵艦隊、後退していきます』
『Ve’z艦隊は依然沈黙!』
そして、連合軍の残党の内部で通信が響く。
生存している司令官はオーベルンのカルナートゥイエ助祭だけである。
助祭は、艦隊中に司令を飛ばす。
『全艦隊、再集結せよ。艦隊を再編し、撤退戦に備えるのだ』
それは、至極真っ当な判断であった。
だが、Ve’zの思うつぼでもある。
そうとも知らずに、艦隊は友軍の残骸を避け、密集隊形へと陣形を変更し始めるのであった。
『エリガード、本体とのリンクを確立』
僕はカプセルの中で眠っていた。
周囲の液体は、精神波をより伝導しやすくする液体である。
エリガードの操縦は、人間の使うコンソールではなく、マインドリンク....精神同調により行われるのだ。
『係留解除』
エクスティラノス達はこの巨大な機体から装備を分離し、普段使いしているが.....僕はたまにしか使わないので、船と一つになるという感覚には慣れない。
『ジャンプドライブを起動する』
Ve’zの空間操作技術は時間にも干渉できるほどだ。
なら地球に戻れるのではないかと思ったのだが、観測できない領域には到達できないようだ。
僕はジャンプドライブを起動し、何十もの星系を超えてシルターエルト星系の、連合軍艦隊のど真ん中に直接ジャンプする。
『........』
物体が重なった事で、シールドが少しだけ減衰する。
逆に耐えられなかった連合軍の艦船は、その部分が抉られて爆発した。
『パワーコアディスラプターにエネルギーを充填、出力最大で起動する』
エネルギー増幅波の照射は、たった一度だけだ。
だが、たった一度で充分だ。
今、連合軍の艦船のパワーコアのエネルギーが1、最大値が100しかないとすれば、この増幅波はそのエネルギーを200倍にする。
それだけなのだから。
増幅波が艦隊全体に到達し、急激な熱量増加の後に幾つかの小型艦が自爆した。
逆に大型艦は何も起こっていないように見えるが、内部の熱量が急速に拡散し、冷えていく。
『敵艦隊の無力化に成功。帰還する』
僕はエリガードを再ジャンプさせ、アロウトに帰還した。
エリスの時は長く留まらざるを得なかったが、本来はエリガードはこういう役回りの船なのだ。
『同盟軍全体に通達する。シルターエルト星系の艦隊は沈黙した。共和国、連邦軍は通常通り帰還せよ。スカベンジャーノクティラノスを出撃させ、遺体の作成と回収を行え』
僕はそう命じる。
今回、各国に力を示すために一つのプランを実行しているのだ。
遺体は欠かせない。
『両軍の司令官は情報共有の後、報告書を提出せよ。諸君らの健闘に称賛を送る』
命令とはいえ、ちゃんと戦ってくれたのでお礼はしておく。
これで、損得勘定による盟約は成立したと言っても過言ではないだろう。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる