SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
118 / 200
シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線

118-突破戦

しおりを挟む
エリアスは、早朝の街を駆け抜けていた。
その目は紅く、制限されているとはいえ卓越した身体能力と熟練した肉体の動かし方を駆使して、最短ルートでモニカの囚われている場所まで直行する。

「...これは」

そして、気付く。
警備システムが解除され、代わりに別の警備システムに書き換えられたエリアに。
一見すると何も無い住宅街に見えるが、中に入りセンサーに触れれば、すぐに警報が鳴り響く事になるだろう。

「愚かな」

だが。
エリアスの目が輝くと同時に、警備システムは無効化される。
今更エリアスに、その程度の雑な警備が効くはずもない。

「ここか」

エリアスは、その中の一つの住宅に目をつけた。
その家は大きい事以外にこれと言った特徴もなく、とてもモニカを攫った者達がいるようには見えなかった。

「お前は理解できない」

エリアスはそう言いつつ、跳躍した。
空中で体を捻り、そのまま上階の窓に突っ込む。
ガラスを蹴り割ったエリアスは、室内へと降りた。

「な、何だ!?」
「殺せ!」

中にいた四人が銃を抜くが、彼らが撃つより先にエリアスは四人を制圧した。
そして、扉を蹴破り先に進む。

「敵襲!」
「殺せっ!」
「次から次へと...アラタ」
「ああ」

エリアスは目を閉じ、元の色へと戻す。
即座にその姿がかき消えて、一人の胸を手刀で突き刺す。
そして、その首を掴んで盾がわりにしながら突き進んでいく。

「?」

そして廊下を曲がった時、真横から何かが飛んできて炸裂する。
それはエリアスの身体に大きく傷をつけるが、エリアスは全く気にした様子もなく肉薄し、攻撃者の頭蓋を殴打で粉砕する。

「携帯砲弾が効かないだと!?」
「残念だったな」

エリアスはそのまま大広間に出て、

「死ね!」

八人によってレーザー乱射に襲われる。
だが、エリアスがそれを避けられないはずがない。
ひとたび認知を加速させれば、レーザーなど空中に浮く邪魔なものでしかなくなるからだ。

「ぎゃあっ!?」
「こいつ、人間じゃっ!?」

レーザー弾をかわしながら、エリアスは壁を走り抜けて部屋の反対側に回り込み、まだ気づいていない三人の背後を取る。
そして、

「終わりだ」

華麗なる回し蹴りが決まり、三人は吹き飛んで気絶した。
蹴りの威力とその衝撃波によって、身体の内部をぐちゃぐちゃにされたのだ。

「さて...」

エリアスは前を見た。
恐らく扉の向こうに、モニカが居るのだろう。
そう確信した彼は、扉向けて一気に駆けた。



ティニアは、まさに危機に陥っていた。
彼女のすぐ側に、注射針が迫っているのだ。
注射の中身は、強力なドラッグ。
精神をズタズタに破壊して、強力な依存性を持たせる死のドラッグだ。

「暴れるなよ、せっかく鎮静剤を打ったんだからなあ」
「っ...」

ずっと国のために動いてきたというのに、ただ悪に蹂躙されるしかない。
そんな終わり方に絶望していたティニアだったが。
唐突に、扉が開いてエリアスが現れた。

「え...りあ...?」

まさか、最初からグルだったのかと。

「お前は、誰だ!?」
「お前のような屑に名乗る名など無い」

エリアスは誘拐犯の男に掴みかかる。

「ぐぇ.....お前は.....!」
「死ね」

首の骨が砕け散る音が響く。
そして、エリアスは何事もなかったかのように、誘拐犯を打ち捨てた。

「......大丈夫か?」
「う....うん.....」

ティニアは、驚いていた。
驚異的な力に。
だが、同時に.....

「(こ....こんなこと思っちゃダメだけど........凄く....かっこいい......!).....だ、だけど.....ここからどうやって出るの...? すぐに応援が....」
「問題ない。ケルビス!」
『はっ』

そして、エリアスはケルビスを呼び出す。
その姿を見て、ティニアは驚愕する。
Ve’zの使者と全く同じ姿であった。
それをその目で見たティニアは、エリアスが誰であるかを完全に理解した。
そして――――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

処理中です...