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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
129-正道の騎士
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「なんだ、あれは....?」
クロビトは、それまでとは異質な艦影を確認し、疑問符を浮かべた。
要塞の内部から、唐突に現れた艦隊。
それらはVe’zのエリート戦闘艦である。
だが、何より――――その中央に鎮座するのは。
『最早隠し立てする気も在りはせぬ。拙者は、ただ敵を打ち破るのみ――――往くぞ』
それはジェネラスの乗艦ロイヤリティ=エクスティラノスである。
だが、その船体そのものは改造を受け、遮蔽装置を外し大幅に対艦能力が高められている。
言わば、ジェネラス決戦仕様である。
そして、Ve’z戦闘艦であるドミネーターノクティラノスが砲撃を行い、ジスティカ王国の戦艦が沈んだ。
『発砲許可を!』
『こちらも!』
「これより、指揮権を返上する! 両軍、指揮系統をリセットしコマンダーの指示に従え!」
クロビトはそう叫ぶ。
これは、敵が指揮権を持つ自分を狙い撃ちにすると思っての行動である。
指揮系統をリセットし、自分が死んでも戦場が回るようにしたのだ。
しかし....全ては無意味である。
『敵艦の発砲を確認』
『攻撃指令により、反撃を行います』
ドミネーターノクティラノスが、一斉に何かをばら撒く。
それは、独立型セントリードローン「ベネディクト」である。
ドミネーターノクティラノス一隻につき80個搭載されたそれは、エクスティラノスの持つダウンレイよりは劣るものの、数が合わされば――――
「何だこれは!?」
『味方の損害が急激に拡大! くっ、左右に展開して囲んで仕留めろ!』
ドミネーターノクティラノスの数は8隻。
そして、たった一撃で戦艦を沈められるベネディクトは、640機存在することになる。
その連射速度は2秒に1回であり、艦隊に対して有効すぎるほどであった。
だが、それでも――――
『我らジスティカ王国儀仗隊は、負け知らずなり!』
足の速いフリゲートは、射撃をかわしながら肉薄してくる。
それに対し、ジェネラスは――――
『見事なり。その高潔な意志に敬意を示し――――拙者がお相手いたそう』
直後、ジェネラスはフリゲート艦隊の後方に出現した。
「な、何を.....」
『何だこれはっ!? 何が起きて――――』
そして、フリゲート艦隊は全滅した。
ジェネラスは、まるで砲を剣のように振り、彼らを一刀の元に斬り捨てたのである。
『征け、我が騎士達よ。忠誠を示すのだ!』
ジェネラスの乗艦が、大量の何かをばらまく。
それらは、セントリードローンではなく、ただのドローンである。
しかし、その内部にあるのは、罪科の蓄積の為に犠牲になったノクティラノスのAIである。
その数、40。
人間にむざむざ殺されるという屈辱を果たすため、ドローン「ハンター」は一斉に攻撃を開始する。
「迎撃せよ! 迎撃するのだ!」
『は、速い! ダメだ、うわぁあああっ!』
たった二隻のドローンにより、戦艦は剣で斬られたようにバラバラにされる。
舞う様に、美しい軌道を描いて飛ぶハンターは、射撃を悠々と躱し、戦艦に襲い掛かりバラバラにする。
「ならば......要塞に突撃せよ! 全艦隊を以て、敵の狙いを打ち砕くのだ!」
キロマイア皇国の司令官は叫ぶ。
主力艦を自爆させれば、敵に損害を与えられるかもしれないという一縷の望みに賭けた一手であった。
だが、
『その策は、騎士道に反している故――――拙者の手で、姑息な策を打ち破らせてもらおう!』
キロマイア主力艦の眼前に出現したジェネラスが、超兵器を起動する。
「デッドエンド」と名付けられたその一撃は、真横に向かって放たれ、その様子はまるで一本の剣のようであった。
『一.......閃!』
薙ぎ払い。
その結果、キロマイアの主力艦は、背後のキロマイア艦隊を巻き込んで真っ二つになり、エネルギー暴走によって自沈した。
派手な爆発を前にして、ジェネラスは残心する。
その間にも、TRINITY.とジスティカ王国の艦隊は数を減らしていた。
主力艦がドミネーターノクティラノスの砲撃で撃沈され、敗走し始めているのだ。
『忠誠なき者どもに――――天誅を!』
そして、ジェネラスの乗艦は再び姿を消す。
シールドにニューエンドのエネルギーを纏い、敵艦隊の内部を駆け巡り、砲撃で敵を切り刻む。
それはまるで、騎馬に乗った騎士が、戦場を駆け敵を斬殺する様子と似ていた。
「スペックが....ち.....違いすぎる....!」
炎上する艦橋で、クロビトは起き上がる事も出来ずに呟く。
技術かどうとか、そういう問題ではないのだ。
そもそも、文明のレベルが数百倍先を行っている。
今の人類が、どう頑張っても勝てる存在ではないのだと、悟ってしまったのだ。
『ジェネラス、深追いはするな』
『しかし.....』
数百隻は戦場から逃げ出してしまった。
後を追おうとするジェネラスだが、エリアスに止められた。
『逃げる者の背を追う事が、騎士の務めか?』
『.....はっ』
『心配するな、逃げた者どもには相応の罰を与えよう』
『....更なる忠誠を』
『その忠誠に応えられるよう、僕も努力しよう』
