SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
135 / 200
シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線

135-パワーコア破壊装置

しおりを挟む
僕は、タッティラの元を訪れていた。
最近は専らシーシャと共にアルケーシアの技術解析に勤しんでいた彼女が、僕に用があると呼び出しをかけてきたのだ。

「どうした? タッティラ」
『あっ、エリアス様。こちらへどうぞ』

タッティラは艦に乗った状態で、僕の前に椅子を置いた。
未知のパーツが複数含まれたもので、衝撃を完全に吸収する機構と雑な説明がデータに含まれている。

「これがアルケーシアの技術なのか?」
『はい。ですが、今日見てもらいたいのは別のものです』
「そうか」

タッティラはモニターを操作し、品目をスライドしてあるものを選択した。
直後、僕の目の前の台に、何かの装置が出現した。

「これは何だ?」
『――――』

尋ねた僕に、タッティラがマインドリンクを通して説明を送り込んできた。
直接解説を挿入されるのは久々の感覚だ。

「つまり、パワーコアの破壊装置だと?」
『はい』

タッティラはアルケーシアの技術の中にあった、周囲の熱量を選択的に、かつ無秩序に増大させる技術に目を付けた。
特定波長のエネルギーに働きかけて、熱的均衡の法則に干渉、本来減っていくはずのエネルギーを無量大数レベルにまで増殖させ続けることのできる、驚異のシステムだ。
だが、こちらも相応のエネルギーを消費してしまうのだが。

『ですが、特定のエネルギー波長を指定できるという点で、ひとつ閃いたんです』
「パワーコアのエネルギーを増大させることをか」

話は簡単だ。
Ve’z艦船以外は、パワーコアと呼ばれるエネルギー機関を持っている。
技術レベルや形式はどうあれ、基本の仕組みは変わらない。
そして、使用しているエネルギー法則も同じであり、この装置の増幅対象になる。
では、一つ質問をしよう。
もし、100%液体が入っている瓶に、更に液体を注入しようとすればどうなるか?
――――そう、溢れる。
溢れ方は様々だが、今回の方法は瓶の破裂である。
パワーコアを破壊されれば、どんな艦船でも沈黙せざるを得ない。

「だが、味方にも作用しないか?」
『そこは、要改善点です』

つまり、少なくともVe’z艦以外の味方がいる場所では使えないのか。
待て、そもそも.....

「場合によっては、味方にも使えるのではないか?」
『はい。Ve’zの超圧縮恒星機関に対しても、コンデンサーにリークされたエネルギーを暴走させれば同じことが可能です』
「.....分かった」

裏切られることはないとは思うが、これはエリガードに積もう。
エクスティラノスの造反で使われれば、もし自己破壊プログラムが効かなかったときアロウトが危ない。
僕自身は別に何度身体を吹っ飛ばされようと構わないが、エリス達は不死身ではない。

「エリガードに積んでおいてくれ」
『はい』

タッティラは頷いた。
その後、いくつか兵器に転用できそうなものや、医療に関する技術などの説明を受けた。
少なくとも後者については、エリスかサーシャに何かあった時に使えそうだ。
僕はアルケーシアの技術供与に胸を躍らせつつ、エリガードに搭乗するため壁を退けつつ歩くのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~

霧氷こあ
SF
 フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。  それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?  見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。 「ここは現実であって、現実ではないの」  自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス
ファンタジー
自動車工場で働くケンはいつも通りに仕事を終えて、帰りのバスのなかでうたた寝をしていた。 目を覚ますと、見知らぬ草原の真っ只中だった。 なんとか民家を見つけ、助けを求めたのだが、兵士を呼ばれて投獄されてしまう。 そこへ返り血に染まった吸血鬼が襲撃に現れ、ケンを誘拐する。 その目的は「ロボットを修理しろ」とのことだった・・・

処理中です...