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シーズン6-Ve’z同盟軍対TRINITY.連合軍戦線
124-豸亥、ア
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ジジルト星系、カイア星系では、片方の惨劇も知らず、艦隊が陣地を構築していた。
「最近、変だよな」
「何がだ?」
そして、その中のジスティカ王国側の中型艦の艦内にて。
一人の男と、その友人が会話をしていた。
「侵攻開始から二週間経ったけどよ、どうももう片方と連絡がつかないんだとよ。定時連絡はしっかりしてるのに、途中から支離滅裂な事を言い出すらしいんだ」
「何で撤退しないんだ?」
「それが、本部に問い合わせても似たような状況で......状況が改善するまではどうしようもないんだとさ」
「そうか......」
そして、その艦は機関を始動させ、他の艦と合同で哨戒任務に出る。
センサーを最大にして、敵の接近を察知するのである。
「Ve’zって、もっと強いもんだと思ってたのにな....」
「ああ、正直、故郷に残してきた遺書が恥ずかしいぜ」
「そこ! 私語は慎め!」
艦隊は通常の巡回ルートを進み、赤色巨星の付近を通過する。
飽きてきた男は、つい欠伸をした。
次の瞬間、赤色巨星が一度だけ強く光を放った。
『何事だ!?』
「状況報告!」
光はすぐに収まり、艦隊のローカル通信は騒がしくなる。
だが、何も影響は及んでいないようで、クルーたちは安堵する。
それも、つかの間の事だったが。
『いや....待て、我々は七隻だったか?』
『B-22が消失した! 応答せよ、B-22!』
八隻の構成だった艦隊は、いつの間にか七隻になっていた。
艦隊の構成員たちは、B-22戦艦の反応を必死に探ろうとした。
だが、それは無意味な事であった。
『とにかく....一度ワープで離脱する!』
「了解!」
艦隊はワープを行う。
ワープ中であれば、何物も手を出せないからだ。
『何が起きた?』
『分からない!』
騒然とする艦内で、男は相棒に話しかけた。
「くだらないよな、おい――――――え?」
だが、彼の相棒はそこにはいなかった。
喧騒の中で、ついさっきまで話していた相手がいないのである。
彼は周囲を見渡し、そして相棒の姿を見つけた。
「お、おい!? 窓の外に!」
「どうした? 何もいないじゃないか」
窓の外で、相棒の服を着た首なし死体が手を振っていた。
それを見てしまった彼は錯乱し、叫ぶ。
だが、それに反応した通信士官は、窓の外を見たが――――何もいなかった。
当然である。
「ど....どこに.....?」
男は何が何やら分からず、艦橋から逃げ出す。
走って、走って、走って――――――その時、携帯端末が鳴った。
取ると、男の相棒の名前がディスプレイに映った。
『おい、どこにいるんだよ?』
「どこにいたんだよ....」
『機関室だよ、お前もハヤクコイ』
「ああ」
男は安堵したように、機関室に向かう。
機関室の扉を開けた男は、そこで無事な姿の相棒と出会った。
「急にいなくなるからびっくりしたぞ」
「ああ、俺もシンパイシタゾ」
直後、相棒の背から触手が飛び出した。
「え――――」
そして、機関室には誰もいなくなった。
「機関に異常! 航行が停止します!」
誰もいなくなった艦橋で、機関長は報告を続けていた。
そして、顔を上げ――――
「あ、あれ? 皆?」
そして、気付く。
周囲の艦隊が、既に消滅していることに。
「な、何が――――」
『ヒヒヒヒヒ――――』
そして、彼もまた闇に呑まれ。
艦隊は完全に消失した。
「最近、変だよな」
「何がだ?」
そして、その中のジスティカ王国側の中型艦の艦内にて。
一人の男と、その友人が会話をしていた。
「侵攻開始から二週間経ったけどよ、どうももう片方と連絡がつかないんだとよ。定時連絡はしっかりしてるのに、途中から支離滅裂な事を言い出すらしいんだ」
「何で撤退しないんだ?」
「それが、本部に問い合わせても似たような状況で......状況が改善するまではどうしようもないんだとさ」
「そうか......」
そして、その艦は機関を始動させ、他の艦と合同で哨戒任務に出る。
センサーを最大にして、敵の接近を察知するのである。
「Ve’zって、もっと強いもんだと思ってたのにな....」
「ああ、正直、故郷に残してきた遺書が恥ずかしいぜ」
「そこ! 私語は慎め!」
艦隊は通常の巡回ルートを進み、赤色巨星の付近を通過する。
飽きてきた男は、つい欠伸をした。
次の瞬間、赤色巨星が一度だけ強く光を放った。
『何事だ!?』
「状況報告!」
光はすぐに収まり、艦隊のローカル通信は騒がしくなる。
だが、何も影響は及んでいないようで、クルーたちは安堵する。
それも、つかの間の事だったが。
『いや....待て、我々は七隻だったか?』
『B-22が消失した! 応答せよ、B-22!』
八隻の構成だった艦隊は、いつの間にか七隻になっていた。
艦隊の構成員たちは、B-22戦艦の反応を必死に探ろうとした。
だが、それは無意味な事であった。
『とにかく....一度ワープで離脱する!』
「了解!」
艦隊はワープを行う。
ワープ中であれば、何物も手を出せないからだ。
『何が起きた?』
『分からない!』
騒然とする艦内で、男は相棒に話しかけた。
「くだらないよな、おい――――――え?」
だが、彼の相棒はそこにはいなかった。
喧騒の中で、ついさっきまで話していた相手がいないのである。
彼は周囲を見渡し、そして相棒の姿を見つけた。
「お、おい!? 窓の外に!」
「どうした? 何もいないじゃないか」
窓の外で、相棒の服を着た首なし死体が手を振っていた。
それを見てしまった彼は錯乱し、叫ぶ。
だが、それに反応した通信士官は、窓の外を見たが――――何もいなかった。
当然である。
「ど....どこに.....?」
男は何が何やら分からず、艦橋から逃げ出す。
走って、走って、走って――――――その時、携帯端末が鳴った。
取ると、男の相棒の名前がディスプレイに映った。
『おい、どこにいるんだよ?』
「どこにいたんだよ....」
『機関室だよ、お前もハヤクコイ』
「ああ」
男は安堵したように、機関室に向かう。
機関室の扉を開けた男は、そこで無事な姿の相棒と出会った。
「急にいなくなるからびっくりしたぞ」
「ああ、俺もシンパイシタゾ」
直後、相棒の背から触手が飛び出した。
「え――――」
そして、機関室には誰もいなくなった。
「機関に異常! 航行が停止します!」
誰もいなくなった艦橋で、機関長は報告を続けていた。
そして、顔を上げ――――
「あ、あれ? 皆?」
そして、気付く。
周囲の艦隊が、既に消滅していることに。
「な、何が――――」
『ヒヒヒヒヒ――――』
そして、彼もまた闇に呑まれ。
艦隊は完全に消失した。
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