ジェネラスは思った。
自分はいい主人のもとに仕えられて幸福だと。
こうして、ケージヒトでの戦闘は完全に終わりを告げた。
クロビトは、それまでとは異質な艦影を確認し、疑問符を浮かべた。
要塞の内部から、唐突に現れた艦隊。
それらはVe’zのエリート戦闘艦である。
だが、何より――――その中央に鎮座するのは。
『最早隠し立てする気も在りはせぬ。拙者は、ただ敵を打ち破るのみ――――往くぞ』
それはジェネラスの乗艦ロイヤリティ=エクスティラノスである。
だが、その船体そのものは改造を受け、遮蔽装置を外し大幅に対艦能力が高められている。
言わば、ジェネラス決戦仕様である。
そして、Ve’z戦闘艦であるドミネーターノクティラノスが砲撃を行い、ジスティカ王国の戦艦が沈んだ。
『発砲許可を!』
『こちらも!』
「これより、指揮権を返上する! 両軍、指揮系統をリセットしコマンダーの指示に従え!」
クロビトはそう叫ぶ。
これは、敵が指揮権を持つ自分を狙い撃ちにすると思っての行動である。
指揮系統をリセットし、自分が死んでも戦場が回るようにしたのだ。
しかし....全ては無意味である。
『敵艦の発砲を確認』
『攻撃指令により、反撃を行います』
ドミネーターノクティラノスが、一斉に何かをばら撒く。
それは、独立型セントリードローン「ベネディクト」である。
ドミネーターノクティラノス一隻につき80個搭載されたそれは、エクスティラノスの持つダウンレイよりは劣るものの、数が合わされば――――
「何だこれは!?」
『味方の損害が急激に拡大! くっ、左右に展開して囲んで仕留めろ!』
ドミネーターノクティラノスの数は8隻。
そして、たった一撃で戦艦を沈められるベネディクトは、640機存在することになる。
その連射速度は2秒に1回であり、艦隊に対して有効すぎるほどであった。
だが、それでも――――
『我らジスティカ王国儀仗隊は、負け知らずなり!』
足の速いフリゲートは、射撃をかわしながら肉薄してくる。
それに対し、ジェネラスは――――
『見事なり。その高潔な意志に敬意を示し――――拙者がお相手いたそう』
直後、ジェネラスはフリゲート艦隊の後方に出現した。
「な、何を.....」
『何だこれはっ!? 何が起きて――――』
そして、フリゲート艦隊は全滅した。
ジェネラスは、まるで砲を剣のように振り、彼らを一刀の元に斬り捨てたのである。
『征け、我が騎士達よ。忠誠を示すのだ!』
ジェネラスの乗艦が、大量の何かをばらまく。
それらは、セントリードローンではなく、ただのドローンである。
しかし、その内部にあるのは、罪科の蓄積の為に犠牲になったノクティラノスのAIである。
その数、40。
人間にむざむざ殺されるという屈辱を果たすため、ドローン「ハンター」は一斉に攻撃を開始する。
「迎撃せよ! 迎撃するのだ!」
『は、速い! ダメだ、うわぁあああっ!』
たった二隻のドローンにより、戦艦は剣で斬られたようにバラバラにされる。
舞う様に、美しい軌道を描いて飛ぶハンターは、射撃を悠々と躱し、戦艦に襲い掛かりバラバラにする。
「ならば......要塞に突撃せよ! 全艦隊を以て、敵の狙いを打ち砕くのだ!」
キロマイア皇国の司令官は叫ぶ。
主力艦を自爆させれば、敵に損害を与えられるかもしれないという一縷の望みに賭けた一手であった。
だが、
『その策は、騎士道に反している故――――拙者の手で、姑息な策を打ち破らせてもらおう!』
キロマイア主力艦の眼前に出現したジェネラスが、超兵器を起動する。
「デッドエンド」と名付けられたその一撃は、真横に向かって放たれ、その様子はまるで一本の剣のようであった。
『一.......閃!』
薙ぎ払い。
その結果、キロマイアの主力艦は、背後のキロマイア艦隊を巻き込んで真っ二つになり、エネルギー暴走によって自沈した。
派手な爆発を前にして、ジェネラスは残心する。
その間にも、TRINITY.とジスティカ王国の艦隊は数を減らしていた。
主力艦がドミネーターノクティラノスの砲撃で撃沈され、敗走し始めているのだ。
『忠誠なき者どもに――――天誅を!』
そして、ジェネラスの乗艦は再び姿を消す。
シールドにニューエンドのエネルギーを纏い、敵艦隊の内部を駆け巡り、砲撃で敵を切り刻む。
それはまるで、騎馬に乗った騎士が、戦場を駆け敵を斬殺する様子と似ていた。
「スペックが....ち.....違いすぎる....!」
炎上する艦橋で、クロビトは起き上がる事も出来ずに呟く。
技術かどうとか、そういう問題ではないのだ。
そもそも、文明のレベルが数百倍先を行っている。
今の人類が、どう頑張っても勝てる存在ではないのだと、悟ってしまったのだ。
『ジェネラス、深追いはするな』
『しかし.....』
数百隻は戦場から逃げ出してしまった。
後を追おうとするジェネラスだが、エリアスに止められた。
『逃げる者の背を追う事が、騎士の務めか?』
『.....はっ』
『心配するな、逃げた者どもには相応の罰を与えよう』
『....更なる忠誠を』
『その忠誠に応えられるよう、僕も努力しよう』
ジェネラスは思った。
自分はいい主人のもとに仕えられて幸福だと。
こうして、ケージヒトでの戦闘は完全に終わりを告げた。
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