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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
127-ニトたちの現状
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僕はエリガードに乗り、大気圏へと突入していた。
場所はフィオ。
テレポートでは輸送できない物質を積んでいるため、エリガードで直接輸送しているのだ。
『降下ポイントを共有する』
『わかった』
エリガードは一瞬で加速度を殺し、程よく整地された場所に降り立つ。
そこに、クローン数人が寄ってきた。
「ニトはどこだ?」
「....?」
ダメか。
まだ言語の理解には至らないようだ。
「吾輩はここだ」
「ニト、生活はどうだ」
「......前の生活がわからない。故に、良い」
「なら、良かった」
僕は頷く。
Ve’z製のユニットを使い、フィオの環境を破壊することなく開発を進めているようだ。
「クローン達の処遇はどうする?」
「分からん。吾輩と同じスペックだが、精神年齢は低く、性格については矯正が効きそうだ」
クローンが目覚めた理由は全く分からない。
ただ、既に自己を確立してしまっているようだ。
「純水の確保率は?」
「現在は100%だ。この星の環境は理想的だが、知的生命がいないのは難点だ」
「僕の先祖が絶滅させたようだ、すまない」
宝物殿の惑星のほとんどには人間がいない。
物好きなVe‘z人が人間の未来に期待して残した惑星もあるが、全体に比べれば大した数では無い。
「コミュニケーターが一人でもいればいいのだが...過剰な要求であったな、済まない、吾輩の落ち度である」
「コミュニケーター...か」
考えてみれば、エリアスの頃にエクスティラノスが作られたのだが、“僕”の代ではラエリスだけだ。
ここは数体、エクスティラノスを作ってみるべきだろう。
「足りない資源はあるか?」
「大丈夫だ。不足気味のベラトーク、ノートリアル、ポリオンは、あなたが持ってくれた」
「この惑星の資源分布にはそれらは含まれないからな」
今、この惑星にはノクティラノスが駐留しているが、既に資源のスキャンは終わっている。
この惑星には、標準的な資源と宇宙に存在する資源数個、それから未知の鉱物が一つ見つかっている。
正確には、発見されてはいるのだが...それをサーチする手段がないだけだが。
「......本当に、良かったのか?」
「うん?」
僕は振り返る。
ニトは、猜疑の目を僕に向けていた。
「吾輩たちは、そちらに技術を渡したが...その時点で我々に、支援を送る価値はないはずだ」
「いいや、僕たちはエミド...お前たちの文明から分岐した文明と戦争をしている。......もし彼等との交渉の道があるなら、アルケーシア人のニト、君が役に立つかもしれない」
「では、それまでに記憶は取り戻そう」
「頼む」
僕は頷いた。
「基地のコンピュータの記録では、エミドの情報はない。ただ、吾輩から見るに、そのジェキドという男は、アルケーシアンではない」
「そうか」
「我々は精神を以て人を操る技術を所持していた。インプラントなどで制御する必要はない」
「...成程?」
「だが、不要であったため、データベースにはない。我々の技術は、恐らく...精神を強制的に同調させ、相手に自分たちを“分かってもらう”事に重点を置いているのだろう」
成程。
人は隣人を恐れる。
知らないものは怖く、いつ裏切られるかと怯える。
だが、決して裏切らないと、どんな思想を持っているかを精神を繋げて知ることが出来れば、平和に限りなく近づけるといった思想か。
だが、結果は...
「何故アルケーシアが滅びたかは不明だ。だが、この技術力を持った文明が滅ぶときは...」
ニトは不安そうに俯く。
「内乱、か」
「そうだ。吾輩は...不安だ」
「...そうか」
僕はなんとなく、彼女の頭を撫でた。
「...?」
「不安な時、人はこうしてもらうと安堵するらしい」
「吾輩の知識にはない...しかし...ありがとう」
「ああ。また、ここで」
僕はニトに別れを告げ、アロウトにテレポートした。
エリガードは自動帰還システムで戻ってくるだろう。
まずは、次の戦場に備えなければ...
