124 / 200
シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
124-豸亥、ア
しおりを挟む
ジジルト星系、カイア星系では、片方の惨劇も知らず、艦隊が陣地を構築していた。
「最近、変だよな」
「何がだ?」
そして、その中のジスティカ王国側の中型艦の艦内にて。
一人の男と、その友人が会話をしていた。
「侵攻開始から二週間経ったけどよ、どうももう片方と連絡がつかないんだとよ。定時連絡はしっかりしてるのに、途中から支離滅裂な事を言い出すらしいんだ」
「何で撤退しないんだ?」
「それが、本部に問い合わせても似たような状況で......状況が改善するまではどうしようもないんだとさ」
「そうか......」
そして、その艦は機関を始動させ、他の艦と合同で哨戒任務に出る。
センサーを最大にして、敵の接近を察知するのである。
「Ve’zって、もっと強いもんだと思ってたのにな....」
「ああ、正直、故郷に残してきた遺書が恥ずかしいぜ」
「そこ! 私語は慎め!」
艦隊は通常の巡回ルートを進み、赤色巨星の付近を通過する。
飽きてきた男は、つい欠伸をした。
次の瞬間、赤色巨星が一度だけ強く光を放った。
『何事だ!?』
「状況報告!」
光はすぐに収まり、艦隊のローカル通信は騒がしくなる。
だが、何も影響は及んでいないようで、クルーたちは安堵する。
それも、つかの間の事だったが。
『いや....待て、我々は七隻だったか?』
『B-22が消失した! 応答せよ、B-22!』
八隻の構成だった艦隊は、いつの間にか七隻になっていた。
艦隊の構成員たちは、B-22戦艦の反応を必死に探ろうとした。
だが、それは無意味な事であった。
『とにかく....一度ワープで離脱する!』
「了解!」
艦隊はワープを行う。
ワープ中であれば、何物も手を出せないからだ。
『何が起きた?』
『分からない!』
騒然とする艦内で、男は相棒に話しかけた。
「くだらないよな、おい――――――え?」
だが、彼の相棒はそこにはいなかった。
喧騒の中で、ついさっきまで話していた相手がいないのである。
彼は周囲を見渡し、そして相棒の姿を見つけた。
「お、おい!? 窓の外に!」
「どうした? 何もいないじゃないか」
窓の外で、相棒の服を着た首なし死体が手を振っていた。
それを見てしまった彼は錯乱し、叫ぶ。
だが、それに反応した通信士官は、窓の外を見たが――――何もいなかった。
当然である。
「ど....どこに.....?」
男は何が何やら分からず、艦橋から逃げ出す。
走って、走って、走って――――――その時、携帯端末が鳴った。
取ると、男の相棒の名前がディスプレイに映った。
『おい、どこにいるんだよ?』
「どこにいたんだよ....」
『機関室だよ、お前もハヤクコイ』
「ああ」
男は安堵したように、機関室に向かう。
機関室の扉を開けた男は、そこで無事な姿の相棒と出会った。
「急にいなくなるからびっくりしたぞ」
「ああ、俺もシンパイシタゾ」
直後、相棒の背から触手が飛び出した。
「え――――」
そして、機関室には誰もいなくなった。
「機関に異常! 航行が停止します!」
誰もいなくなった艦橋で、機関長は報告を続けていた。
そして、顔を上げ――――
「あ、あれ? 皆?」
そして、気付く。
周囲の艦隊が、既に消滅していることに。
「な、何が――――」
『ヒヒヒヒヒ――――』
そして、彼もまた闇に呑まれ。
艦隊は完全に消失した。
「最近、変だよな」
「何がだ?」
そして、その中のジスティカ王国側の中型艦の艦内にて。
一人の男と、その友人が会話をしていた。
「侵攻開始から二週間経ったけどよ、どうももう片方と連絡がつかないんだとよ。定時連絡はしっかりしてるのに、途中から支離滅裂な事を言い出すらしいんだ」
「何で撤退しないんだ?」
「それが、本部に問い合わせても似たような状況で......状況が改善するまではどうしようもないんだとさ」
「そうか......」
そして、その艦は機関を始動させ、他の艦と合同で哨戒任務に出る。
センサーを最大にして、敵の接近を察知するのである。
「Ve’zって、もっと強いもんだと思ってたのにな....」
「ああ、正直、故郷に残してきた遺書が恥ずかしいぜ」
「そこ! 私語は慎め!」
艦隊は通常の巡回ルートを進み、赤色巨星の付近を通過する。
飽きてきた男は、つい欠伸をした。
次の瞬間、赤色巨星が一度だけ強く光を放った。
『何事だ!?』
「状況報告!」
光はすぐに収まり、艦隊のローカル通信は騒がしくなる。
だが、何も影響は及んでいないようで、クルーたちは安堵する。
それも、つかの間の事だったが。
『いや....待て、我々は七隻だったか?』
『B-22が消失した! 応答せよ、B-22!』
八隻の構成だった艦隊は、いつの間にか七隻になっていた。
艦隊の構成員たちは、B-22戦艦の反応を必死に探ろうとした。
だが、それは無意味な事であった。
『とにかく....一度ワープで離脱する!』
「了解!」
艦隊はワープを行う。
ワープ中であれば、何物も手を出せないからだ。
『何が起きた?』
『分からない!』
騒然とする艦内で、男は相棒に話しかけた。
「くだらないよな、おい――――――え?」
だが、彼の相棒はそこにはいなかった。
喧騒の中で、ついさっきまで話していた相手がいないのである。
彼は周囲を見渡し、そして相棒の姿を見つけた。
「お、おい!? 窓の外に!」
「どうした? 何もいないじゃないか」
窓の外で、相棒の服を着た首なし死体が手を振っていた。
それを見てしまった彼は錯乱し、叫ぶ。
だが、それに反応した通信士官は、窓の外を見たが――――何もいなかった。
当然である。
「ど....どこに.....?」
男は何が何やら分からず、艦橋から逃げ出す。
走って、走って、走って――――――その時、携帯端末が鳴った。
取ると、男の相棒の名前がディスプレイに映った。
『おい、どこにいるんだよ?』
「どこにいたんだよ....」
『機関室だよ、お前もハヤクコイ』
「ああ」
男は安堵したように、機関室に向かう。
機関室の扉を開けた男は、そこで無事な姿の相棒と出会った。
「急にいなくなるからびっくりしたぞ」
「ああ、俺もシンパイシタゾ」
直後、相棒の背から触手が飛び出した。
「え――――」
そして、機関室には誰もいなくなった。
「機関に異常! 航行が停止します!」
誰もいなくなった艦橋で、機関長は報告を続けていた。
そして、顔を上げ――――
「あ、あれ? 皆?」
そして、気付く。
周囲の艦隊が、既に消滅していることに。
「な、何が――――」
『ヒヒヒヒヒ――――』
そして、彼もまた闇に呑まれ。
艦隊は完全に消失した。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか
ピモラス
ファンタジー
自動車工場で働くケンはいつも通りに仕事を終えて、帰りのバスのなかでうたた寝をしていた。
目を覚ますと、見知らぬ草原の真っ只中だった。
なんとか民家を見つけ、助けを求めたのだが、兵士を呼ばれて投獄されてしまう。
そこへ返り血に染まった吸血鬼が襲撃に現れ、ケンを誘拐する。
その目的は「ロボットを修理しろ」とのことだった・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる