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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
126-辟。莠コ
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ディレンズ星系では、大混乱が発生していた。
それは当然だ、なぜならば――――
『艦長がいなくなった!』
『艦内に化け物がいる! 仲間がみんな食われたんだ! 助け――――うわぁあああ!!』
『未知の減少により艦隊の半数を喪失!』
『艦内で幻聴が――――』
『船の位置が分からない! 誘導ビーコンを要請する!』
ジスティカ王国旗艦艦隊に流れてくるのは、そんな通信の数々だった。
だが、ジスティカ王国側もそれどころではなかった。
「キロマイア皇国の艦隊はどこへ行ったんだ?」
「分かりません、一瞬で消失しました!」
さっきまで居たはずの艦隊が完全に消えていたのである。
当然、艦隊は大混乱に陥った。
『困りますな、勝手に逃げられては』
『これは責任問題では?』
『我々は何も知らない! 旗艦と連絡がつかんのだ!』
消えたキロマイア皇国艦隊を逃げたと判断した司令官たちは、生き残りを叱責していた。
『ハグネス司令官も何か言ったらどうですか?』
『――――』
『司令官?』
その時。
彼らは、TRINITY.艦隊の姿がない事に気が付いた。
オーベルン神聖連合艦隊の司令を務めるバスカディン司祭は、通信に応じるように何度も呼び掛けたが、返事はなかった。
「周囲をスキャンせよ」
画面に目を向けたまま、司祭は部下に命じる。
だが、返事が返ってこない。
「返事はどうした!」
しかし、それでも声は返ってこなかった。
何が起きたのかと、バスカディンは顔を上げ――――そして、見た。
ブリッジから人が消えていたのだ。
「なっ、何が――――大変ですぞ、我々の艦に異常が起きました!」
急いでバスカディン司祭は、報告を挙げる。
だが、返ってきたのは不気味なほど無機質な声だった。
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
「ひぃっ!?」
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリ――――』
その時、ブリッジの電気が消えた。
司祭の顔が引きつったその直後、全ての計器が赤い光を放ち、警報の代わりに人の悲鳴が響き始めた。
男とも女ともつかない悲鳴の中で、司祭は発狂した。
「う、わぁああああああああああああ!!」
そして。
全ての悲鳴が唐突に止んだ。
「あぁあああああああ.....え?」
そして。
上から、逆さまになった部下の死体が墜ちてきた。
司祭はその絶望に歪んだ顔と目が合って――――気絶した。
『うわぁあああああああ――――』
『やめろ、俺は仲間だ!!』
『こちらB-441! 仲間の死体が襲ってくる!』
Ve’z艦隊と戦うはずだった連合艦隊は、唐突なホラー展開に襲われ――――
消滅、発狂、自殺、フレンドリーファイアでその数を減らしていくのだった。
企画:ケルビス 実行:ポラノル 撮影:隠密カメラドローン
『静寂の艦隊』XX月XX日発売!
「......何、このB級映画みたいな....」
「お姉さま、私がこれが見たいです!」
「アタシも興味あるな」
「私も!」
それは当然だ、なぜならば――――
『艦長がいなくなった!』
『艦内に化け物がいる! 仲間がみんな食われたんだ! 助け――――うわぁあああ!!』
『未知の減少により艦隊の半数を喪失!』
『艦内で幻聴が――――』
『船の位置が分からない! 誘導ビーコンを要請する!』
ジスティカ王国旗艦艦隊に流れてくるのは、そんな通信の数々だった。
だが、ジスティカ王国側もそれどころではなかった。
「キロマイア皇国の艦隊はどこへ行ったんだ?」
「分かりません、一瞬で消失しました!」
さっきまで居たはずの艦隊が完全に消えていたのである。
当然、艦隊は大混乱に陥った。
『困りますな、勝手に逃げられては』
『これは責任問題では?』
『我々は何も知らない! 旗艦と連絡がつかんのだ!』
消えたキロマイア皇国艦隊を逃げたと判断した司令官たちは、生き残りを叱責していた。
『ハグネス司令官も何か言ったらどうですか?』
『――――』
『司令官?』
その時。
彼らは、TRINITY.艦隊の姿がない事に気が付いた。
オーベルン神聖連合艦隊の司令を務めるバスカディン司祭は、通信に応じるように何度も呼び掛けたが、返事はなかった。
「周囲をスキャンせよ」
画面に目を向けたまま、司祭は部下に命じる。
だが、返事が返ってこない。
「返事はどうした!」
しかし、それでも声は返ってこなかった。
何が起きたのかと、バスカディンは顔を上げ――――そして、見た。
ブリッジから人が消えていたのだ。
「なっ、何が――――大変ですぞ、我々の艦に異常が起きました!」
急いでバスカディン司祭は、報告を挙げる。
だが、返ってきたのは不気味なほど無機質な声だった。
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
「ひぃっ!?」
『ナニモモンダイハアリマセンヨ』
『ナニモモンダイハアリ――――』
その時、ブリッジの電気が消えた。
司祭の顔が引きつったその直後、全ての計器が赤い光を放ち、警報の代わりに人の悲鳴が響き始めた。
男とも女ともつかない悲鳴の中で、司祭は発狂した。
「う、わぁああああああああああああ!!」
そして。
全ての悲鳴が唐突に止んだ。
「あぁあああああああ.....え?」
そして。
上から、逆さまになった部下の死体が墜ちてきた。
司祭はその絶望に歪んだ顔と目が合って――――気絶した。
『うわぁあああああああ――――』
『やめろ、俺は仲間だ!!』
『こちらB-441! 仲間の死体が襲ってくる!』
Ve’z艦隊と戦うはずだった連合艦隊は、唐突なホラー展開に襲われ――――
消滅、発狂、自殺、フレンドリーファイアでその数を減らしていくのだった。
企画:ケルビス 実行:ポラノル 撮影:隠密カメラドローン
『静寂の艦隊』XX月XX日発売!
「......何、このB級映画みたいな....」
「お姉さま、私がこれが見たいです!」
「アタシも興味あるな」
「私も!」
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