場所はフィオ。
テレポートでは輸送できない物質を積んでいるため、エリガードで直接輸送しているのだ。
『降下ポイントを共有する』
『わかった』
エリガードは一瞬で加速度を殺し、程よく整地された場所に降り立つ。
そこに、クローン数人が寄ってきた。
「ニトはどこだ?」
「....?」
ダメか。
まだ言語の理解には至らないようだ。
「吾輩はここだ」
「ニト、生活はどうだ」
「......前の生活がわからない。故に、良い」
「なら、良かった」
僕は頷く。
Ve’z製のユニットを使い、フィオの環境を破壊することなく開発を進めているようだ。
「クローン達の処遇はどうする?」
「分からん。吾輩と同じスペックだが、精神年齢は低く、性格については矯正が効きそうだ」
クローンが目覚めた理由は全く分からない。
ただ、既に自己を確立してしまっているようだ。
「純水の確保率は?」
「現在は100%だ。この星の環境は理想的だが、知的生命がいないのは難点だ」
「僕の先祖が絶滅させたようだ、すまない」
宝物殿の惑星のほとんどには人間がいない。
物好きなVe‘z人が人間の未来に期待して残した惑星もあるが、全体に比べれば大した数では無い。
「コミュニケーターが一人でもいればいいのだが...過剰な要求であったな、済まない、吾輩の落ち度である」
「コミュニケーター...か」
考えてみれば、エリアスの頃にエクスティラノスが作られたのだが、“僕”の代ではラエリスだけだ。
ここは数体、エクスティラノスを作ってみるべきだろう。
「足りない資源はあるか?」
「大丈夫だ。不足気味のベラトーク、ノートリアル、ポリオンは、あなたが持ってくれた」
「この惑星の資源分布にはそれらは含まれないからな」
今、この惑星にはノクティラノスが駐留しているが、既に資源のスキャンは終わっている。
この惑星には、標準的な資源と宇宙に存在する資源数個、それから未知の鉱物が一つ見つかっている。
正確には、発見されてはいるのだが...それをサーチする手段がないだけだが。
「......本当に、良かったのか?」
「うん?」
僕は振り返る。
ニトは、猜疑の目を僕に向けていた。
「吾輩たちは、そちらに技術を渡したが...その時点で我々に、支援を送る価値はないはずだ」
「いいや、僕たちはエミド...お前たちの文明から分岐した文明と戦争をしている。......もし彼等との交渉の道があるなら、アルケーシア人のニト、君が役に立つかもしれない」
「では、それまでに記憶は取り戻そう」
「頼む」
僕は頷いた。
「基地のコンピュータの記録では、エミドの情報はない。ただ、吾輩から見るに、そのジェキドという男は、アルケーシアンではない」
「そうか」
「我々は精神を以て人を操る技術を所持していた。インプラントなどで制御する必要はない」
「...成程?」
「だが、不要であったため、データベースにはない。我々の技術は、恐らく...精神を強制的に同調させ、相手に自分たちを“分かってもらう”事に重点を置いているのだろう」
成程。
人は隣人を恐れる。
知らないものは怖く、いつ裏切られるかと怯える。
だが、決して裏切らないと、どんな思想を持っているかを精神を繋げて知ることが出来れば、平和に限りなく近づけるといった思想か。
だが、結果は...
「何故アルケーシアが滅びたかは不明だ。だが、この技術力を持った文明が滅ぶときは...」
ニトは不安そうに俯く。
「内乱、か」
「そうだ。吾輩は...不安だ」
「...そうか」
僕はなんとなく、彼女の頭を撫でた。
「...?」
「不安な時、人はこうしてもらうと安堵するらしい」
「吾輩の知識にはない...しかし...ありがとう」
「ああ。また、ここで」
僕はニトに別れを告げ、アロウトにテレポートした。
エリガードは自動帰還システムで戻ってくるだろう。
まずは、次の戦場に備えなければ...
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